14_桂離宮の色彩(3)〜未完成の美学

画像1 『桂離宮』は江戸時代であった四百年ほど前、八条宮智仁親王と智忠親王の二代に渡る親王によって五十年余りの歳月 を費やして創建された「月見を楽しむため」の別荘です。
画像2 写真右端の「住吉の松」は「すぐに庭内全容を見せない目隠しのような効果」が狙いであり、その後も景色は移動する度にどんどん変わっていき、しかも次の景観は突然目前に現れるという演出の繰り返しで、いつも新鮮な感動があります。
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画像8 敷石や飛石に使われている様々な土地から集められた自然石は、当然二つとして同じものはありません。 灯籠や手水の類においても庭内で「唯一無二」であることが徹底されています。
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画像10 桂離宮の魅力の一つは粋な遊び心満載のディテールですが、例えば竹や木を織り交ぜて作られた面格子のコンビネーションは、今にも自然の中に溶け込んでいきそうな奔放さがあります。
画像11 ある人にとっては、芸術作品というものは、作者の死によってしか完成しないものである。 その意味では桂離宮という作品は、智仁親王の死によって初めて完成したものだと言えるだろう。 智仁親王は生きている限り、この庭の完成を目指し、石を置いたり、とったり、移したリ、そういうことを繰り返していたに違いない。(井上靖)
画像12 派手な色彩を施しているわけでもなく、どちらかというと一見地味な印象の離宮がなぜそんなに多くの人を夢中にさせ、何度も引き寄せて感動させるのか・・・その魅力の秘密は「作者が完成だとは思っていない」ところにあるのかも知れませんね。

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