「チンアナゴ顔見せ祭り」に関する一考察
おはようございます。ムラカミ・ユウヤです。
本日は、GWに開催されたすみだ水族館のイベント「チンアナゴ顔見せ祭り」の素晴らしさについて、勝手な考察をしたいと思います。
5月3-5日にFacetimeとtwitterでライブ配信されたこのイベントは、ただ「チンアナゴをながめるだけ」にもかかわらず、100万人を超えるFacetime着信、200万人以上のライブ配信視聴者数を記録しました。
なぜチンアナゴをながめるだけのイベントに累計300万人も参加したのでしょうか?
なんだか考え出したら止まらなくなってきたので、noteに投稿します。
論理的でもないし、感覚的な部分も多いですが、よかったらご覧ください。
「チンアナゴ顔見せ祭り」について
きっかけは、3月からの臨時休館でした。
チンアナゴは本来、非常に繊細で警戒心の強いいきものなため、すぐに砂の中に潜って隠れてしまいます。一方、約300匹がひとつの水槽で暮らすすみだ水族館のチンアナゴたちはお客さまがいることが日常なため、人が近づいても潜ることはほとんどありません。
ところが、2020年3月1日(日)よりすみだ水族館が臨時休館に入って以降、館内のチンアナゴたちにある変化が。
“人がいない環境”が日常になったことで人間の存在を忘れ始めてしまったのか、飼育スタッフが通りかかってもすぐに砂に潜って隠れてしまう事態に。チンアナゴたちが姿をみせなくなったことで、飼育スタッフが日頃行っている「元気かどうか」「痩せ細っていないか」「病気になっていないか」などを確認するのが難しくなりました。
(すみだ水族館HPより)
つまり、チンアナゴが砂から出てこなくなってしまったことで、飼育員の方々が健康管理できない、という状況に陥ってしまったのです。
そこで、「チンアナゴ顔見せ祭り」が緊急開催されることになりました。
【開催概要】
・日時:5月3-5日 各10-14時半(4.5時間/日)
・方法:Facetime(5台)を使い、チンアナゴ水槽前に設置されたタブレット端末とビデオ通話で顔見せして手を振ったり呼びかけたりする。1人の所要時間は5分程度。
Facetimeのキャパは、4.5時間×3日÷5分×5台=810件程度です。
しかし、フタを開けると、3日間で100万人を超える着信を記録しました。
単純計算すると、1台につき1秒あたり4人以上の着信があったことになります。
これはもう人気歌手のライブチケットと同じくらいの競争率な気がします。
では、もともとチンアナゴのファンがたくさんいたのでしょうか?
Youtubeで「チンアナゴ」と検索すると、「ちんあなごのうた」の再生回数が61万回。7年前のすみだ水族館のチンアナゴ動画が9.4万回。
一方、イルカやシャチのショーの動画は700万回を超えるものも。
水族館系は、やはりイルカやシャチのほうが再生回数も強いようです。
また、「#チンアナゴ」ツイート数はこの2日で100件ほどです(TweetReachの検索結果より)。
たぶんですが、これもそれほど多くありません。
ということで、累計300万という数字は、やはり突出した記録であったことがわかります。
個人的に考えるこのイベントのスゴさ
数字だけを見てもスゴさは十分伝わりますが、個人的には、このイベントの成果はそれだけではないと思います。
①チンアナゴの生態を学べた
水族館でチンアナゴが砂から出ているのは人間に慣れているから、ということを今回初めて知った方も多いと思います(私も)。みんなのチンアナゴ知識が格段に向上しました。
②スタッフさんの大変さを感じられた
コロナにより水族館のみなさんがどれほど苦労されているのかを理解すると同時に、生き物のことを第一に考えて活動されていることを知り、尊敬しました。
③ふだんは来れないような地方、海外の人もすみだ水族館に行けた(バーチャルで)
今回のイベントで、バーチャルではありますが、すみだ水族館に行くことができました。
地方だと、すみだ水族館に行きたくても行けない、もしくは地元の水族館でも十分だ、という人も多かったはずです。
参加した人は、「いつか本物を見に行こう」と思ったに違いありません。
このように、多くの経験と学びを得られた、という意味で、素晴らしいイベントだと思いました。
なぜこんなに参加したのだろうか?
では、なぜ累計300万人もの人が参加したのでしょうか?
個人的には、「誰かのために」と「ライブ感」と「ゆるさ」の3重奏がポイントだと思います。
①誰かのために
ほかの人を助けてあげたいという欲求が私たちの中にはあります。
たぶん、「困ってます」と言わずにただライブ配信しただけだったら、ここまで数字は伸びなかったはずです。
②ライブ感
水族館に行くのと同じように、「この瞬間しか見られない」ことに私たちはときめいちゃいます。
③ゆるさ
チンアナゴのゆったりとした動きは、心が落ち着く魅力にどこかあふれています。コロナによる自粛疲れもたまるなか、チンアナゴの動きに癒された人も多いはずです(アーカイブを見た私も癒されました)。
すみだ水族館のスタッフさんたちが日夜悩んで計画された(と想像する)このイベントは、私たちの心の奥をいろんな角度からくすぐって、そして鷲掴みにしました。
まさしく、ウィズ/アフターコロナ時代の新しい水族館の「魅せ方」が体現された、と言っても過言ではないと思います。
まとめ
これまでもチンアナゴは人気がありましたが、イルカなどの大きな生き物に比べると、「水族館に行く目的」そのものにはなりづらかったと思います。
しかし、今回のイベントによって、チンアナゴは新たなファンを獲得しました。
かく言う私も、もともとチンアナゴが好きでしたが、もっと好きになりました。
たぶん、いまクラウドファンディングをやれば目標金額を軽く達成しそうな勢いです。ぜひ今後の快進撃に期待したいと思います。
(変な終わり方ですみません)
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