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贈り物

普段使うけれど、だからといって買わなさそうなものをプレゼントやギフトとして選ぶことが多い。相手や場合にもよるが、大切な人には喜んで使ってもらえそうなものを選びたい。

今回は私が今まで物をプレゼントした中で、何年も前の話だが一番印象に残っているときのことを話したい。


プレゼントを渡した相手は母のいとこにあたる人で、私の両親と同じくらいの歳である。いつも顔を出せば、可愛がってくれる。
いつも何かと気にかけてくれるので、高校の修学旅行のときにお土産を何か送りたいと思った。

旅行先が京都だったので、定番の八つ橋と何かにしようと考えていた。
さて、何にしよう。売り場をうろうろ。
夫婦なので2人で使えるものか、色違いのものを2個となる。

箸が売られていた。一目見て気に入り箸に決めた。毎日食事をする。ずっと楽しい食卓を囲めたらと思い夫婦箸を選んだ。

旅行から帰ってきてから手紙をしたためて送った。
本当は手渡ししたかったが、遠いので断念した。
すると次の日、届いたという電話が掛かってきた。

いやぁ、荷物届くと思ってなくてびっくりした。ありがとうね。
手紙からお土産を選んだ様子とか垣間見えてね。すごく嬉しかった。私たちにお土産を…って思ってくれたその気持ちがまず嬉しかったんだ。
お土産を選ぶときに、私たちの顔が浮かんでいたというそのことが嬉しかった。

私たち夫婦は子どもがいないから、修学旅行の土産をもらうことはないと思ってたのよね。娘がいたらこんな感じなんだろうねって話してたの。

まさか頂けると思ってなかったから、おばさん涙が出るほど嬉しかったよ。しかもお箸はずっと使えるものだよね。夫婦で大切に使おうねって話したよ。旅のお裾分けを本当にどうもありがとう。

と電話口で話していた。今でも鮮明に覚えている。
電話を受けた私も嬉しかった。お土産を喜んでもらえたことも嬉しかったが、何よりも気持ちが届いたことが一番良かった。

お土産を送って良かったと今でも思う。
そのお土産を送ったのは何年も前の話だが、お土産のことを覚えていてくれている。今も大事に使ってくれているようだ。記憶に残っていて、なおかつ使ってくれていると聞くことが嬉しい。

電話口で聞いた「旅のお裾分け」という言葉が気に入っていて、お土産を買うときにはその言葉を思い浮かべるようになった。何か旅らしさを感じるようなものを選ぼう、旅を感じられるけれどもらって嬉しいものを。そう考えながら選ぶようにしている。

プレゼントを渡すときに消えものも良いけれど、残るものも良いと思った。旅の思い出もそうだが、お土産も大切にできたらと思っている。
次はいつ旅行に行けるのかわからないが、旅行するときにはお土産選びも含めて楽しみたい。