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これはあくまで

親友が結婚したり、友人が長年同棲していた恋人と別れたり、兄弟に子どもが生まれたり、職場の先輩が転職したり、同僚が海外勤務になったり。

自分が好意や尊敬や何らかの関心をもつ相手が新しい生活を始めるとき、わたしの感情には波が立つ。祝福と喜びと寂しさと嫉妬と羨望と…大切な人だからこそ、その全てを表には出さないし出すつもりもない

好きなアイドルの報道に対するわたしの感情も多分それと同じような感情なんだと思う

わたしはよく頭のなかで会話をする。頭のなかの自分、大好きな友人や家族、同僚など、その時思い浮かんだ人が勝手に脳内に登場して喋るかたちで思考が展開している…ふだん意識すらしないほどずっと。職場でPCを前に焦っているとき、通勤の電車のなかで、映画館で、野菜を包丁で刻みながら

そういう周囲の大切な人と同じように、応援しているアイドルや大好きな小説の登場人物なんかもすっと登場する。

それくらい馴染み深い人としてアイドルのことを認識してしまっている、勝手に

直接話したこともなければ、相手はわたしのことも知らない。そこに悲しさも寂しさも全く無い。そもそもがあまりに一方的な関係性で、相手と相互関係をとることはタブーで、だからこそ気楽なはずなのに、ただひたすら勝手に親しみを感じてしまう。その親しみの中にはときめきや憧れや尊敬、いろいろな感情が含まれていてぐちゃぐちゃに絡まり、わたしにも綺麗に整理することができない。
基本的にはポジティブで暖かくてきらきらした感情にしてくれる、時には安息場のような存在としてわたしの中にあるのだけれど。

だから本人も意図していないリアルなライフステージの変化(の予兆)を突然見せられても、
失恋しちゃった!ショック!なんて感情にはならない(わたしが自覚しているよりちゃんとアラサーだから)
これは一体…?と自分でも首を傾げながら、ショックと驚きと寂しさ、咄嗟に比較対照的に反芻したわたしの将来への不安と、そんな自分の感情への嫌悪と、収益のためにひとのプライベートを切り売りする人間への哀れみと…いろんな感情がないまぜになったものを受け止めようとする

でもどんなに考えてみても、アイドルとファンの関係は歪で一方的なものだ。こちらが周囲の人間と同じような親しみを感じていても、それは一方的なもので相手に何かを望むことはできないし望むべきでもない。
そういう感情の交換は相互的でフェアな関係の中でこそできるもの。ましてやアイドルが意図していない情報に対するファンの感情なんて。



だからこれはあくまで、
他の誰でもなくわたしの話
わたしだけの話
わたしの中で解決するべき話

勝手にお金を落として活力にして、勝手に祈って勝手に大切に思っているわたしが消化すべき感情

いったん自分を甘やかして、生活の真ん中に置きすぎていたことを反省して、適切な距離感を探して、わたしの人生のバランスをとっていく
ふだんの生活の均衡が崩れた時と同じように。
それが出来る自分でありたいから

そしてまたありがたく活力とときめきをいただく 知らない場所でもどうか幸せでいてほしいという身勝手で軽やかな願いとともに。


*根も葉もない噂やひとのプライベートを利益を目的に勝手に報道することをわたしは決して肯定しません。ただ 情報は腹立たしいことに意図せず流れ込んでくる。情報に振り回されず、誰かを無意味に傷つけることのない自分でありたいという願いを込めて、覚書としてそっと置きます

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