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『幸せのエチュード』 台湾ドラマ

台湾/テレビドラマ/2020

台湾語のドラマだった。大陸の普通話とは、まるで別の言語くらい全く違って聞こえる。日本語の共通語と沖縄の言葉のような関係なのだろうか。
若い年齢層の人は、日常生活の中で自然と話せるようになっていくのかしら。
私は台湾語は全くわからないけれど、耳に心地よい。

主人公のファン・ジアインを演じるスン・クーファンが、すぐ近くに実際にいそうなとても自然な女性像を演じていた。ちょうどこの作品と前後して『いつでも君を待っている』を見ていたのだけれど、彼女がそこに出ていたのに気づいたのは、今年になって『いつでも君を・・・』の再放送を見ていた時だった。「あーっ!この人、『幸せのエチュード』の彼女じゃない!!」と。
スン・クーファンは、”街なかでおいそれとは見かけないモデル系迫力美人”というわけではない(もちろんとても可愛くて綺麗です!)せいもあってか、彼女が演じる役は地に足がついた現実的な感じがする。日本でも、台湾でも、世界中で、たくさんの”ファン・ジアイン”が今日もお仕事し、友達と美味しいものを食べ、恋に悩んでいそうだ。いい役者さんだなぁと思う。

毎回のストーリーに「一人で〇〇できますか?」というようなタイトルがついている。一人の食事、一人のクリスマス、一人の年越し、一人の手術・・・。主人公のジアインは、近くに親友もおり、職場の仲間や上司ともうまくいっているし、親とは離れているけれど不仲なわけではない。決して世の中で孤立して孤独に苛まれている人ではない。それでも、折に触れ、なぜか一人ぼっちになってしまいそうになったり、一人で乗り越えたりしなくてはいけない出来事や時間に遭遇する。一人は寂しいけれど、誰でもいいからいつでも近くにいて欲しいわけでもない。時には寂しくても一人でいたい時もあり、一人でいられるように強くならなければいけないと思う時もある。一人の寂しさと向き合い続けているうちに、いつの間にか、一人を気楽で楽しいと思える時も増えてくる。一人で楽しく過ごす心構えとスキルも身につき、一人で泣く夜にも慣れてくる。

でも、そんな時にこそちょっと考えてみてもいいのかもしれない。"一人でも十分楽しい"ということと"ずっと一人でいる"ということを、結びつけなくてもいい。一人でいても楽しいと思うようになった人が、必ずしもずっと一人でいなくてもいい。ひとりでも十分に自分の時間を楽しめるようになった時こそ、一緒にいてもいいなと思える人を選べる時なのかもしれない。

物語中に度々日本や日本語がでてきた。
物語の中で、登場人物が気軽に日本を訪れたり、日常会話で日本語がぽろっと挟まれたりする時、台湾の人々が日本を身近に感じ、好きでいてくれている一つの証のような気がして、いつも嬉しい。

2021年と2022年再放送視聴

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