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自治体主催ガバメントピッチ!

先月下旬、とある政令市のガバメントピッチを会場で聞いてきました。
今回はその様子をレポートします。

全国的にデジタル技術を活用した地域課題の解決が必要となる中、自治体が課題をオープンにし、民間企業等が解決案を提案、採用されたら実証を経て、官民連携事業として解決に取り組む動きが広がっています。

今回のガバメントピッチでも、自治体から解決して欲しい課題・ニーズが披露され、その内容を元に民間企業が個別に提案していく方法で開催され、リアル会場とオンラインで100名を超える人が参加しました。

ガバメントピッチの内容に行く前に、既にご存知の方がほとんどだろうと思いますが、自治体がガバメントピッチをしなければならない地方の現状があるため、少しだけ脱線し、その背景を記します。

地方自治体は人口減少、少子高齢化、労働生産人口の減少に伴う地元産業の衰退、事業を継承する担い手不足という現状に直面しています。人口が減っていくというのは、産業だけでなく、その地域で当たり前のように行われてきた文化や歴史、地域特性に至るまで、ありとあらゆるものの担い手がいなくなり、地域そのものが途絶えてしまう、消滅してしまう可能性を秘めています。

一例として、昔のお寺には必ず住職や徒弟(とてい)がいて、いつ行っても誰かが相手をしてくれる状態が当たり前でした。しかし、現在は住職が不在のお寺も散見され、地域の複数のお寺を掛け持ちしている住職も増えてきました。住職の担い手はいませんが、地域の文化や歴史と共にあるお寺を廃寺にしないため、掛け持ちをしても維持に努める現状があります。

話をガバメントピッチに戻します。

地方自治体もお寺と同じように、人口が減少しても行政サービスを存続させる必要があるため、課題を周知し、その解決を提案・提供してくれる企業を探し出さなくてはなりません。それができないと、将来的に行政サービスを維持できなくなってしまいます。

今回参加したガバメントピッチでは、高齢化など先述記載の現状がある上で、DXを活用することを条件に、4つの課題が発表されました。以下、トピックだけをざくっと記載します。

1.自治会の維持

2.民生委員の不足

3.名産品ブランディング

4.商店街活性化

一連のピッチを聞き終わって率直に感じたことは、、、
・全国どこの自治体でも同じような課題ばかり
・課題を解決することに終始しているが、そもそも課題の深掘りができていない
・デジタルツールの導入に終始していて、DXのXが描けていない
・大手コンサルがマネジメントしているのに、プレゼンではなく、書類の読み上げになっている(思いが感じられない)
・DX化を謳っているのに、行政のデータの取り扱いはクローズドのまま

ガバメントピッチを聞いていた参加者からは、解決策の提案をする前提として質問が出ていましたが、民間企業からすると、提案ハードルが非常に低くいため、質問内容も不足分の事実確認だけで、実際に提案される解決策も市民や行政のためにならないその場しのぎのものになることが、今までの経験からも想像できます。

やりたいこと、維持したいこと、目指したいことを実現させていくためには、自治体の側に立ち、自治体と一緒になって方向を検討していく第三者的な民間企業が必要だと考えています。自治体に客観的な視点と最適な方向性を示すことで、自治体側で事前に設定した目的と目標に沿う企業からの提案がもらえる体制を構築できます。本来であれば、これはコンサルファームがやるべきことですが、現実的にはほとんど機能していないということが、今回のガバメントピッチでも確認できました。

自治体が、今までのやり方を踏襲する運営をする限り、衰退は避けられませんが、本質を見極め、効率的に民間企業の活用ができる自治体になっていくことで、真の地方創生の糸口が見えてくると考えさせられたガバメントピッチでした。

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