『日本映画を世界のミニシアターへ』プロジェクトを始めた関さんについて(3)

(202/1/11 いながき)
弊社、株式会社コギトワークスの代表:関友彦によるクラウドファンディング、『日本映画を世界のミニシアターへ』プロジェクトの期限が迫ってまいりました。
残り10日!!!!
URLを載せておきます。
 
https://camp-fire.jp/projects/view/633004
 
もう、みなさん、お読みになられましたか?
ファンディングの説明というより、もはや映画業界裏話としても、面白い内容になっていると思います。ぜひ、サイトに訪れてみてください!
 
さて、気を抜いていたら、年をまたいでおりました。
おくればせながら、新年明けましておめでとうございます。
本年もコギトワークスのお引き立てのほど、なにとぞよろしくお願いいたします。
申し遅れましたが、私はコギトワークス所属の脚本家、いながききよたかという者です。
今回、三回目となりましたこの記事では、主に、弊社の代表:関友彦さんのことについて書いてまいりました。
なぜ、私がそんなテーマで書いているかというと、単に彼と関係が深いからであります。
出会ったのは、かれこれ26年前。友人から始まり、今では会社経営のパートナーです。
つまり……、私にしか書けないことがある!という強い自負のもと、始まったこの記事も、残念、今回で一旦、終幕となります。今後、もっと知りたいよ、という声が聞かれたら、またあらためて書きましょう。
 
本来なら『日本映画を世界のミニシアターへ』を掲げた、関友彦の意気込みなどを私の観点から語るべきなのでしょうが、それは、先述したURL先に書かれていることでほぼ極まっていますし、それよりは、彼の人となりや人物像のようなものが少しでも伝わった方がいいと、私などは考えております。
こうしたクラウドファンディングは、とかく『うさんくさい……』と思われがちで、それも重々共感したりするわけですが、初見でそう感じる方々に、真剣に『日本映画の拡張』について考え、行動している彼のその人となりを知ってもらった方が、また違った角度から、このクラウドファンディングの同志になってもらえるかもしれないなと思ったりもしております。
 
では、関友彦とはどういう人物か……。まあ、もちろん、一言では難しいわけです。
この原稿を書きながら、『どういう人物かな』と考えをめぐらせてみましたが、……だんだんとわからなくなってもきました……。
 
出会った頃の彼は、馬に乗っていました。競馬ではなく、乗馬。馬術ともいいますかね。
乗馬と聞くと、なんか貴族とか思い出してしまいますが、馬乗りは、実は、かなり泥臭くてものすごく体育会系です。
事実、当時の彼は筋骨隆々で片手でリンゴも潰せるほど、生活はというと、朝は早く、日の出とともに行動開始。厩舎に赴いて、馬たちの世話をして、それから乗馬、学校では10代の少年少女と混じって馬のことを勉強、それから帰宅、そしてパブでしこたま酒を呑む、そんな生活を送っておりました。
 
彼は、元々別に熱烈に映画が好きでもなかったし、本だって年に一冊読むか読まないかくらいだったと思われます。
将来、映画の世界で働くなどとは思ってもみなかったでしょう。
ただし、ほとんど本や映画にしか興味のなかった私がそうであったように、彼もまた、自分とは反対のものに、羨望を感じていました。
よくこんな話をしたものです。
「スポーツはいいよね、はっきりと結果が出るから」と、私。
「小説はいいよな、勝ち負けがないから」と、彼。
 
彼の進路に、私が少なからぬ影響を及ぼしたのだとしたら、それは誉れなことなわけですが、元々、『馬』に関わることを生業にしようとしていた彼は、イギリス留学を終え、帰国した後、突如、180度と言ってもいいくらいの進路変更をして、今居る映画の世界に飛び込みました。
しかし、はっきりいって、多くの映画人が持つ志望動機、つまり『映画が好き』、『映画が作りたい』というものと、彼が持っていたものは違うものです。
 
彼は、ずっと馬に乗っていたわけですし、興味があったとはいえ、たくさんの文学に触れてきたわけではなく、たくさんの映画に触れてきたわけでもありません。
それなのに、突如映画界に転身! 無謀だなと思います。
スポーツの世界に置き換えればわかりやすいかもしれませんが、特に特別なトレーニングをしてもいないのに、突然、競技に挑み始めるようなものだったと思います。
つまり、周囲とは、明らかにハンデがあるスタートだったということです。
にもかかわらず、どうして、得意な『馬』を止め、『映画』だったのでしょうか。
 
別に、彼は、はっきりいって、気の利いた文章が書けるわけではありません。どちらかというと、苦手な部類のようです。(だいたい私が代書を頼まれたりします)
それに、卓越した演出ができるわけでもありません。
歴史にもまったく興味がなく、それどころか、この間も胸を張って言っておりましたが、宇宙、恋愛、ホラーにもあまり興味がないのです。
『え? それって、ほとんどの映画に興味ないんじゃ……』
いえ、違うのです。
彼は、気の利いた文章を書ける人間に興味があるのであり、卓越した監督に興味があるのであり、時代劇や、SF、恋愛映画、ホラー映画を作る人間に興味があるのです。
それはもう、『興味がある』という能力に関していえば、他の追随を許さぬほどです。
 
一時、彼は言っておりました。
「スゴイ人を集めて、なんかやらせるの、すごく楽しい」
さしづめ、その『スゴイ人』を『スゴイ馬』と言い換えても、成立してしまうのではないかとわたしなどは思ったりするのですが……。
 
彼は、自分の足るを知っている人だと思います。
だから、人に頼ります。
長年、彼の横で彼を見ていて思うのですが、「人を頼るのも才能がいることだなぁ」と痛感したりします。
つまり、彼は人を頼る天才でもあります。
そして、なぜ、彼が映画を選んだかというと、今では分かるのですが、映画は人を頼らずには決して完成しない最たるものだからなのです。
 
こうしてあらためて考えると、彼が始めたこのクラウドファンディングも、違う側面が見えてきたような気がします。
今、日本映画が、海外のミニシアターにかかるということはめったにない状況だそうです。でも、それはもったいない!
だから、関友彦は、皆さんを頼り、それを実現しようとしているのだと思います。
 
さて、あと、10日でクラウドファンディングは終ります。
最後まで駆け抜けることでしょうが、しかし、プロジェクトはこれで終わりではありません。
長い射程が必要です。おそらく、5年後、いや、10年後かもしれません。
海外のミニシアターで、日本映画が気軽に観られる世界になっているかどうか……。
もし、なっているのだとしたら、それは、関友彦の力ではなく、このプロジェクトに賛同してくれた皆様がそれを実現したのだと、私たちは胸を張って言えることでしょう。
 
(お付き合い、ありがとうございました!)

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