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ほぼ漫画業界コラム171 【超重要な漫画家の海外出版の話】

見なきゃ漫画業界人失格と言われたので、ようやく赤松議員の国会動画を全部見ました。総理や大臣が何度も【個人】のクリエイターについて言及されていたのが印象的でした。もし、議論の内容通りに国が動けば、今後、個人のクリエイターはますます活動しやすくなるでしょう。個人活動をなされている作家さんはチャンスですよ。そして議会では明確に個人クリエイターの海外展開についても明言されていました。もちろん漫画に限ったわけではありませんが、個人的には漫画こそが、その先陣を切れるコンテンツだと思っています。いや、切らなければならないのです。

なぜなら、去年、今年あたりに電子も含めた日本の漫画市場はピークを迎えるからです。これからはこれまでのような市場拡大は国内では起きないでしょう。今後はどうしても海外を見据えるしかない。少子高齢化による市場収縮は思ったより早く加速しています。国内漫画バブルは終わりを迎えます。漫画家や僕ら漫画制作スタジオは海外で勝負しなければならないのです。

ですが、国内商業作家の場合、現在、海外出版は非常に制限されています。大手出版社で国内出版している作品も、すべてが海外出版されるわけではなく、おそらく戦略的に選んだかなり少数の作品だけが出版されているのです。これ日本の出版社にとっては流通量をコントロールできるので有利ですが、作家にとってはかなりの不利益です。

問題は契約です。大抵、出版社との出版契約には、海外出版権も入っていることが慣習になっています。しかし、契約しているにも関わらずどこからも出版されないということが珍しくありません。

出版契約の際に、海外出版を外してもらって、実際に海外出版される際だけに契約すればいいのかもしれません。ただ経験上、業界の長年の慣習を変えるには大変な時間がかかります。1年や2年で変わるはずがない。個人でそんなことを交渉すると「めんどくさい作家」と思われるのを嫌がる方も多いでしょう。

一方、個人作家ならそれを飛び越えられます。

今後、AIの進歩により確実に翻訳や着色が個人でも簡単にできるようになります。それらをKDPなどで全世界に配信すればいいのです。もし世界的に反響がある作品であれば、さらにJETROなどの海外ビジネスセンターを通じて、海外出版社とも直接交渉し海外で商業出版することも可能になるかもしれません。

日本の個人漫画家が海外から直接、外貨を稼げるようになったら、文字通り「文化で食っていける国」になるでしょう。そもそも、日銀が金利を上げなければさらなる超円安が考えられます。そうなるとインフレが加速。いわゆるスタグフレーションになる可能性も高いです。そんな世の中になったら、直接外貨を稼げるようになることは、何よりも大切になるでしょう。原稿料がインフレに合わせて上がるとは思えません。みんな頑張りましょう。僕も頑張ります。あと赤松議員を応援しようと思いました。


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