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生活とバンド

妊娠、出産、育児というものは、まさしく生活である。それまでの生活が一変する。

7年前の12月、仲間みんなに見送られてドラム活動をやめた。

文字通り”生活”のためだ。

あれから7年、産まれた子供は6歳になる。

赤ちゃんのときは目が回る忙しいさと幸福感を感じる生活。育休明けるとワーママのジレンマに翻弄され、この3年はコロナ禍だ。

ライブハウスもバンドも夢のまた夢さ。こんな生活も悪くないさ。なんて管を巻いていたのだ。

そのくせラジオでは、好きな音楽や過去のバンド音源を紹介したり、ミュージシャンにインタビューしたりして、未練タラタラである。

ましてやドラマーなんてものはDTM全盛の今、いなくても成立するじゃないか。そしてDTMに挑戦するが、midiの設定がうまくいかずに、挫折。

やっぱりドラムをやりたいのだ。私は。

そんな中、ライブイベントでバンドをやらないか、とマニマニさんから声がかかる。

ヤンサン主題歌選手権でおなじみのミュージシャン、トガシとチヒーアンがメンバーということなのだ。

なんという幸運か!二つ返事でOKした。

そして、対バンしたバンドの仲間であるなおちゃんに声をかけてスタートしたのがフィクションズ。

ボーカルのチヒーアンは、オンライン上でしか活動していないというミュージシャン。
ベースのトガシはシンガーソングライター。
ギターのなおちゃんは1年ライブをやっていないという。
そしてドラムの私は7年ドラムもライブもやっていない。

そんなメンバーがライブをやるなんてその名の通りフィクションだろう。

初対面でバンドを組むのである。しかも、リハーサルの時間は4回8時間。

最初は探り探りな上に曲もうる覚え。

とりあえずやってみるかで出した音は、まさに文字通り”バンド”だった。

そうなんだ。コレがやりたかった。

ちょっと走ってない?とか、ここの音どうしてる?とかヤイノヤイノで決めていく過程。
だんだんとまとまっていく音、これぞバンドである。

この感覚は、10代の頃の初期衝動に近い感覚だったかもしれない。

そして、本番当日を迎える。

ステージ後方にセットされたドラムセットの中に入った。

7年の月日が一気に戻った。
「ただいま」と呟いてから、さぁ始めるか、と下手のベース側を見たらイナイ。

板付きで始めようと打ち合わせしてたのにいなくなっていたのだ。

いやいや、どこ行った。

どうするよ、と上手のギターを見たらやはり、イナイ。

仕方なく袖に戻った。

しばらくして戻ってきたのを確認してからステージに戻る。

DJが会場を盛り上げている。どうやって終わるんだろう、と思いながら、演奏をスタート。

次にギターがステージに上がり、そして、ベースがステージへ。

だんだんとDJから音の支配をステージへ促していく。

気持ちいい。

そして、ボーカル登場。

一層盛り上がる会場。

最高だ。

オレたちは最高のロックスターだぜ。ハンっとか思いながら、二曲目。
おや?構成が合わない。歌が飛んだらしい。

どうするよ。どうするよ。

もうこれはラストの部分やるしかない。
からの、チヒーアンと目配せして、「ドン」ブレイク。
歌が入った。上手くいった。
よし、なんかスゴい。やっぱりスゴい。

三曲目、もう大丈夫だろう。
おや?ベースの音が出ない。
大丈夫?大丈夫?

あ、戻った。
よしよし。

ラストはカウントが合わなかったか、ギターが入れずやり直し。
ごめーん。

色々やらかした。

けど、これぞライブだ。

ライブの後は、もう楽しむだけ、缶ビール2杯と仲間たちとの会話と音楽。

楽しい。

これがライブハウス。

空気が悪くて大抵の場合が調子悪くなるけど、それも含めてライブなのだ。

あの日から1週間。

余韻やさまざまな気持ちに向き合った。

今回学んだことは、マニー社長の強引でも「いいからヤッチャイナヨ」だ。

歩みを止めない。

Thanks love 


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