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歌を歌う

曲を作るのは楽しい。歌詞を書くのも好きだし楽しい。
歌うのも嫌いではない。

でも、自分の声は大嫌いだし、うまく表現ができなくて嫌なんだ。
できないものをやるのは苦しいからやらない。

そんななのに、作ったら表現したくなるのが心情なのだろうか。

意を決して弾き語りライブをすることにした。

ひとりスタジオに入ってみた。

「ギターが弾けない」
いかん。これはひとりではとても無理だ。
速攻でTHE KEMPでありフィクションズのギターなおちゃんに連絡する。
二つ返事で承諾してくれた。
さすがである。
彼にはなんとかする力がある。素晴らしい才能だ。

なおちゃんとは一度だけスタジオで合わせることができた。
「リズムキープできてるね」
そうなんだ。
そこだけはドラマーの利点と言えるかもしれない。

長年の経験でリズムはしっかりと頭に入っているのだろう。

そこからほとんど毎日練習をした。
やり込むしかない。

ギターはなんとなくよくなってきた気がする。
しかし、歌はダメだ。全くコツが掴めない。

そこで、もっと聴けるようにMTRにマイクとギターを繋いでやることにした。

少しずつわかってきたみたいだ。

並行してトガシバンドのリハーサルも本格的にやり込んでいた。
トガシは歌が上手い。
良く通る声も気持ちがいい。

バンドのリハが終わって帰ってからソロの練習していたら、毎日練習を聞いていた夫がこう言った。
「なんか歌良くなってるんじゃない?」

!!

歌が上手い人の影響で上手くなることがあるのかもしれない。

本番の3週間前くらいだっただろうか。
初めて喉が開くというのがわかった気がした。

2週間、1週間と本番が近づいてきた。
終わったらどんな気持ちだろうか、みんな楽しんでくれるだろうか。

不安をよそにその日は迫ってきた。

前日、声が掠れている。
よみがえる悪夢。
一度だけチャレンジした弾き語りのライブで喉が枯れてしまい、声がカスカスとなり大失敗した。

もうあんなことには絶対にしてはならないと、のど飴を口に運ぶこと3度。
なんとか大丈夫になった。
あとは本番を待つだけだ。

いよいよ本番当日。

時々襲いかかってくる吐き気と若干の高揚感で変な気分だ。

リハーサルではなおちゃんがギターソロを用意してきてくれた。

ほとんど即興のようなものなのに本当に凄い人だ。

そんなサプライズに気合いが入った。

もうやるしかねぇ。

本番、ステージから客席を見下ろす。3ヶ月想像してきたステージからの景色。不思議と緊張はなくなっていた。
覚悟が決まったらしい。

曲については、別途書くことにするが、ほぼ初めての弾き歌いはギターなおちゃんの助けによってなんとか歌うことができた。

気分はどうだろうな。
楽しさは感じなかった。
そんな余裕はなかった。

けど、何かを感じ取ってもらえたと思う。

中央線の車内で思い出しながら書いている。
三角屋根が見えた。
国立駅を降りて、家に帰る。

人それぞれの想いを感じながら。

Thanks love

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