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【感想】『巡礼の年〜リスト・フェレンツ、魂の彷徨〜』

ミュージカル
『巡礼の年〜リスト・フェレンツ、魂の彷徨〜』
作・演出/生田 大和



花組東京公演千秋楽おめでとうございます!!!


わたしは、中止になる直前の18.19日に東京宝塚劇場にて観劇が叶いました。誕生日だったり、親愛なる相互さんに会えたりで喜びも一入だったのですが、自分が観劇できた喜びを感じた翌日には中止の報があり落胆が大きく観たくても観れなかった多くの人達を思うと呑気に感想を綴ることも憚られていました。


そんな個人的な悲喜こもごもではありましたが、拙い感想を綴りたいと思います。
いつもながら、ネタバレはありますのでご容赦下さい。










ストーリーの感想




リストについて、今回は特に予習などはせずに挑みました。
何となく彼について知っている僅かな知識だけでしたが、わかりやすいストーリーと展開だったと思います。
印象としては、案外と演奏シーンが少ないな笑 というところでしょうか。
ピアノを山車に乗せて盆が回転して、縦横無尽に舞台上を駆け巡るシーンはリストの美しさやミーハーな貴族たちの喧騒というか狂瀾を表現しているのでしょうか。しかし、何だかわたしは呆気に取られてしまいました…
ピンスポが当たる柚香光さんは、ひたすら美しかったです。

リストは、多くの未消化な劣等感、孤独感、焦燥感を感じ取ってくれた同じく孤独を抱える夫人と惹かれあい、逃避行の果てにやはりサンドからの助言により成功の道を求める。それが魂の巡礼になるのでしょうか…わたしの理解が追いつかないままでした。
魂の巡礼とは…何だったのかな

革命が終わり、邂逅した二人の穏やかな会話に時間の流れをとても感じたのだけれど、わたしの鳥頭には深い印象が残らなかったのでした。本当に自己嫌悪です。賢人の道は遠い…





キャストの感想



フランツ・リスト(柚香光)
美しい夢夢しいリスト
流れるような金髪から覗く顔は彫刻のように美しかったです。有無を言わせないスター感を柚香さんはありますよね。
麗しい青年から、落ち着いた壮年〜老年期すらも匂い立つような色気を感じるのでした。


マリー・ダグー伯爵夫人(星風まどか)
リストよりも歳上の夫人だったかと記憶していたのですが、やはり実年齢差は埋まらなかったかな…という印象。
大人っぽく成られたけれども、やはり少女のように燥ぐ姿からは夫の不貞に悩まされ、女性の自立に焦がれた既婚者深みはなかなかわたしには感じ取れなかったです。
解放されたギャップというのもあったのかしら。難しい。
しかし、フランス人形のように小顔で華やかで見目麗しい星風さんはとっても素敵でした。


フレデリック・ショパン(水美舞斗)
穏やかで人格者、それでいて神に愛された天才作曲家として落ち着いた雰囲気を放っておられたように感じました。
水美さんの抑えた助演ぶり、死の間際まで美しかったです。


ジョルジュ・サンド(永久輝せあ)
妖艶な男装の麗人。贔屓目もあるのは承知しておりますが、女声トーンも魅惑的で冒頭のリストとの官能的な絡みは思わず息を呑みました。
サンドは、大衆のなかにいても仕草が極まっていてついつい目を奪われる(ファンだからよね)ちょっと考え込む訳ありな目線や、リストやショパンとの絡みが好ましかったです。


ヴィクトル・ユゴー(高翔みず希)
元組長で、専科に成られたけれども花組にいるのが実にしっくりくるお方。
キャスト名を見て、そっかユゴーだったのか…とハッとしたくらい。


ダグー伯爵(飛龍つかさ)
卒業される演技も歌も素敵すぎるスターさん…好きでした。
優しそうな素顔から、悪役を演じられても何となく貴族の刹那的で破綻した生き方によって、妻に見限られた男の哀愁を感じ嫌いになれないキャラクターでした。
体面を重んじるモラハラ野郎なんだけど…中の人のおかげで嫌いになれない不思議…普段だったら絶対に嫌悪してるのにね。


ジギスムンド・タールベルク(帆純まひろ)
リストが何故、彼に対してあんなに酷い態度を取るのかわたしの予習不足でした。
タールベルク可哀想だった。
元々は、芸術家サロンのひとりだったのが喧嘩別れパトロンの座についてリストを見返そうとするけれどコテンパにされてしまう…
そんな役回りなのに、彼女が演じるタールベルクの野心が分かりやすい小物で非常にスパイスになっていたように感じました。


ラプリュナレド伯爵夫人(音くり寿)
卒業されてしまう実力派の音さん…
お顔は、妖精のように愛くるしいのに、権力を持ったパトロン夫人という役回り。
正直なところ、組長の美風さんあたりが適任だったように思うんだけども
こういう年増で嫌な役を全力で演じるのが彼女の役者魂なんだろうな…凄かった。
嫉妬や地位を利用した醜悪な振る舞いをこれでもかとやってくれて素晴らしかった。
彼女の最後の役を愛しているファンがいるのは承知しておりますが率直な気持ち
わたしの本音は、可愛らしいひたすら可愛らしい役も観たかった。
上手い人が故に、難しい役が多い印象(もちろん可愛い役もあったけど)外部での活躍を期待しています。さすが音くり寿ちゃんだなと唸りたい。


エミール・ド・ジラルダン(聖乃あすか)
キラキラ王子もビジュアル的にハマるけど、悪そうだったり知的さが表に出てくる役が実はすごく似合うんじゃないかと勝手に思い込んでる。
本当に綺麗な人だ。


エクトル・ベルリオーズ(希波らいと)
役回りというか、彼女の超絶スタイルと小顔、洗練された身のこなしが視線泥棒すぎる。動いたら絶対見てしまう…


オランプ・ぺリシエ(都姫ここ)
お顔が好きすぎて見ちゃう。可愛い…


少年リスト(美空真瑠)
この方、記憶違いかもだけど前も子役されていた?すごく上手い。


デルフィーヌ・ゲー(星空美咲)
何だかいつも硬い印象を受けるんだけど、背が高くて目がいくのはこれがスター性というやつなのかな…とぼんやり思うなど。


花組のコーラスが以前にも増して重厚に感じるのです。歌が上手い方も多い。
和海さんと峰果さんがわたしの花組視線泥棒の筆頭だと気づいたのでした。



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