パソコン音楽クラブの「See-Voice」が本当に素晴らしい作品だった

 ただただ素晴らしかった。これだけで良いんだけど、「どうにかこの素晴らしさを言葉にしないといけない」という気持ちにもさせてくれる素晴らしさだった。

 まず最初の印象、アートワークとタイトルについて。真っ青な空と海の間に佇む白い建物が印象的なジャケットで、この時点ですでに最高だと思ってしまった。写真は別に古いものではないと思うんだけど、この懐かしさは何なんだろうか。彼らの作品について語られる時「懐かしさ」という要素はしばしば登場する。また、これまでのアルバムでは「夜」を感じさせるジャケットが多かったのに対して、今回は真昼間の快晴。とても爽やかで気持ちのいい曲が聴けそう!という単純な感想を持った。「See-Voice」というタイトルは直訳すると「声を見る」だが、このジャケットを眺めるとやはり「SEA-Voice」、「海の声」を想像する。爽やかで懐かしくて新しくて幻想的な、そういう曲をイメージした。

 リリース日前日、ディスクユニオンに走って「See-Voice」のCDを購入した。翌日になればストリーミングでも配信されるんだろうけど、やっぱり「このCDを買いたい。買わなければいけない。」という気持ちになることはある。理由とかはよくわからない。でも買いたくなる瞬間はある。PCのCDドライブが壊れているので、帰宅するまでCDを聴けず非常に焦らされた。でもまあ、そういうのも良いんじゃないですかね。

 実際の中身、楽曲について。何回も言うんですが、本当に素晴らしかったです。なんだろう、音が良かったんですよ。言葉でどう表現すればいいのかマジでわからない。音が良かったんですよね。煌めいている感じがします。音楽素人の私が聴いても彼らの音への真摯なこだわりみたいなものが実感として伝わってきました。全体を通して、アルバムタイトル、アートワーク、楽曲が一貫していて非常にコンセプチュアルな作品だと思いました。

 特に好きだった、というか今年聴いた曲でトップ5、いや、3には食い込む曲があって、それが弓木英梨乃さんをボーカルに迎えた「Panorama」という曲。この曲は元々自分の中でも非常に楽しみにしていた曲で、その理由が弓木さんが客演しているという点。弓木さんは、キリンジや吉澤嘉代子さんなど私の好きな音楽に関わりの深い人物で、自身のYouTubeチャンネルでも笑顔で強烈なギターを鳴らすスーパーギタリストなのですが、そんな弓木さんとパソコン音楽クラブの共演はとても楽しみでした。

 スゥ――――っと響く音が夢のようで、弓木さんの柔らかだけど芯のある声、サビの開放感に涙が出そうになった。ドライブしてる時に長いトンネルに入るとするじゃないですか。薄暗いし、長いし、景色も変わらないから退屈だと思うんですけど、その先でトンネルを抜けた時に、でっかい海が見えたとするじゃないですか。そしたら叫ぶじゃないですか。その叫んだ時の感情とPanoramaを聴いている時の感情は似ている気がします。もう感謝しかできない。ずっと聴いていたい。ありがとうございました。

 まだまだ全然聴き足りない。この手元にあるCDはずっと持っていたいと思うし、目に見えるところに置いておきたい。繰り返し何度も聴きたい。多くの人の中で、そして私自身の中でも、長く聴かれ続ける作品になるのだろう。そういう確信を持っている。是非たくさんの人に聴いて欲しい。

 特設サイトの文章も素敵なものでした。


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