見出し画像

"Tidy Dataset(整然データ)"の理解: データ分析の鍵となる要素

今日は、データ分析の世界で非常に重要な概念、「整然データ(Tidy Dataset)」についてお話しします。このテーマは、データサイエンティストや分析者、プログラマーにとって、知っておくべき基本中の基本です。そして、この概念は有名なデータサイエンティスト、Hadley Wickham氏によって広められました。

HEARTCOUNT AnalyticsのオフィシャルパートナーであるCOKOOZ合同会社の東(あずま)がご説明します。


整然データ(Tidy Dataset)の概要とメリット

整然データとは簡単に言えば「分析がしやすいように整えられたデータセット」です。具体的には、データを加工したり、集計したり、視覚化したり、モデルを作成する際に、特定の形とルールに基づいて整理されています。

  • 互換性: データ分析ツールやプログラミング言語との高い互換性。

  • 可読性: データの構造が一定であるため、誰が見ても理解しやすい。

  • 活用性: 一度整然データにしてしまえば、それを使ってさまざまな分析や視覚化が可能です。

このように、整然データはデータ分析作業において非常に強力な味方です。特にデータが大量にあり、その整理や分析が複雑になる現代において、整然データの考え方を取り入れることは非常に有用です。

整然データ(Tidy Dataset)の重要性:3つのポイントで理解する

1. 探索的データ分析(EDA)と可視化が容易

整然データは、その名の通り整然としているため、探索的データ分析(EDA)やデータの可視化が非常にしやすいです。たとえば、複雑なグラフを描く作業や、データの中から特定のパターンを見つけ出すプロセスが、整然データであればスムーズに行えます。

2. データ分析の一般的な標準

整然データは、RやPythonといった多くのデータ分析ツールやパッケージで広く採用されています。このようなツールは、整然データの構造を前提とした多くの便利な機能を提供しており、それによって分析作業が大幅に効率化されます。

3. データ統合が簡単

データソースが複数ある場合、それらを一つにまとめる作業は非常に時間がかかるものです。しかし、これらのデータを整然データ形式に変換してしまえば、その後のデータ統合作業は格段に簡単になります。

Tidy Datasetの設定方法

Tidy datasetを作るためには次のようなルールに従う必要があります。

1.データセットの行と列の構成

データセットを分析する前に、それぞれの変数が列(column)で構成されなければなりません。 独立した変数はそれぞれ一つの列で存在しなければならず、同じ分析対象に対する観測値は行(row)で構成されなければなりません。

2. 独立した変数の区分

データセットで各変数は独立した意味を持つ必要があります。 例えば、国別に結核で死亡した患者数とその国の全体人口を比較する場合、「国」変数と「結核で死亡した患者数」変数、「全体人口」変数はそれぞれ独立して構成する必要があります。下の図では、「4」番目の表がTidy datasetの文法をよく守っています。

Tidy dataset(整然データ)の構成例

ワイド形式のデータセットをロング形式に変える(melting)

下図の左側のようなワイドデータセット(変数値が個別カラムで広く構成されたデータセット)をTidy Dataset形式に従うロングデータセットに変える必要がある場合がよくあります。ロング形式のデータセットは、個々の変数を別の列で構成されるため、データ構造が単純化され、視覚化や分析に容易な形になります。

ロング形式に変換する方法

ワイドデータセットをロングデータセットに変換する過程を「メルト(Melting)」といいます。 Pandas(Pandas)ライブラリではmelt()関数を使ってデータフレームをメルトすることができます。この関数を使うと指定した変数を識別子変数(identifier variable)として維持して、残りの変数を値に変換します。
例えば、次のようなワイド形式データセットがあるとします。

上記のようなデータをロング形式に変換すると次のようになります。

整然データ(Tidy Dataset)の限界:理解して賢く分析を進める

整然データの限界を知る

整然データは分析作業を非常に助けてくれますが、それがすべての問題を解決するわけではありません。例えば、データセットに含まれる変数名によって限られた情報しか提供できない点があります。

具体例で考える

通販の売上データセットを考えてみましょう。変数として「購入時間」、「商品名」、「年齢層」、「キャンセル率」がある場合、このデータから「特定の時間帯における特定の年齢層のキャンセル率が高い商品」などを知ることはできます。しかし、キャンセル率が高い理由や背景についてはこのデータセットからは分かりません。

ドメイン専門家の役割

データセットに含まれていない現象や背景についての理解は、追加の推論や解釈、または新たなデータ収集が必要です。この部分は通常、ドメイン専門家が判断を下す領域となります。

分析前の準備は大切

したがって、データ分析を始める前に、どのような質問に答えられるのか、また、データセットのどのような限界があるのかをしっかりと把握することが重要です。このようにして、最も適した分析方法や視覚化手法を選ぶことで、効率的なデータ分析が可能となります。

まとめ

整然データは強力なツールですが、その限界もしっかりと理解することが大切です。限界を理解することで、より賢い分析が可能となり、無駄な労力を避けることができます。まずは小さくスタートしながら、徐々にデータを整備していくというプロセスが重要になっていくでしょう。

役に立つブログを続けていきたいので、「フォロー」「スキ」を押してもらうと大変励みになります!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?