次世代キャリアの観点 #4『キャリアの選択肢を持つ(後編)』
キャリアは生き方そのものである。
前回は『キャリア自律』に関して問題意識や背景について話したが、キャリア=生き方を自律的に形成していく上での観点をここでは3つ挙げてみたい。
①マインド
②スキル・能力
③テクニック
3つの観点_その① ~マインド~
キャリア理論に関しては様々な切り口があるが、私が一番好きな考え方が
『Planned Happenstance Theory』
スタンフォード大学のジョン・D・クランボルツ教授が20世紀末に提案したキャリア理論で、日本語に訳すと『計画的偶発性理論』という。
可能ならキャリアの理想は、到達すべき目標やビジョンを設定して達成すべき課題に接近できるように学習していく。という姿かもしれない。
しかし、社会的変化が激しく先の見通しが立ちにくい近年においては従来のような計画的なキャリア形成は困難になってきているし、実際は計画がしっかりしているほど、それ以外のチャンスを逃してしまうこともあるのが現実。
そう、実はキャリアは基本的に予期しない偶然の出来事によって8割が形成される。そのため、偶然を必然化する、偶然の出来事を自ら仕掛けることが必要。というのがざっくりとした考え方である。
言い方を変えれば、
『あまりに未来ばかりに気を取られると現在が見えなくなってしまう』というメッセージでもある。
目的ばかり見ていると見逃すことも多い。想定外のチャンスを失ってしまう。10年以上先の未来なんて誰にも予測できない。であれば、予測できない未来への計画というのはほどほどにして、いま想定できる出会いや出来事をベースに、キャリアを広げていこうという発想なのだ。
予期しない出来事をただ待つだけでなく、自ら創り出せるように積極的に行動したり、周囲の出来事に神経を研ぎ澄ませたりして、偶然を意図的・計画的にステップアップの機会へと変えていけばいい。
その理論の中核となるマインドがこれ。
この5つがあれば、たいていのことはうまくやれるのではないだろうか。
3つの観点_その② ~スキル・能力~
「今のうちにとっておいたほうがいい資格とかありますか?」
と学生なんかによく聞かれる。
正直、特にない。勉強するプロセスは重要かもしれないし、結果得られた知識はどこかで何かに活かせるだろう。だから、興味があるもの、必要そうなものを選んで勉強してみたらいい。ただ、それが結果何につながるかは約束できない。
固定化された専門知識は陳腐化していくからだ。
求められるものが従来以上にどんどん変化しているのだ。専門性を身に着けスペシャリストになれば、その道では生きていける。しかし常にブラッシュアップし続ける、常にアンテナを張ってインプット・アウトプットし続けることが前提だ。そうでなければ資格を取ったところで意味はない。
(これは自戒も含んでいる・・・)
専門領域以外で必要なポータブルスキルは以下だと思う。
とにかく、小さくてもいいから、より速く、より多く、仮説×実行×検証を、繰り返せる力。
課題の本質をとらえて、理想の状態を定義し、現状とどんなギャップが生じているのか、解決策がターゲットのメリットになるのかを自分の頭で仮説を立てながら考えられるかどうか。
そして、それを当然実行しないと意味がないわけだから、実行のために逆算し、阻害要因や障壁、リスクを想定し、計画しながら、周囲を巻き込みながら完遂できるかどうか。
そして、それをより多く小さく速く経験し再現性を高められるかどうかだと思う。
3つの観点_その③ ~テクニック~
「キャリアの選択肢を持てる状態」とは
=「自分を高く売れる状態」
=わかりやすくいうなら「市場価値をあげること」と置き換えられる。
キャリアの市場価値を変換するなら、
価格(転職)時点において、買う意欲のある買い手(企業など)と売る意欲のある売り手(あなた)が、市場及び資産に関する十分な情報と市場での競争環境によって、市場評価が決定され価格(待遇)が成立する。
ということだ。
つまり、市場での競争環境の中で、あなたが提供し活用(転用)できる知恵や労働力に対して支払われる対価が市場価値だ。
当然、仮に転職しようとしたときに、前職の年収がそのまま市場価値になるわけではない。能力や実績そのものではなく、それによってターゲットとなるあらたな組織やフィールドでの成果発揮・貢献度の期待値を買われるのだ。
以下は、北野唯我さんの『転職の思考法』というベストセラー本で非常に的を得ていたので参考にさせてもらった。
彼は本の中でそのテクニックを3つ紹介している。
1つめは、技術資産。:価値のある技術をどれくらい持っているか。「専門性」と「経験」で構成されるもの。
2つめは、人的資産。:どれほどの人脈があるか、特に年を重ねるほどに重要なもの。
3つめは、業界の成長性。:給与の期待値を決めるもの。産業別のGDPが高いかどうか。またはこれから上昇するマーケットか。
これらのテクニックを頭に入れながら、キャリア選択をしてみるといいかもしれない。
いずれにしても、あらゆるフィールドでパフォーマンスを発揮できるように、自分の軸・哲学をもって、自走できるようにすることが重要ということだ。
・・・続く。
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