見出し画像

世界のまちづくり「ローマ(イタリア)_乗り捨て電動キックボード」

 都市内交通について、先日訪れたローマ、ナポリで面白い取り組みが根付いているようなので、備忘録までに。

1 米国、欧州で一般化しつつある電動キックボード

 イタリアのいくつかの都市では、乗り捨て電動キックボードが新たな交通手段として確立されつつあるようです。2017年頃からアメリカやヨーロッパを中心に広がったもので、イタリアでは密室にならず密集も避けられるため、新型コロナウイルスの感染拡大対策の一環として一気に広がったとか。

イタリアで移動手段として根付いた乗り捨て電動キックボード(ローマ)

 ナポリ観光中に利用者や乗り捨てられたキックボードをたくさん見たので、私も乗ってみました。想像以上に馬力があり、上り坂でも20km/hくらいの速度が出ます。ママチャリのような自転車よりも速い印象です。安定感もあり、また、見た目の割に足を置く台の部分は非常に重く、操作性も良いため「精巧に作り込まれた機械」という印象でした(これが災いして、女性には少しの段差を持ち上げるのも一苦労かもしれません)。利用は非常に手軽で、約5分程度でアプリのインストール、会員登録、利用登録が可能です。アプリからはその時点で利用可能なキックボードが乗り捨てられている位置をマップに表示できます。利用方法等の詳細な説明については非常にわかりやすくまとめられた記事があるので、そちらをご参照ください(例えば、「世界旅行雑記帳(https://feel-the-earth.com/memo/2021/07/electric-kickboard/)」。筆者もこちらの記事を参考にして利用しました。)

 日本でも自転車のシェアライドが各地で広まっていますが、筆者が個人的に電動キックスクーターが優れていると感じる点は、乗り捨てられたキックボードが占有する空間の小ささです。自転車なら1台乗り捨ててあるだけでも通行の邪魔になりますが、キックボードなら人の往来が多い歩道でもそれほど邪魔にはなっていないようでした。

比較的場所を取らない乗り捨てキックボード


 ローマやナポリでは2人乗りをしている親子やカップルもたくさん見かけました。ローマの街を駆け抜ける様はまさに現代風ローマの休日と行った感じ。初めて利用する筆者には乗るだけでも楽しいものでした。

2 日本でも実証実験開始

 イタリアでも導入されている電動キックボードメーカー「BIRD」の日本への導入に向けて、東京都立川市で実証実験が始まっているようです(DIAMOND SIGNAL「電動キックボード最大手BIRDがいよいよ上陸、「地元密着」で新時代の公共交通を目指す」_https://signal.diamond.jp/articles/-/913)。
 日本では電動キックボードが道路交通法で原動付き自転車に分類されるため、免許証の要否や使用方法等の点で導入が進んでいる欧米諸国と同様の使用方法が困難な点もあるようですが、日本なりの制度と活用方法を作り上げて実用が進むことを期待したいです。
 車社会が生む渋滞、地方都市の陳腐化等の問題にも一石を投じるきっかけになり得る技術の一つとして注目したいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?