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未来を予測する最善の方法は、それを「発明」することだ

「思考」に関するキーコンセプト
よくある「思考の落とし穴」に落ちないために

49:未来予測


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上の絵を見て下さい。ほとんどの人が「ああ、iPadね。で?」と思うでしょう。

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こちらはいかがでしょう。多くの人は「あれ、なんかちょっと違うなあ、なんだこれは」と思ったのではないでしょうか。

種明かしをすれば、この二つの絵は、コンピューターサイエンティストのアラン・ケイが1972年に著した論文の中で、ダイナブックというコンセプトを説明するために用いたものです。
この種明かしをされて「すごい、40年以上も前に未来を予測していたんだ」と思ったのだとすれば、その解釈は完全に間違っています。

あー。僕は解釈を間違えました(^^;;
皆さんも、間違えましたよね?

アラン・ケイ自身も言っていることですが、彼は、未来を予測してこれを描いたわけではありません。彼がやったのは「こういうものがあったらいいな」と考えて、このコンセプトを絵にして、それが実際に生み出されるように粘り強く運動したということです。ここに「予測」と「実現」の逆転が見られます。

いまある世界は偶然このように出来上がっているわけではありません。どこかで誰かが行った意思決定の集積によっていまの世界の風景は描かれているのです。

なるほど。意思決定を行う側の人間になりたいものです。

未来というものは予測するよりも、むしろそれをビジョンとして思い描くべきものだ、という考え方は、別の角度からも補強されます。なぜなら「予測は外れる」からです。
昨今の日本では少子化による人口減少の予測が危機感をもって議論されていますが、他国における過去の少子化による人口減少の予測はこれまでほとんど外れたということをご存知でしょうか?

イギリスもアメリカも、減少するとの予測が完全に外れ増加したそうです。
人口動態なんて、一番間違いない統計のようですが、外れるんですね。
でも、現在の人口減少はホンモノですよね。違うのかな。

1982年、当時全米最大の電話会社だったAT&Tは、マッキンゼーに「2000年時点での携帯電話の市場規模を予測してほしい」と依頼しました。
この依頼に対してマッキンゼーが最終的に示した回答は「90万台」というものでしたが、では実際にはどうだったかというと、市場規模は軽く1億台を突破しました。

これは有名な話です。莫大な調査費用をかけ、一流のコンサル使ってもこのザマとは。しかも、守秘義務があるから公になることはなかなかないらしい。業界に長くいた筆者に言わせれば、こういうことは頻発しているらしい。コンサルティング会社って、何??

これはなにも、コンサルティング会社の能力や予測モデルに問題がある、ということではなく、そもそも専門家の予測というのは「外れるのが当たり前だ」ということです。
このようにつらつらと考えてくれば、そもそも、私たちは「予測」などというものに、ちょっと頼りすぎているのではないか、と考えざるを得ません。

”The best way to predict the future is to invent it"
(未来を予測する最善の方法は、それを発明することだ)
                      ~アラン・ケイ~

いい言葉ですね。
先日つぶやきましたが、下請けはきつい。何かしら主導権を握る武器が欲しいです。本当に。


今日もこれから対策会議ですが、薄利多売の先に未来が無いことは分かっています。しかし、現状その道に進むしかないという事実。
いかんいかん、泣き言は駄目ですね(笑)



ここまで読んで頂きありがとうございます😊