42.グレーの奥に見える彩り

夢に、とある人が出てきた。

新卒の頃働いていた会社の方で、どちらかというと苦手な人だった。

少し威圧感があって、でもやさしい面もあるのだなと関わっていくうちに感じたことを覚えている。

グレーのスーツと大きな眼鏡、特別な日には必ず素敵なネクタイをしていた。

当時は会うと緊張が走る感覚があったけれど、今思い返した時の身体の感覚は違うな、と思う。

威圧感は、きっとその方の本質ではなく、社会的な役割が纏わせたものだったのだろう。

時には”なぜそんなことを言うのだろう？”という言葉を受け取ったこともあったけれど、それはその方自身が誰かから受け取ったものが湧き出てきただけだったのかもしれない。

奥には痛みや悲しみのような感情もあったのかもしれない。

当時は私とその人の間には超えられない壁があると思っていたけれど、今はどこかでつながっているような感覚がある。

昔に比べて苦手な人が減ってきた。

自分にとって大切なものを大切にしながら環境を選び、変化してきたことも理由としてある。

もう一つは、目の前の人の態度や言動の奥にあるものに思いを馳せるようになったからだと思う。

そうすると、グレー色に見えていた相手の奥に、美しい色が見える時があるのだ。

2022.2.9 Wed 8:41