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夏の日の不必要な外出と蝉

危険な暑さですので不必要な外出は控えてください。

いつも確認しているお天気アプリが朝から警告していたのを思い出す。いざ外に出てみるとなるほど、あまりの日差しの強さに自分がまるでグリルされる焼き魚の気分になった。

4ヶ月間、切っていなかった髪の毛がもしゃもしゃとして気持ち悪いので行きつけの美容室で切ってもらった。これは不必要な外出に入るのだろうか。

連日の暑さのため、冷凍庫にストックしてあったアイスが切れていたので、帰りにシャトレーゼで袋入りのアイスを買うことにする。こんな日の移動手段として車は本当に助かる。

エアコンを効かせた車内で最近お気に入りのSG LewisのEPを聴きながら快適ドライビン。流れる景色の中に見える工事現場では作業員のおじさんが汗を拭きながら働いている。その横を電動自転車で走り抜ける主婦や、集団でかけて行く子供達。

やらなければいけない仕事。必要なものを買うために向かうスーパーマーケット。夏休みを謳歌するために力いっぱい遊ぶこと。ストレスを軽減するために髪の毛を切ってもらうこと。人によって必要と不必要は違う。その人にとっては全部が必要なことなのだろう。

シャトレーゼに到着し駐車場に車を停めて店内に向かう途中、足元を見ると裏返った蝉がもぞもぞとしていた。逆さまになった蝉はその場所から動けずに強い日差しに照らされていた。

直接、蝉に触れることに抵抗を感じた僕は、そのまま蝉の横を通り過ぎて店内に入る。エアコンでキンキンに冷えた店内では人々がアイスやケーキを物色していた。これだけ暑ければアイスもよく売れるだろう。僕も目当てだった袋入りのアイスとクッキーを2枚、自分と妻の分に買う。

外に出るとやはり日差しは強く、相変わらずの眩しさに目を細める。車に向かう途中、地面を見ると先ほどの蝉がぺしゃんこになって死んでいた。さっき駐車場の隅に逃してあげればその蝉はまだ死ななかったのかもしれない。と後悔の気持ちが心を覆い始める。

僕は立ち止まらずに停めていた車へ向かう。エンジンをつけるとエアコンがゴーと音を立て、すぐに冷えた空気が流れてきた。車内が快適な温度になると僕は車を走らせて妻の待つ家に向かった。周りからは沢山の蝉の鳴き声が聞こえていた。

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