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『はてしない物語』、北アフリカスパイス屋さんへ

昼過ぎに友人から連絡があって合流、行きつけのお店がバカンスで閉まっていたため坂をさらに下ったところにあるベトナム料理屋さんへ。
Bellevilleにはパリにしては安いご飯を食べられるお店がたくさんあるのです。
一時帰国の時に無人島に行った話、厳島神社の鳥居のそばでボートが座礁しかけた話、新しく借りるアトリエの話、流しそうめんの話…
ふたりは20年来の友達なのだけれど、そういう中にいるとなんだかごろんと落ち着いてしまう。
この人たちはこれからもこうして飽きずにカフェしたり家でつまみとビールを持ち寄って話すんだろうな。

友人の子どもたちに贈りものを選ばなきゃいけないのを思い出して、通りがかった絵本屋さんに立ち寄る。
『はてしない物語』のフランス語版を買う。

フランス版は日本のものと比べて本としての魅力がちょっと薄い。
日本版のあの、箱から取り出した時の、本そのものに魔法がある感じ、あれこそがこの世界に入ってゆく入り口なのに…。
ビロードみたいな深い赤の、ちょっと秘密の宝物みたいな手触りのいい表紙を世界規格にしてほしいよ…。

『はてしない物語』が大好きだ。
そもそも私は終わらないものが好きだ。
はてしない物語には分岐してゆく数えきれないほどのお話がある。
それまで、本を読むというのはその世界の中で完結している物語の中で楽しむものだ、物語は最初から最後までその本の中に詰まっていて、私は本を開いている間だけそれを生きることができるのだ、と思っていた。
けれど『はてしない物語』に出てくるたくさんのエピソードはどんどんその本から飛び出して、行く先は私の想像に委ねられている。
完結しないたくさんのエピソードに心を惹かれながら、物語の本筋にぐいっと集中する。
そしてその夜に、夢の中でその、飛び越えていったお話の断片を見るのだ。

雨の日に家にこもって本を読んでいると、この物語のセバスティアンのことをいつも思い出す。
毛布にくるまって自分だけの世界に没入して、そんな時には雨の音も聞こえない。ふと顔をあげたらいつのまにか何時間も経っていてあたりが薄暗くなっていて…。
本が好きな人なら誰しも覚えがあるだろうな。

その後、スーパーと北アフリカ系のスパイス屋さんに立ち寄っていくつか買い物をした。

CATTIERのシアバター。
肌がセンシティブで乾燥しがちな友人から勧められたので買ってみた。私もどちらかというと肌が強くはない。フランスは水も硬いし、空気も乾燥しているのでまめにケアしないとね。…ついほったらかしてしまう。

インドのアイス、Kulfiを作ってみたくてこのところ練乳を探していた。
缶のものもあったけれどNestleのものはなるべく買わないぞと決めているのでこちら。お砂糖のコーナーにありました(多分スーパーによりジャムの棚にあったりするかも)。

メイク落とし。
安いし、(私は)トラブルも起きないので。

ドライアプリコット。
なんだか見た目は黒っぽいのだけれど、保存料を使っていない良いドライアプリコット。これで2.8€。
味がとても濃い。黒砂糖のような風味を遠くに感じる。

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なんだか買ったもの自慢の日記になってしまった。

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