劣等感ブースト 20240330
昨日、檀山に登ったら、頂上付近では桜がひらき始めていました。
いよいよ。
いよいよ春ですね。
宿の方も忙しくなってきて、日々、バタバタと動き回ることが多くなりました。
忙しいとは言っても、ちゃんと休み休みやる余裕はあるし、以前に比べて心地好く仕事ができているなぁとおもいます。
豊島に来たばかりの頃は、プライベートにしても民宿の仕事にしても、とにかく余裕がなかった。
嫁入りした家に慣れることにまず四苦八苦したし、短期間で結婚を決めてしまった夫と足並みを合わせることには、かなり苦労しました。
(甲生の浜でよく泣きました。)
そして、全く未経験の民宿スタッフという仕事。
掃除をすることと布団を敷くことという基本の仕事に加え、ご飯を作ること。そして、お客さんとコミュニケーションをとること。
実家で両親と暮らしていたから家事には慣れていたけれど、お客さんに対してのそれらの仕事は、お金をいただくという意味では、また違う意味を持っている。
一時期のわたしは、そのプレッシャーに打ちのめされそうになっていました。
掃除にこだわり過ぎて、布団の用意が間に合わない。
段取りがうまくいかなくて、大人数のお客さんへのご飯の提供が遅くなってしまう。
自分の会話が薄っぺらい感じがして、自己嫌悪に陥る。
不安になり過ぎて、予約の電話をとるのも怖くなる。
それでも、笑顔でお客さんが宿から出かけてゆくのを見送るときは、こころから嬉しくて、充実感でいっぱいになり、また次も頑張ろうと思うのでした。
そんなふうに、ネガティブとポジティブを繰り返していたあるとき、泣きそうになりながらお客さんのシーツのアイロンがけをしていたわたしに、夫が言いました。
「わこにこの仕事は向いてないかもな」
その瞬間、わたしに湧きおこったのは、「悔しい」という感情でした。
「向いてない」と言われたことも悔しかったし、「向いてない」という言葉一つで、今までこの民宿でしてきたことのすべてが否定されたようで悔しかった。
でも、その瞬間にわかったのです。
わたし、この仕事、上手くできてはいないかもしれないけれど、すごく「好き」なんだってことに。
なんだかんだと後ろ向きな感情に揺さぶられながらも、投げ出さないでこの仕事と向き合えてきたのは、わたしがこの仕事を好きで、そして民宿に来てくれるお客さんたちのことが好きだから。
そのことに気付いた時、今までのしかかってきていたプレッシャーが、まるっと喜びに変わったような気がしたのです。
こう見えて、わたしは負けず嫌いです。
日々、「悔しい」をバネにして生き延びてるような気さえする。
わたしはその「悔しい」という感情を、てんちむの言葉を借りて、「劣等感ブースト」と呼び、必要な時はエンジン吹かして前に進んでいます。
だから、まぁ悔しいけど、「悔しい」という感情を引き出してくれた夫にも感謝をしています。
今は、お客さんのことは、里帰りしてきた家族みたいに迎えています。
それが合っているのか間違っているのかわからないけれど、少なくとも私はここでどんなひとにも「おかえり」を渡せるひとになりたいとおもっています。
わたしたちはいつでもここにいます。
そしていつでも「いってらっしゃい」と、笑顔で手を振りたいとおもっています。
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