舞台感想:新•水滸伝

 八月も終わるので観劇を書き散らしていきます。
まずは歌舞伎座。
原作は有名らしいけど、本も漫画もゲームも触れたことがなかったので、この舞台が初•水滸伝です。 

 一言で言うならば、腐った世界をぶっつぶそうとするアウトロー軍団に、一人の男が加わるおはなし。
『三人吉三』や『白浪五人男(青砥稿花紅彩画)』、『ワンピース』を思い出す演出に懐かしくなりました(梁山泊の面々の登場とかワンピース歌舞伎の白ひげ一家みたい…)

 林冲役の中村隼人さん、カリスマに加えて貫禄が兼ね備わって堂々たる主役ぶり。
酔っぱらってるお芝居はもう少し大袈裟でもよかったですが、「泥酔する素振りで梁山泊を観察してる」という解釈でもいいのかも。
後半の殺陣のシーンは長い手足を活かして見応えたっぷり。お背が高いので刀はもちろん、槍だとさらに映えますね。

 姫虎姐さん役の笑三郎さんは、久しぶりに科白の多いお役で嬉しかったです。
蓮っ葉なようでいて品のある佇まいと口調が絶妙。

 晁蓋は中車さん。老若男女が慕うお頭の存在感がありますね。あと、自ら現場に飛んでくところが虫を求めて身体を張ってた中車さんに似合うなと(^^;

 他、生命力が漲ってて実は生きてそうな團子さん、冷たい役だと残忍さが出る青虎さん、93歳の美丈夫•寿猿さん、もはや澤瀉屋の常連浅野さんなど語り出すとキリがないのですが、個人的MVPは…

王英の猿弥さんです。かわいい!!
まさか髭もじゃで武骨な山賊をかわいいと思う日が来ようとは…絶妙な笑いも取っていくところはさすが、安定の猿弥さんです。
お夜叉役の壱太郎さんとの丁々発止にはお腹捩れるほど笑ったし🤣、青華役の笑也さんと初々しいシーンは微笑ましくてニヤけてしまいました。

 壱太郎さんは可憐な容貌からは想像つかない物騒な経歴のお嬢さんですが、猿弥さんとの掛け合い面白すぎです。もっと見たい笑
 笑也さんは美しい女戦士で、繊細なお芝居に胸を打たれました。最近触れた作品だと漫画およびアニメ『地獄楽』の佐切さんに似てて好きです(ポニテといい、白藍色のイメージカラーといい)

あ、王英と青華は昨年の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』の和田義盛と巴御前に似てるかも。

そして、誰かを待っているような幕引きが印象的でした。
或いは本当に、ここにいない四代目を待っているのだとしたら、私も共に待ち続けたいな…と静かに噛み締めました。

やっぱり歌舞伎好きだなあ。

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