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執事

全く、お嬢様には困ったものです。
一昨日お出かけ前に、あれほど折り畳み傘とショールを忘れぬよう、ご忠告申し上げましたのに。
聞き入れてくださらないのですから。

結局、雨が降り。
気温も一気に下がってしまったため、風邪をひいてしまわれて。

体力回復には栄養が必要不可欠ですのに、昨日は病院から戻られると、お食事もせず…すぐに寝てしまわれるのですから。

今日は私自らが腕をふるい、自慢の雑炊を作りました。
まだ起き上がるのは難しいかもしれませんね。
私が支えて、食べさせて差し上げましょう。

「お嬢様。そろそろお目覚めください。お食事を摂って、きちんとお薬をお飲みになりませんと」

私の声に、お嬢様がゆるりと瞳を開けた。

「ヒッ!あ、あんた、誰?!どうやって部屋の中に入ったの!?け、警察…」

熱のためか、動きの鈍いお嬢様の手からスマホを奪うと、そっと払い落とした。

「私の忠告を、聞かないからですよ?」

「ま、まさか…」

ガタガタと震え出す、お嬢様。
おや、熱が上がってしまわれたのでしょうか?

ならば、お話はここまでにして、冷めない内に雑炊を召し上がっていただかなくては。
その後はよく効くおクスリを、キチンと飲んでいただきましょう。

ね?私だけの、お嬢様?

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