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「東洋エンジニアリング、3Dでプラント再現 工事遅れ回避」に注目!

東洋エンジニアリング、3Dでプラント再現 工事遅れ回避 - 日本経済新聞 (nikkei.com)

プラント建設を効率化する動きが広がっています。東洋エンジニアリングはデジタル上の3Dモデルを人工知能(AI)で分析し、工期遅延を回避します。日揮ホールディングス(HD)は施工トラブルを予測する設計ソフトを開発。構造が複雑なプラント建設は資材の納期遅れや過剰発注のほか、現場人員の過不足が発生しやすく、コスト圧迫につながっています。こうした問題を解決します。

石油化学や肥料のプラントは建物の資材に加え、運用に関わる制御システムや電気設備などで構成されます。柱や鋼板などの鉄鋼製品や変圧器、タービンなど使われる資材は多岐に及びます。

プラントは顧客のオーダーメードで建設することが多いほか、多くの区画の工事と設計図の作製を同時並行で進めています。実際に工事で使う資材の量を正確に把握することは難しく、資材が余る現場も多いですが、3Dモデルの活用で在庫量の2割削減を目指します。

最新技術を駆使してコスト減に動く背景には、プラント建設業界の商習慣もあります。

プラント工事は入札で建設事業者を決めます。各社は設計や部材調達、実際の建設工事のコストを計算し、応札価格を決めます。入札成立後に資材価格や為替の変動があっても、原則として金額は変わりません。収益を確保するためにもコスト削減が重要になります。

また、建設作業員の人手不足も深刻さを増しています。作業員の労働時間の上限規制を強化する2024年問題の影響が大きいです。

帝国データバンクが2024年1〜6月の人手不足が原因の倒産件数を集計したところ、建設業の倒産は前年同期比約2割増の53件と過去最多でした。

プラント建設業界は脱炭素関連や半導体分野の追い風を受けて需要が増えることが見込まれていますが、帝国データバンク情報統括部の旭海太郎副主任は「そうした分野の現場は海外案件なども多く、人材確保や育成が難しい。人手不足は業界の成長にとって足かせになりかねない」と話します。

こうした中、日揮HDは若手設計士の育成を強化します。同社は2030年までに、国内の医薬プラントなどを設計する際、工期遅れやコスト増につながる可能性を分析する設計ソフトを導入します。医療に関するプラントは顧客から独自の仕様を求められることが多いです。若手の設計図の作製時間を3分の1ほどに短縮します。

ソフトは熟練の設計士のノウハウを学習させます。経験が浅い設計士は過度に複雑な工法で設計してしまい、工期遅れやコスト増につながるケースがあります。新ソフトで設計することでこうしたミスをなくします。

海外でも無駄を省きます。同社は7月、サウジアラビアで海外の現場としては初めて3Dプリンターの活用を始めました。プラント内の倉庫などの外壁を作製し、資材を減らして建設にかける手間を減らします。

日揮グローバルのイノベーション・自動化推進グループの程原忠グループマネジャーは「プラント工事には熟練の経験が必要。高所やジャングルなど過酷な現場での作業も多く、作業員が不足しがちな現場でも活用が期待できる」と話します。

日揮HDはサウジアラビアで遂行中の原油・ガス分離設備建設プロジェクト(サウジアラムコ社案件)において、3Dプリンタを活用した技術を導入します。3Dプリンタは、廃棄物やエネルギー使用量を削減し、環境負荷を低減することに加え、建設生産性の向上が期待できることからサウジアラムコ社がプロジェクトに導入を検討している技術の一つだそうです。

また、日揮はスマートファクトリーにも取り組んでいます。工場計画全体をグランドデザインし、生産・物流の最適化や装置配置、生産/作業動線を最適化、情報管理・運営を効率化/最適化、脱炭素・低炭素化、BCP等により顧客の目的・課題対応を共に、全体最適なスマートファクトリーを考え具体化しています。

今後も、日揮ならではの知見を効率化につながる動きに注目しています。

※文中に記載の内容は特定銘柄の売買などの推奨、または価格などの上昇や下落を示唆するものではありません。