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デザインチームの2023年、チームで壁を越えていく

こんにちは。
GMOペパボ株式会社 EC事業部 シニアデザインリードのりんです。

ECサイト構築・運営を支援するSaaS型プラットフォーム「カラーミーショップ」の開発チームは複数に分かれています。それらのチームが作った機能のユーザー体験に一貫性を保つ責任を持っているのが、私たちデザイナーです。

カラーミーショップのデザイナーは、各々の得意なスキルを横断的に活躍するためにデザインチームに属しています。

デザイナーは分権型から集権型へ


この記事では、カラーミーショップ デザインチームの2023年の取り組みをご紹介します。

2022年の取り組みは以下の記事にて。



年初に感じていた「属人化」の解消

デザインチームは2022年1月に立ち上がり、現在で丸2年になりました。
1年目を終えて感じていた課題感は、一部デザイナーに役割が属人化していることでした。カラーミーショップはEC業務支援サービスというドメイン上、仕様が複雑なため、属人化してしまうと代わりに対応することが難しくなりボトルネックになってしまいます。

とはいえ、チーム全員が100%把握&対応できる状況を作ることは現実的ではないので、以下のような取り組みで徐々に解消しました。

1. コミュニケーションデザイン、プロダクトデザインで領域を明確にわける
2. 最低でも2人以上は対応が可能な状況をつくる
3. 細かく壁打ちをするよう心がける → 文化にする

1. コミュニケーションデザイン、プロダクトデザインで領域を明確にわける

カラーミーショップを運営しているGMOペパボでは、デザイナーがデザインする対象を「Product」「Communication」と定義しています。

ペパボデザインスキーム

領域を分けることで、それぞれの役割や得意とするスキルを明確にし自他共
に認識できることを目指しました。

デザイン領域を2つに分類

結果的にアサインメントが容易になり、各領域に属するデザイナーの横のつながりを強化することができました。

2. 最低でも2人以上は対応が可能な状況をつくる

デザイナーが関わる領域が拡大する中、他よりも触れる機会が少ない開発環境などが特に属人化してしまう傾向にあり、何かしらの手を加える必要が出た際に各デザイナーがキャッチアップすることに時間がかかってしまう課題がありました。
そこで、最初は時間がかかってもその環境に詳しい人が2名以上いる状態にしておくことで、どちらかが対応できる、また普段関わりが少ないデザイナーが対応する際にサポートできる体制を目指しています。

3. 細かく壁打ちをするよう心がける → 文化にする

属人化の突破口が見つからず悩んでいたデザインリードはみんなに相談しました 😂

みんな助けてくれ〜

ちなみに「伸びしろ飲み会」とは、デザイナーがカラーミーショップの管理画面を隅々眺めて、「もっとこうしたい」「こうすると良くなる」=伸びしろを、すべてのしがらみを取っ払って好き放題言ってもOKな会です。しがらみを取っ払う(変に気を遣ったりしないようにする)必要があるので、業務時間外で飲み物や食べ物を持ち寄ってフランクに話せる形で開催しようと、有志が企画してくれました。

その「伸びしろ飲み会」で気付いたことは、私が想像してた以上にデザイナー全員がカラーミーショップ全体に対してオーナーシップを持って取り組んでくれているということでした。
そこで、今後のデザインチームのあり方をみんなに相談してみようと思ったのでした。

相談タイムには1〜2人集まってくれたら良いなと思っていたのに、なんとデザインチーム全員が参加してくれました!(ありがとう)

14分後にはランチの予定が立てられた(感謝〜)

相談する中で出たのは、施策の要件や仕様が複雑なものが多く、担当デザイナー以外が関わることが難しいとみんなが感じていることでした。
そこで、施策の概要やデザインで検討したことをドキュメントを残しておくことはもちろん、デザインの方向性をまとめた初期の段階から他のデザイナーと壁打ちしようということになりました。
壁打ちをする上で、する側は施策の概要を説明する、受ける側はそれを理解する必要があるため、ブラックボックスをなくすことができるのではと考えました。

現在は前以上に頻繁に壁打ちが行われており、お互いの取り組みを知れることに加えて担当デザイナーの(属人化することによる)心理的負荷も多少軽減されているように感じています。


足元の施策を実行しながら、中長期で効いてくる「仕組み」づくり

今年は以下のように、足元の施策を実行しながら、中長期を見据えて質を上げていく仕組みづくりを進めていきました。

リサーチとアートディレクションは仕組み化フェーズへ

昨年は開発プロセスの初期段階などのリサーチ支援を行い、その効果を実感してもらうことができました。今年は支援がなくとも各自がリサーチが行えるようスケールするために、仕組み化を進めています。リサーチの取り組みについては、ぜひデザインチームのリサーチャーである、まあやの記事をご覧ください!

また、昨年からスタートしたカラーミーショップのビジュアルアイデンティティ刷新。これらをサービスの各タッチポイントに展開するためのアートディレクション及び各種アセットやガイドラインの策定を進めています。

コンテンツ作成プロセスの改善

これまで、サービスサイトには必要最低限のコンテンツしかありませんでした。ですが、カラーミーショップのミッション「ECの多様性を広げる」を実行していくにあたり、私たちのサービスでできることを提案・発信していく必要があります。そこで、今年はコンテンツを拡充を積極的に行いました。
コンテンツ制作では、コンテンツストラテジーモデルを活用しています。

ユーザーやコンテキストに沿ったコンテンツを提供することで、やみくもに広い層ではなく、特定のターゲットに的確に刺すことができます。そのようなコンテンツを増やしていくことができるよう、ディレクターと協力して制作プロセスの改善を進めました。

管理画面リニューアルとデザインシステム活用

カラーミーショップでは現在、管理画面の抜本的なリニューアルを進めています。
18年前のリリース初期は個人や小規模事業者を対象としたサービスでしたが、ユーザーの成長とともにニーズも変化し、現在は中小企業や複数店舗展開を行う事業者なども支援しています。ECドメインにおける基本的な概念と関係の定義は大きく変わることがなくても、ユーザーの事業規模の拡大や変化し続けるビジネスに対応し続ける必要があります。そこで、業務体験リサーチなどを行いながらドメインモデルの更新を進め、表層だけでなく構造からプロダクトの見直しを進めています。

リニューアルをスピーディに進めるために、デザインシステムの活用も行っています。ペパボには共通基盤デザインシステム「Inhouse」があるため、それをもとにしながら開発を進めています。

仕組みづくりについては、以下の連載でも紹介しています。


チームとしての成長

今年とても大きな変化として感じたことは、デザイナーそれぞれの成長でした。チームや事業部内だけにとどまらず、他事業部との協力や知見の横展開、社外コミュニティでの活躍など、それぞれが領域を広げた1年でした。

個人の成長が結果としてチームを強くするので、私はデザインリードとして引き続きみんながチャレンジし続けられる環境を作っていきたいです。


2024年取り組みたいこと

昨年から課題に感じている「デザインの成果をどのように測るか」というところは、まだ自分の中で正解を見つけることができていないので、そこは引き続き取り組んでいきます。(外部のデザイナーさんと何度もこの話をしているけど、正直とても難しいな〜と感じています 😇)

とはいえ、デザインチームの成長や手応え的なものは感じているので、2024年はより大きなユーザー価値を生み出せるように、引き続き取り組んでいきたいと思います!!!


この記事は SaaS Designer Advent Calendar 2023 の19日目の記事でした。
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