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松籟庵日乗その1

 以前、Twitterのハッシュタグ #バーチャルnote部 が気になるというツイートをしていたが、今回から不定期にその末席を汚すような備忘録的ななんかを書き残していこうと思う。
 「つれづれなるままに、日暮らし、硯にむかひて~」などという、ブログはおろか物理日記の冒頭にすら使い古されたであろう手垢まみれの序文は用いないが、内容としてはその通りである。妖怪と関係有る事無い事を思うまま記すので、読み手諸氏も肩の力を抜ききって読んでもらいたい。
 ちなみにこの雑文のタイトルは、永井荷風『断腸亭日乗』のパロディである。これだって使い古しな気もするのだが……。

河鍋暁斎の作品が立体化

 幕末から明治にかけて活躍した絵師・河鍋暁斎の作品が小さなフィギュアになるらしい。ラインナップはいかにも妖怪怪奇が好きなものどもが喜びそうなものばかりで、私個人も非常に気になっている。

 暁斎(これで「ぎょうさい」でなく「きょうさい」と読むのが間違いやすいポイント)といえば、もとは狩野派に属していたにも関わらず、様々な流派の画法や国外の技術を取り入れ、とにかく自分の思うがままに描き続けた人物である。その個性的で斬新な画風は確かに立体化しても非常に“映える”。

 このラインナップで好きなのは、当然『鳥獣戯画 猫又と狸』……といいたいが、ここは敢えて『美人観蛙戯図』の蛙の方を挙げてみる。元の絵を鑑賞すればわかるのだが、この絵の主題はあくまで蛙たちを眺める女性が主題であり、蛙は小さく無数に描かれた脇役に過ぎない。その脇役蛙たちの中から更に、相撲を組む蛙ではなくその取組を腕組みしながら眺める端役蛙を取り上げたのが実際面白い。ドッシリと腰を落ち着け喉を膨らませる二匹の蛙は、大きく注目すると確かな安定感があり見るものを和ませる。派手さはないものの、手に取りやすさは随一だろう。

 どうやら近いタイミングで、歌川国芳の『金魚づくし 酒のざしき』のミニフィギュアも出るようで、『金魚づくし』好きとしてはこっちも欲しくなる。金魚の方は8月、暁斎の方は10月に発売とのことで、今から待ち遠しい。

京極堂が先生になったら宿題忘れとか絶対できない

 ニコニコ漫画で公開が開始された『中禅寺先生物怪講義録 先生が謎を解いてしまうから。』。京極夏彦によるミステリー?妖怪?小説シリーズの主人公的立ち位置に一応いる「京極堂」こと中禅寺秋彦の若き頃を描いた外伝漫画だ。手掛けるのは当然、安心と信頼の志水アキ先生。元々「少年マガジンエッジ」で連載されているものが、単行本化を機にネット上でも公開が始まったもののようで、恥ずかしながら今回の件で初めて知った。

 京極堂が戦後まもなくは高校で教鞭を執っていたのは知っていたが、改めて作品としてその姿を見せられると「京極堂の洋装ってやっぱ見慣れないな……」ってのと同時に「こんな怖い顔の先生とか絶対イヤだな……」と思ってしまう。笑い顔など想像もできない死神めいた仏頂面で、開口一番「個々の生徒の詳細など知る必要はありません」などと言い放たれたらそんなの恐怖しかないですやん……。しかもそこは京極堂、会話もしていないはずの担当生徒の顔と名前を全て記憶しているのだからますます恐ろしい。大体知ってるからわざわざ自己紹介の必要はないって意味もあったのね……こわ……。こんな先生とこれから物語を回していく日下部栞奈ちゃんの苦労が偲ばれるね。

 一話を読んでみて面白さは間違いないと思ったし、そもそも京極作品のコミカライズとしては百点中百億点を叩き出せる志水アキ先生なのだから、これはもう読み進めていくしかないでしょう。単行本も買おうな。

燦鳥ノム様の歌声はこの苦界に響き渡る天上の調べ

 私は度々配信とかでも燦鳥ノム様の素晴らしさについて触れていたと思うが、本腰を入れて語る機会がなかなか訪れなかったので、この雑感では折に触れて語っていこうと思う。まずは上記の配信アーカイブ(約一時間半)を見ろ。何も言わずに見ろ。

 ……いかがだっただろうか?燦鳥様の愛らしさや美しさ、ひたむきさが脳に沁み渡っただろうか? 結構、では続けよう。

 今回の配信は初のお歌配信だったということで、燦鳥様のその歌声をどっぷりと体感できる一時間半だった。燦鳥様は基本的に動画による活動が中心であり、その中で「歌ってみた」系の動画も多々アップされている。それらお歌動画のオススメについては後日に譲るとして、重要なのは生のお歌を聴く機会が早々ないという点である。

 配信という慣れない環境でも、燦鳥様の歌声は変わることなく……否、緊張と歌う喜びを含んだその歌声は収録のそれとはまた違った奥ゆかしさと柔らかさを伴って、更に美しい音楽となって響き渡る。アップテンポな曲から落ち着いた曲、ボカロ曲や童謡など、それぞれの特色を巧緻に歌い分ける技量の高さも伺い知れる。この一時間半は、まさに歌手としての燦鳥様を十二分に堪能できる時間だったと言えるだろう。

 そしてお歌の合間に挟まれたウクレレトーク……なんでウクレレで質問に答えるんだなどという疑問は犬にでも食わせろ。カワイイだからいいんだ。漫談みたいになってるのは確かにそうだが、いいじゃないかウクレレ漫談トーク。VTuberとしては新領域だ。まだまだコードのお勉強中とのことなので、これからのウクレレに期待しています(次もあるのかは不明)。

 私がここまで熱烈に推せるVの方は、実際この燦鳥ノム様をおいて他にはいないので、諸氏もとりあえずは歌ってみた動画とかゲーム動画とか短くまとまっている動画から観始めてほしい。どれも燦鳥様の魅力が最後までたっぷり詰まっているから。実際私自身がバズるとかはどうでもいいから燦鳥様がもっと躍進できるように応援してあげてほしいのだよなあ。よろしくお願いします。

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蠱毒大佐◉妖怪蒐集VTuber
妖怪文化愛好系ぶいちゅーばー存在。
民俗、美術、文学などから妖怪を観察します。
調査報告動画、作業配信、妖怪文化について語る雑談などをします。
たまに妖怪以外にも何かします。
日本史・日本文化系VTuberの集い「和同沙倫」所属。
◉Twitter:@Colonel_Kodoku
妖怪伝承投稿企画「百怪蒐録」
マシュマロ

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