ソーシャルメディア・アナリティクスの基本を理解する
ソーシャルメディア分析とは、ソーシャルメディアのプラットフォームでの対話やユーザーとの接点から得られるデータを収集し、それを有用な洞察に変換する作業です。これらの洞察は、製品の開発やマーケティング戦略の策定に役立ち、結果的にはビジネスでの顧客中心性を高めることが可能となります。この内容をHEARTCOUNT AnalyticsのオフィシャルパートナーであるCOKOOZ合同会社の東(あずま)がご説明します。
ソーシャルメディア分析はなぜ必要?
ソーシャルメディアのアカウントが成功しているかどうかを評価することは、極めて重要な要素です。その理由は、ソーシャルメディアが他のメディアに比べて、顧客からの即時のフィードバックを得られる唯一の手段だからです。重要なチャンスや警告のサインを見逃さないためには、分析結果を適切に解釈するスキルが必要不可欠です。そうでなければ、企業が大きな損失を被る可能性も考えられます。
さらに、ソーシャルメディア分析の洞察を最大限に活用する前に、何を測定するかの重要な指標と目標を明確に設定することが重要です。データが多量で、またノイズも多いので、これは容易な作業ではありません。
例えば、認知度を高めることが目的であれば、「インプレッション数」が重要な指標となるでしょう。一方で、ウェブサイトへのトラフィックを増加させたいと考えている場合は、「クリックスルーレート」がより重要な指標となります。
ソーシャルメディア分析の3つのパターンを理解するためのガイド
ソーシャルメディアアナリティクスを行う場合、大きく考えなければいけないポイントが3つあります。
自社と顧客・消費者の関係を理解したい
他社と顧客・消費者の関係を理解したい
マーケット・市場全体を理解したい
このような違いがあります。この3つの違いにより、活用するソーシャル分析のツールも変えなければいけません。
自社と顧客・消費者の関係を理解したい
自社と顧客・消費者との関係に焦点を当てる場合 このシナリオでは、ソーシャルメディアの施策やエンゲージメントの促進、さらにはコンバージョンの獲得などが主な目的となります。このような目的に合わせて、特定の分析ツールや方法を選ぶことが求められます。
他社と顧客・消費者の関係を理解したい/マーケット・市場全体を理解したい
他社やマーケット全体を分析するケースでは、自社だけでなく競合他社や市場全体の動きにも目を向ける必要があります。したがって、「リサーチ」的な要素が強くなり、市場調査や競合分析に特化したツールが有用でしょう。
要するに「自社のSNSチャネルを運用管理する」場合と、「市場全体のSNSを分析する」場合では利用するツールが全く異なるということです。これを間違えると、ツール選定も間違えるでしょう。
各目的に応じた適切なツールや方法を選ばないと、効果的な分析が行えず、最悪の場合、誤った戦略を採ってしまう可能性もあります。そのため、分析の目的をしっかりと定義し、それに適したツールや方法を選ぶことが非常に重要です。注意が必要な点としては、一つのツールが全ての目的に合致するわけではないということです。目的に応じて柔軟にツールや分析方法を選ぶ能力が求められます。
ソーシャルメディア・アナリティクスの主要KPI
大きく、ソーシャルメディアアナリティクスを行う際の追跡するKPIを10個ほどピックアップしました。主にこれは自社のSNS運用の場合ですが、以下が全てではなく、より多くの指標は存在していると思います。ただし、例えば「クリックスルー率」は目的としてマーケット・市場全体を理解する際にはあまり意味がないかもしれません。
このようにして、目的に沿った機能の選択や意味を考える必要があります。多くの洞察を得たいのか、SNSでのプロモーションの実行状況やAudienceとの関係性を知りたいのか、それにより変わってきます。
エンゲージメント率(Engagement Rate):いいね、コメント、シェアなど、ユーザーがどれだけコンテンツに反応しているかを測定します。
インプレッション数(Impressions):コンテンツが表示された回数を示します。これにより、コンテンツのリーチの広さを把握できます。
リーチ(Reach):コンテンツが到達したユニークなユーザー数を測定します。
クリックスルー率(Click-Through Rate, CTR):クリックされた回数を表示回数で割ることで計算され、広告や投稿がどれだけ効果的にユーザーをウェブサイトに誘導できたかを評価します。
フォロワー数(Follower Count):ソーシャルメディアプラットフォームでのフォロワーの総数。成長率も併せて分析することが有用です。
参加者数(Mentions):ブランドやキーワードがどれだけソーシャルメディアで言及されているかを測定します。
コンバージョン率(Conversion Rate):ソーシャルメディアからの訪問者が、目標とするアクション(購入、サインアップなど)をどれだけ行ったかを測定します。
ページビュー(Page Views):ウェブサイトにどれだけのページビューがあったかを測定します。これは、特にウェブサイトへのトラフィックを増加させる目的でソーシャルメディアを使用している場合に重要です。
バウンス率(Bounce Rate):ウェブサイトを訪れた後すぐに離脱した訪問者の割合を測定します。低いバウンス率は、訪問者がサイト内で複数のページを閲覧しているという良い指標とされます。
カスタマーサティスファクション(Customer Satisfaction):ソーシャルメディア上でのカスタマーサービスの効果を測定するために、顧客満足度調査などを実施します。NPSなどもそれに当たります。
SNSマーケティングで必須の指標とポイント
SMB(Small and Medium Business)から大企業まで、SNSマーケティングを始める際には、最初から多くの指標に目を通すのは大変かもしれません。そこで、スタートしやすいように、特に注目すべき基本的な指標に焦点を当ててみましょう。そして、「介入が可能かどうか」という観点でこれらの指標を分類することが重要です。
何らかの指標が悪化したり、予期せぬ事件が発生した場合でも、自社で対応できるものなのか、それとも市場や環境、国際情勢などによりコントロールが効かないものなのか、その判断が必要です。
センチメント
特定の単語やカテゴリに対する「ポジティブ」や「ネガティブ」な反応を指標として把握します。これにより、市場や地域、ターゲット層のセンチメントを理解し、顧客満足度の向上や製品改善に活用できます。パフォーマンスレポート
特定の投稿に対する反応やエンゲージメント、リーチを、月次・週次・セグメント別で詳細にレポートします。これにより、どのターゲット層に焦点を当てるべきかの分析が可能です。広告のパフォーマンスレポート
SNS広告での接触回数や獲得可能なターゲット層の属性を調査し、それを基にROI(投資対効果)を向上させる戦略を考えます。SOV(Share of Voice)
特定の業界や市場で、自社の話題が全体の会話や投稿に占める割合を計算します。例えば、化粧品業界においては、全体の投稿から自社ブランドに関する話題の比率を算出し、それを認知度向上の指標として活用します。NPS(Net Promoter Score)
顧客から製品やサービスに対する推奨度を0〜10の11段階で評価してもらいます。このスコアは、顧客がブランドに対してどれだけ満足しているか、またはロイヤルなのかを示します。ただし、この指標は国によって解釈が異なる場合があるので、注意が必要です。
以上の指標を適切に活用し、分析することで、SNSマーケティングの効果を最大限に高めることが可能です。始める前には、どの指標が自社にとって重要かをしっかりと考え、計画的に進めていくことが成功への鍵となります。
ソーシャルメディアの影響力:社会を変え、ビジネスの新たな可能性
皆さんがご存知の通り、スマートフォンと共にソーシャルメディア(SNS)は、今や社会において非常に重要な位置を占めています。政治や経済の形状に影響を与えるほどの力を持ち、多くの個人が収益を上げる手段としても使用されています。さらに、従来のメディアと比べて群を抜いた拡散力を持っており、ここから得られるデータや洞察は計り知れない価値があります。
マーケティング戦略におけるソーシャルメディアの役割
企業にとっても、マーケティング戦略にソーシャルメディアを組み込むことは、高い投資対効果(ROI)を期待できる選択肢となっています。顧客との直接的なコミュニケーションが可能であり、ターゲット層に対して効率的にアプローチできます。しかし、その一方で、情報の拡散力が強すぎることからくるリスクも存在します。誤情報や不適切なコンテンツが瞬く間に拡散してしまう可能性があり、その対応が遅れると企業の評価に大きなダメージを与える可能性もあります。
リスクを回避しながら効果的に活用する方法
このようなリスクを最小限に抑えつつ、ソーシャルメディアを効果的に活用するためには、以下のような点に注意が必要です。
情報の正確性を確認する: 投稿する情報は事前にしっかりと確認し、誤情報を流さないように心掛けましょう。
ターゲット層を明確にする: どのような顧客層にアプローチしたいのかを明確にし、その層に適したコンテンツを提供することが重要です。
定期的な分析と改善: ソーシャルメディアの活動を定期的に分析し、必要な改善点を見つけ出して適用していくことで、高い効果を期待できます。
まとめ
ソーシャルメディアは多くの可能性と共にリスクも抱えていますが、その両方を理解し、うまくバランスを取ることで、その力を最大限に活用することができるでしょう。
そして、自社のメディアの投稿や管理をするソーシャル運用ツールと、SNSの全体を見てトレンドや傾向、競合の調査をするソーシャルメディアアナリティクスの両方の違いをよく理解して活用を進めましょう。
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