正しい私の怖さ
今の職業は困ってる人を救うカスタマーセンターのスタッフをしている。カッコよくいうと、現場にヒーローを手配するための受付をしている。
…そう思わないと、時にはやっていけないくらい理不尽なことが多い現実。
何のカスタマーセンターなのかは伏せさせてもらうが、理不尽なお問合せの中で、ハッ!と自分を省みるような人がいた。
最初はすっごく丁寧で「こんにちは、お世話になっております。」と挨拶から始まり、必要な情報を自ら仰ってくださるお客様だった。
接客、接遇を職業としてる方なら誰もが「やった!いいお客様だ!」と喜ぶと思う。
そこから今回の用件について伺うと突然、白い天使だったお客様が一気に赤い鬼に変わった。
「私は対応に時間がかかると思ったから前もって!数日前から!連絡をして対応をお願いしてました!なのにどうして今も対応が完了していないのか?何をしていたのか?」と怒涛の質問攻め。
このお客様から問い合わせがあった季節は混み合う時期。お日にちがかかることは了承いただいていたが、お客様の感覚的には耐えれなかったようでお怒りの督促がきた…という内容だった。
赤い鬼になったお客様の主張の中に
『私はここまでの予想と計画を立てて行動しているのになぜまだ対応できていないのか?なぜ私の計画に見合う対応をしてくれないのか!』
という内容も含まれている。
イコール、自分の計画通りにいっていないことへの不満も加わっているのである。
もちろん、速やかな対応ができていないことについてはこちら側の不手際。だがこの世の中、計画通りにいかないことがほとんどである。
私はその真理を知っていたので内心、(なに言ってんの?計画通りにいったらラッキー!くらいのメンタルで生きなさいよ。)なんて思いつつ、謝り続けた。
だけどハッ!とした。
私は真理を知っておきながらも計画を立てて実行し、計画通りにいかなければ腹が立つ側の人間だと気づいた。
私が効率よく考えて計画を立てる。
そしてそれを計画通りに実行する。
この設計図が正しい!と思ってるのである。
ただ、私は外面がいいタイプなので"腹が立つ!"とアピールする場所や人は限られている。時と場合によるが娘にはアピールすることが多い。
でも母や妹も含めてその他の人にはアピールはしないし、できないメンタルの持ち主である。
(ちょっと趣旨がズレるが買い物中、紙袋代の5円を払ったが貰えなくて、レシートを確認するもやっぱり払ってて、でも自信満々に「ありがとうございましたー!」と店員さんにお見送りされたので言い出せずそのまま帰り、娘に聞いてー!と泣きつく外面の良い小心者です。)
だけど私と赤鬼の違いは、自分の正しさをアピールする場所の枠や線引きが違うだけであって、腹が立つポイントは同じである。
正しさを主張するのは怖い。
自分は間違っていない!正しい!と思うその気持ちを、一度は疑うことも必要だなと己の愚かな面を省みるきっかけになった。
赤鬼、サンキュー。
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