マガジンのカバー画像

考えすぎと俯瞰のリズム

37
へんなものを見つけて考えて遠くから眺める 整合性と破壊、偏愛と狂気/冷静な神経質
運営しているクリエイター

2018年10月の記事一覧

寒い夜の肉まんについて

秋が冬へと徐々に近づいて行く頃、夜11時を過ぎる時間に、毎日のように自転車で夜道を走っていた。肌寒い夜風の中、コンビニの駐輪場に自転車を停めて、冷えた身体で暖かい店内に入る。毎晩、一本のエナジードリンクを手に取り、レジでお店の人にこう頼んでいた。 「肉まんを1つください。」 肉まんを食べるのが好きだ。温かく、柔らかい肉まんは身体だけでなく心も温めてくれる。外が寒いほど、その時何かに夢中になって頑張っている時ほど、美味しく感じる。 その頃自分は学校の授業に追われながら、

矛盾は、矛盾している、という点で矛盾していないということ

かなり難解でかたい文章です。 ------------------------------------------ 矛盾、という言葉は中国の故事から生まれた言葉だ。別に英語でcontradictionと言い換えてもいい。同じことを別の言葉で言っているだけだ。自分にわかりやすい言葉に読み替えて読んでくれればいい。チルチルとミチルが、幸せ(青い鳥)はどこかにあると求めるうちには見つけられず、そこにあると気づいた途端見つけられることと同じことを僕は言っている。 話がそれた。矛

眠れない

眠れない。バカみたいに眠れないのにパソコンなどというもっと眠れなくなるものを開いて文章を書いている。なぜこんな文章を書いているかというと、少なくない人数が前回の僕のノート(もうポジティブなことしかできない)を読んで眠れなくなってそうだな、と思ったからだ。新しい発見をすると人はだいたい快楽を感じてドーパミンやらアドレナリンやらが出て頭や体が元気になってしまう。僕も今、思考のアウトプットが楽しすぎて脳内物質が溢れんばかりに分泌された結果、眠れなくなっている。本当はちょっと眠いのに

僕が文章を書くわけ

僕は今「僕が文章を書くわけ」という文章を書いています。でも、本当は自分が文章を書く理由なんてわかりません。わからないというのは、理由があるかもしれないし、ないかもしれないから、どちらとも判断ができない、というのが自分の理解です。 文章を書くという本質はものを伝える、というところにあると思います。伝わるか伝わらないかわからない人の思いや考えや心の動きを、伝わると信じて文章を書く、と思っています。本当はみんなにすでに伝わっているかもしれないのに、1番伝わる、と思う具体例、言葉選

みぎ、ひだり

電車から降り、改札を抜ける。ポケットからスマートフォンを取り出して、Suicaのアプリで自動改札機を通る時に気づいたことがある。 自分は、左ポケットに携帯電話を入れている。 考えてみると、昔からポケットに入れるものは左右を決めていた。ハンカチはみぎ、ティッシュはひだり。自転車の鍵はみぎ、携帯電話はひだり。 気づいたのは、改札の右手側にsuicaをタッチする部分がついていたから。右手でタッチすることが想定されているそれは、左手ユーザーに優しくない。 改札を通るたびに、ポ

言葉尻は、いとをかし

言葉は末尾。 だんだんと描写は進み、その連なりは少し整いを見せ、彩りをもつ文末がその味わいをじわりと押し拡げる。 言葉尻はとても面白い。 例えば、りんごが好き、という一文について考えてみる。 「りんごが好き」と「りんごが好きでない」は同じ文の最後に三文字くわえただけで、意味が正反対になる。 「りんごが好きか」と「りんごが好きね」は最後の一文字以外は全く同じ文なのに、その一文字が加えると、受け取れる意味の色が鮮やかに変化する。 さらには「好き」に関して、「好きだっちゃ」「好き

じゃんけんぽん的世界観

人は生まれてから死ぬまで、じゃんけんを何回するんだろうか。 家族とチャンネル権を争って、友達と帰り道にアイスを賭けてコンビニで、サザエさんの次回予告の後で、じゃんけんぽん!と何かを運に委ねる。 じゃんけんはやる前から結果が決まっていると思う。 その時の気分かもしれないし、考え抜いた末かもしれないけれど、とりあえず手を決めてお互いそれを出す。 だから、出す前に結果が決まっていて、それを出した後に答えあわせをしているのだと思う。 偉い人のご機嫌とりのために、どうしても負けたい

鼻から季節をみる

金木犀の香りがする頃に、いつも鼻水が止まらなくなる。 気温の落差、気圧の上下、秋花粉の飛散で身体がヒィヒィ悲鳴をあげているのだと思う。 うだるような暑さの夏を抜けるとふいにやって来る秋は、サウナの後の水風呂のように気持ちいいけれど、浸りすぎるとやはり風邪をひく。 季節の変わり目には、空気が変わる。 その変化に植物は色づき、その植物を見た人は心動かされる。 嫌われ者の梅雨も、愛される桜や紅葉、全ての色を消す雪も、空気の変わり目を教えてくれる。 ちょっとした

怒りで幸せを取り逃がす

怒ることはたぶんコスパが悪い。 なんで怒ったかという理由と、こうなってほしいなという理想が結びつきづらく、実際はその理想の結果が得られないどころか、反対の効果を生み出してしまうと思う。 (得られるもの)-(失うもの)がおそらく負の値になってしまうので、コスパという言葉を使った。 たとえば、モンスターペアレンツ。 子供を思うばかりに学校へ文句を言う親は、子供を思うばかりに、と言った通り、子供のためを思って学校に文句を言い、理不尽な要求をする。 もちろん自分のプライドや

宿題が終わらない

自分で思い付いたことだけ書いていると、テーマの幅が狭くなりそうと思い質問を募集したところ、早速難問をいただきました(笑) 質問の答えを書き終えた後、高校時代にSHISHAMOの インディースデビュー曲「宿題が終わらない」をエンドレスリピートしてたのを思い出して、タイトルにしました。 それでは質問を紹介します。 やらなきゃいけないことがたくさんあるのに、やりたくなくて、やる気も出なくて、後回しにしてしまいます。いつもギリギリになって焦って泣きそうになるの分かってるのに

夢を叶えられない「好き」たちへ

中学の同級生の話をしたい。サッカーを愛する人の話だ。 彼は隣の小学校に通っていた。お互い少年団でサッカーをしていたので、よく練習試合で対戦していた。左利きでボール運びが上手く、キックも強烈な選手だった。ディフェンスの選手だった僕は直接勝負することも度々あったが、けちょんけちょんにされていた印象しかない。生来の負けず嫌いなので点数を決められる度に目を真っ赤にして、次こそは勝ってやると意気込んでいた。当時の自分には申し訳ないが、正直なところほとんどやられっぱなしだったと思う。

それでも線を引きますか?それとも消しますか?

その結果が出た瞬間、普段お酒をほとんど飲まない友人は、昼間にもかかわらずグラスを一気に傾けた。そしてこういった。 この結果を恥ずかしく思う、アメリカの市民権を捨てたい 日本に留学している友人はそろって怒りと嘆きを吐き出していた。それほどに、ドナルド・トランプが大統領選で勝ったということは彼らに衝撃を与えたのだと思う。 トランプが掲げるアメリカファースト、というのはどういうものだろうか。もちろん色々な意味を持つ言葉であるとは思うが、貿易という側面からみると、外国製品