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桃と選挙

桃の美味しい季節だ。

先日、今シーズン初めての桃を買った。2個で1,000円近くしたので、ケチな私にとっては清水買いと言える。軽いランチもできる出費なのだから。旬の果物には、それだけの魅力がある。

桃は、娘たちの大好物でもある。彼女たちは毎食、デザートの果物を楽しみに、嫌いな食べ物も口に運んでいる。食後に待っているのが桃だったら、どれほど喜ぶだろう、と考えると、私の口もともゆるむ。

帰宅後、買い物袋から桃を取り出して、眺めてみた。すると「桃って、なんてかわいいのだろう」と、目が離せなくなってしまった。

御影石のキッチン天板にころんとたたずむ風情がたまらない。少し毛羽だった肌はキュートなピンク色。お尻に似たフォルムなのも、愛嬌があっていいじゃないか。この姿をデフォルメしたイラストや意匠が人気を博すのも頷ける。なんて、ういやつ。

平和な主婦の日常だ。仕事の合間にスーパーに出かけ、ちょっとお高い桃を買い、それを愛でる。家族の喜ぶ顔を思い浮かべながら。

私はこの平和な日常を愛している。しかし、もし自分のまわりで戦争が起こったとしたら、桃を愛でるどころではない。安定した収入が確保できない状況でも、桃がかわいいとかなんとか言っていられない。娘たちの笑顔を守ることだって危うくなるだろう。

私が政治に望むのは、この小さな平和を守ってくれること。もちろん、主義主張は人によって異なる。政治家や政党に何を託すかも人それぞれ。暮らしの平穏さよりも国家レベルの大義を優先したい人もいるだろう。いずれにせよ、意思表示せずして国民の政治参加はない。

政治は生活の延長線上にある。自分は政治には無縁だと決めつけてしまったら何も変わらない。そう思い、昔から選挙にだけはきっちり足を運んできた。好きなブランドのポップアップストアに顔を出せなくても、投票所には行く。

自分の愛する日常を守るために、今週末も小さな意思表示をする。私にとって、桃と選挙はつながっている。

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昨日、この記事を書き終えたとき、ショッキングなニュースが飛び込んできました。心が痛むという言葉では語り尽くせない感情が、私のなかにうずまいています。

心を守り、自分のするべきことを粛々と進めたいと思いつつ、ここに記事を残します。

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