見出し画像

ほぼ漫画業界コラム172【取次の危機の話】

逗子でリモートワーク中。朝から晩までびっちり会議をやっていて、朝や夜中までシナリオを書いているので、一日16時間労働です。でも、東京にいる時よりはストレスが少ない。できれば週の半分くらいは東京から離れて住みたいと考えています。東京は楽しいんだけどね。車で1、2時間くらいで行ける場所はないかな。逗子、葉山もいいけど、しばらくはあちこち民泊を利用しながら回りたいと思います。

はい、昨日の記事は衝撃的でした。書店の売り上げが2019年から2023年で約25%減っている。いよいよ来ましたね。来年から団塊世代が後期高齢者になり、少子高齢化がさらに加速します。まだまだ売り上げは下がるでしょう。普通に商売の観点から見たら、毎年5%ずつ売り上げが下がる産業なんか持つわけがありません。これまで日本の書店文化を支えてきた大手取次も、いよいよ経営危機が深刻です。でもトーハンは黒字です。不動産事業が好調なようです。弊社近くのトーハンのビルも立派なオフィスビルに建て替えられます。

というか、日本の古いマスコミ企業はどこもそう。出版社もテレビ局も新聞社も、そして取次まで、不動産で利益を出しているので、本業が赤字でも大丈夫ってところが多い。だから、本来ビジネスとして成立していなくても、成立しているように見える。そのせいで本質的な議論が進まない。少子高齢化が将来悪化することが、大昔からわかっていたのにも関わらず、マスコミはそれを大きく取り上げなかったのだと思います。

おっと話がずれました。今日のお題は取次さんの危機について。このまま売り上げ比率の逆転が起きると、もはやどちらが本業なのかわからなくなりそうです。それに売上減だけが問題じゃありません。人手不足も深刻。流通業は人の取り合い。そして大きい方に人は行きます。そういうのが重なり、いつか馬鹿馬鹿しくなって取次さんも取次事業をやめちゃうかもしれません。それはつまり今の形の書店がなくなることを意味します。

日本の書店大好きなんですけどね。何の用もなく新刊コーナーに立ち寄るのが好きです。漫画はもちろん、文芸でも実用書でも、ふらっと立ち寄ってなんか新刊買っちゃう。読まずに積み本になってるのに、また書店に行ってもまた買っちゃう。多分、我々団塊ジュニア世代はそういう人が多いんじゃないでしょうか。でも最近は減ったかな。近所の書店が潰れたからです。

で、国なんかは公費を注ぎ込んで書店を救おうみたいな議論をしていますが、そういうのって本当にやめて欲しいなと思います。ゾンビ企業が増えるだけ。それよりも産業構造を変えるしかないんじゃないですかね。紙の本がしっかりと商売になるように構造改革をするべきだと思います。具体的にはもう再版制度を見直すしかない。

出版社もデジタルや版権収入が好調で、おまけに前述の不動産も爆益なのでドンと構えていますが、でも出版社を名乗るからには本業の出版で利益を出して欲しいです。よくデジタル出版なんて言いますが、あれは本質を誤魔化した言い方に過ぎません。デジタル配信なのです。そもそも紙の本って言い方もおかしいですね。本は本ですよね。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?