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疲れ目の原因は?眼精疲労の原因・予防方法を知って目を健やかに

スマートフォンやパソコンの使用が日常化している現代。目を使う時間が長いため、疲れ目や眼精疲労の症状に悩む人が増えています。
目の健康を守るために、目の疲れを引き起こす原因から、疲労回復と予防に効果的なケア方法について、東北大学病院眼科に所属する橋本先生に、教えてもらいました。

Q1:現代人は疲れ目を生じやすいといわれていますが、なぜでしょう?


昔に比べて、目の疲労を感じている人が増えているといわれています。どのような原因が考えられますか。
 
A:生活スタイルの変化が、目に影響を与えています。
現代は、仕事やプライベートなどで、スマートフォンやパソコン画面を長時間見続けています。目に大きな負担をかけながら生活しているため、疲れ目を引き起こしやすいのです。

Q2:長時間スマートフォンやパソコン作業をすると、どうして目が疲れるのですか?


デジタル機器を使用し続けると、なぜ目が疲労するのでしょう。
 
A:「毛様体筋の疲労」「まばたきの回数の減少」「目のまわりの筋肉の緊張」がおもな原因です。
 
目の疲れは、複数の要因が組み合わさって引き起こされます。
 
毛様体筋の疲労
近くのものを見るときは、毛様体筋が収縮し、カメラのレンズの役割をする水晶体を厚くしてピントを合わせます。つまり、近くを見ている間は毛様体筋が緊張し続けるので、目が疲労してしまうのです。

まばたきの回数の減少
長時間画面を見続けると、まばたきの回数は減っていきます。すると、目の表面を潤す涙が均等に行き渡らなくなり、涙の分泌量も減少してドライアイの状態に。ドライアイが生じると、目の不快感や疲労を感じやすくなり、目の表面が傷ついてしまうこともあります。

目のまわりの筋肉の緊張
集中して画面を見続けると、目のまわりの筋肉が緊張し続け、目の疲労が蓄積していきます。また、同じ姿勢での長時間作業により、目のまわりの筋肉と連動している首や肩の筋肉にも負担がかかります。さらには、視神経や脳までも疲労させ、全身の疲れにつながってしまうのです。
 

Q3:疲れ目と眼精疲労は、同じ症状ですか?


眼精疲労という言葉をよく聞きますが、疲れ目とは何か違いがありますか。
 
A:疲れ目と眼精疲労は、症状が異なります。
疲れ目は、目の使い過ぎによる一時的な筋肉疲労です。休息や睡眠をとれば回復します。
一方、眼精疲労は、目の疲労が慢性化した状態で、休んでもすぐには回復しません。目の疲労感がとれないだけでなく、違和感や痛み、肩こりなど、全身にまで症状があらわれる場合があります。

Q4:眼精疲労の原因は何でしょう?


目のつらい症状が悪化した眼精疲労は、どのような原因で起こるのですか。
 
A:目の酷使や目の病気、目以外の病気など、原因は多岐にわたります。
眼精疲労の原因はたくさんあります。「目の酷使による疲労の蓄積」「緑内障や白内障などの病気」「近視・乱視・老眼などの機能異常」「風邪・更年期障害・耳や鼻の病気・自律神経失調症・虫歯や歯周病」といったさまざまな要因が絡み合っています。休んでも目の疲れがとれない場合は、眼精疲労を引き起こしている可能性があるので、早めに眼科医に診てもらいましょう。

Q5:眼精疲労を予防するには、どうすればいいですか?


眼精疲労を防ぐために、日常生活で心がけることはありますか?
 
A:定期的に休息をとり、目をケアしましょう。
目に疲労が蓄積しないように、次の方法を試してみてください。
 
・1時間に1回10分ほどの休憩をとり、リラックスする。
・目のまわり・首・後頭部をマッサージして血行をよくする。
・目を上下に動かしたり、ぐるぐる回したりして、目の筋肉をほぐす。
・ホットマスクなどで目のまわりをじんわりとあたため、血行をよくする。

「目を休ませる」「筋肉をほぐす」「血行をよくする」を心がけましょう。

A:身のまわりの環境を整えることも大切です。
目に負担がかからないように作業環境を整え、視力に合ったメガネやコンタクトを使用しましょう。

作業環境を見直す
次に4つのポイントを意識して、パソコンやデスクまわりの環境づくりをしましょう。

・ディスプレイとの距離を40cm以上離す
・安定して座れて、動きやすい椅子を使う
・部屋の照明と画面の明るさを近づける
・ディスプレイを掃除してきれいな状態を保つ

メガネやコンタクトの度数を確認する
メガネやコンタクトの度数が合わないまま使用していると、目に余計な負担がかかります。定期的に視力検査を受けて、度数を確認しましょう。作業内容に応じて、メガネとコンタクトレンズを使い分けるのも効果的です。

Q6:眼精疲労を防ぐために、食事の面で工夫できることはありますか?


目の健康を維持するために、食事ではどのような点を意識すればいいですか。
 
A:目の疲労回復に効果的な栄養素を、毎日の食事にとりいれましょう。
目の疲労回復に有効な次の栄養素を、できるだけ摂取するように心がけましょう。

●     代謝を促す栄養素【ビタミンA・βカロテン】
豚レバー・鶏レバー・ほうれん草・にんじんに多く含まれています。

●     視神経の働きを正常に保つ栄養素【ビタミンB1・ビタミンB12】
豚肉・いわし・あさり・しじみに含まれています。

●     粘膜を正常に保ち代謝を促す栄養素【ビタミンB2・ビタミンB6】
レバー・青魚・豆類に含まれています。

●     強い抗酸化作用で目を守る栄養素【ルテイン】
ブロッコリー・ほうれん草・レタスに含まれています。

目の健康を守るためには、日頃からの意識が大事
現代社会では、スマートフォンやパソコンの使用時間が長く、目を酷使せざるを得ない状況です。そのため、日頃から目をケアして、眼精疲労を生じないように気をつける必要があります。休んでも目の違和感が改善しない場合は、早めに病院を受診することも大切です。かかりつけの眼科医がない場合は、この機会にご近所の眼科医をチェックしてみてはいかがでしょうか。定期健診を受けてみるのもおすすめです。


監修医師 橋本 和軌

2012年 東北大学医学部医学科卒業
2012年 独立行政法人国立病院機構水戸医療センター 初期研修医
2014年 東北大学病院 眼科後期研修医
2016年 東北労災病院 眼科医師
2023年 東北大学大学院医学系研究科医科学専攻博士課程終了
2024年 東北大学病院 眼科助教

東北大学医学部眼科教室・プロフィールページ

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