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喫茶アトリエ【case6:小田悠生・陽美雄月】

本日のお客様は、好奇心について話しているようです。しかし、話は二転三転していき……?

小田悠生:大学1年生。劇団コギト一橋祭公演『7×7のモラトリアム』では、演出助手を務める。
陽美雄月:大学3年生。劇団コギト一橋祭公演『7×7のモラトリアム』では、舞台監督補佐・舞台美術を務める。

手前:小田悠生 奥:陽美雄月

陽美「好奇心を爆発させるのも冒険。また、好奇心を抑制するのもやっぱり冒険。どちらも危険さ。」

小田「陽美さんの言葉ですか?」

陽美「いや、流石にそんなこと言わない笑。なんか、偉い人の言葉だった気がする。」

小田「なるほどなるほど。」

陽美「好奇心ってさ、この年になると結構枯れてくるものじゃない?そんなことない?」

小田「えぇ~、逆にどうですか?」

陽美「俺はちっちゃい頃の方が好奇心はあった気がする。今でも無いわけではないんだけど。だいぶ落ち着いたかなぁ~っていう。例えばだけどさ、飛行機あるじゃん。」

小田「ありますねぇ。」

陽美「飛行機が何で飛んでるんだろう?って思ったりするじゃん。もう1個思ってたことがあって。飛行機って空港から飛び立つとどんどんちっちゃくなっていくじゃん。」

小田「なりますね。」

陽美「中にいる人はどうなってしまうんだろう?って。」

小田「あぁ~、小さくなるのか?」

陽美「そう、実際は、今はね?あれは本当にちっちゃくなってるんじゃなくて、ちっちゃく見えてるだけっていうのは知ってるんだけど、当時知らなかったから。ちっちゃくなっていってしまっている飛行機の中の人々はどうなってるんだろう?っていうのは、本当に小さい時は気になってたし、ちょっと怖かったっていう。」

小田「知らない範囲が段々狭まっていくんですよね、教育を受けることによって。」

陽美「そうだそうだ、好奇心が知らないものに対する興味だって考えると。」

小田「対象となるものがそもそも少なくなるから、当然年を経るとっていう話なんですけど、」

陽美「そうかもね~。」

小田「好奇心そこまで減ってない気がして。」

陽美「あ、そう?何も学習してないってこと?」

小田「まぁ、そう言われちゃそうなんですけど笑。」

陽美「いやそんなことは無いと思うよ笑。流石に年相応の得たものがあるとは思うんだけど。」

小田「年相応の得たものがある気はするんですけど、むしろ昔の方が全然活発じゃなかった気がして。」

陽美「うん。」

小田「生活がより1パターンだった気がして、昔の方が。」

陽美「昔の方が?」

小田「いろいろやってはいたんですけど、普通にサッカーとかやってたんですけど。水泳とかもやってて、小学校はバスで通学しててみたいな感じで、そこらへんに生活のリソースが持ってかれて、」

陽美「タスクが多かったんだ?」

小田「タスク多くて、で、本は昔から読むのは好きで、それ以外の時間はずっと部屋にいるみたいな生活をしてきまして。」

陽美「なるほどね。」

小田「むしろ中高とか入ったり今の方が、より多くのものに触れられている分、好奇心あんのかなぁ~って。」

陽美「そっか。だから、自分で使える時間とか、そういうところもあるのか、好奇心の要素としては。」

小田「ある気がしますね。」

陽美「へぇ~。小学校の頃の好奇心なぁ……。」

小田「好奇心はたくさんあった方が良いと思います?」

陽美「うーん、どうなんだろうなぁ。小田君はあった方が良いと思うわけ?」

小田「いや、たくさん持つのは社会生活上から見たら毒なんじゃないですかね。」

陽美「おぉ!ちょっと聞かして聞かして。」

小田「色んな側面がありまして。まず、原始時代を考えると、色んな所にボンボン突っ込んで行くやつは死ぬわけじゃないですか。」

陽美「あぁ、原始の、縄文とか。はいはいはい、そうね。」

小田「マンモス居るぞ!でボンって突っ込んで即死、みたいな人間が好奇心の多い人間で。」

陽美「そうだね。」

小田「現代でも、集中力がない人間になっちゃうんですよ、多分。」

陽美「あぁ~、色んなものに注意が向いちゃうからってことで。」

小田「という意味で、持ちすぎは毒にはなるんですけど。」

陽美「落ち着きのない変なやつっていうポジションになっちゃうってこと?好奇心の持ちすぎで。」

小田「まぁ、それだけとは言わないですけど、そうなる人が多くて。」

陽美「まぁ確かに。」

小田「ただ、そっちの方が人生楽しいんじゃないかと思いますよね。」

陽美「本当か?笑」

小田「いや、社会生活って面を除けば、色んな事に興味を持てるのは幸せなことじゃないですか?」

陽美「でもさ、社会生活を除いてしまった人生は本当に楽しいの?っていう。無理じゃない?笑」

小田「形而上学的に生きれば。」

陽美「形而上学的に生きれば?」

小田「生きれば可じゃないですか?なんか、哲学的な閃きみたいな、そういう方面に行けば笑。」

陽美「そのだから、ずーっと部屋に籠って、自分の好奇心を消化して1人でデュフデュフ笑ってるような日々が、幸せだろうっていう話?」

小田「少なくとも本人にとっては幸せなんじゃないですかね。」

陽美「あぁ~、まぁ本人の満足で言えばそうだろうね。でも本人の満足って話だったらさ、知的好奇心の多い人は満たされないんじゃない?」

小田「あぁ、満たされることがない?」

陽美「だからその、不満としてさ、幸せに繋がんないんじゃないかと今パッと思ったんだけど。」

小田「いやそう、多分僕ややそっち側みたいなところがあって。色んな事に漠然とした恐怖感を持って、興味を持ってる気がするんですよ。」

陽美「恐怖感と興味が共存してるってこと?」

小田「恐怖感があるから、興味を持った後に、何かする動機になる。」

陽美「敵を知り己を知れば百戦危うからず的な話?」

小田「変わらないと死ぬみたいな話ですね。」

陽美「あぁ~、だから、好奇心が未知に対する対策的なところから来てるってこと?」

小田「そうですそうです。」

陽美「なんか生きづらそうな感じだね、すごい。」

小田「そうなんですよ笑。」

陽美「すごい好奇心のモチベーションとしてさ、不純じゃない?笑」

小田「いや、なんか、純粋に動くこともあるんですけど。」

陽美「うん。なんか例が欲しい、恐怖がちょっと入ってる好奇心の。」

小田「例えば、小説を書くことにやや興味が出たことがあったんですよ。」

陽美「はいはい、書き物がしたいと。」

小田「それって、逆にそうじゃない時何をやってるかって言えば、学校行ってスマホ見てるだけじゃないですか。」

陽美「まぁ、高校時代とか特にね。」

小田「学校行って、おうち帰って、スマホ見て。それはなんか、中身のない空っぽな人間になりそうだな、と思って。」

陽美「待って待って笑。確認すると、学校行って、きわめて無趣味で、YouTubeくらいしか見てないような人は、もう空っぽなんじゃないかって話ね?笑」

小田「それはあの、誤解を生みかねない笑。」

陽美「でもそれをちょっと前提にしてない?話として。いやごめん、そこは、俺はいいと思う、その考えは。」

小田「私の中ではそうです。」

陽美「うんうん。で、それが、」

小田「そういう恐怖感を元に、じゃあこれやらないといけないなっていう発想に至ったみたいなことが何十回かあって。」

陽美「なるほどね、今の事例はわかったわ。だから、何か小説を書くっていうことをしたいなって時に、小説を書きたいっていう感情以外の、ちょっとネガティブな要素があるわけね?」

小田「あります。これをしないままで生きると人生が自分的にどうなるんだろう、内面がどうなるんだろうって。」

陽美「確かにな〜。好奇心って話で言うと、混ざり物があるってことになるのか。」

小田「純粋な、逆にベースがそこまで明るくないって言うとちょっとアレなんですけど、好奇心オンリーでやりたいって思わされることが少ないんですよ。他の変なこと考えて。」

陽美「それこそさ、何て言うんだろう?ちっちゃい頃は違ったのかもしれないじゃん。今、好奇心が具体的な行動と結びつきやすくなったわけじゃん。何かがしたいとか。」

小田「そうですね。」

陽美「で、まぁ当然何かの行動をするってなると、現実的な動機っていうのが含まれるようになるんだけど、それこそちっちゃい頃はさ、純粋にこの図鑑の中にいる生き物全部覚えてやろうとか。純粋にどんな虫がいるんだろうとか。どんな電車があるんだろう、みたいなそういうところで、行動じゃなくて単純に知りたいっていう好奇心が強かったと思うんだよね。」

小田「それ、少なくとも小3までには終わってる気がします。」

陽美「終わっちゃった?あぁ〜……。」

小田「少なくとも記憶にある限りだとないです、そう言う純粋な時代は笑。」

陽美「そっかぁ〜……。」

小田「え、逆にいつまでですか?」

陽美「え〜でも多分小学校までは全然あったし、中高も細々とあった。内容としては、最初はそれこそ昆虫、電車、あとあれだ、海の危険生物とか、毒がある生物とか。あそこらへんがめちゃめちゃ好きで。途中からは割と思想系の方に寄ってったかもしれないけど。」

小田「中高のうちに?」

陽美「そうね、中学高校のあたりで、思想系の興味によってったところは、ある。」

小田「どういう思想ですか?」

陽美「例えば、1番最初に気になったのが、死生観。死んだらどうなるんだろう?っていう話があるじゃん。さっきさ、昆虫とか海の生き物とかそういう理科系のものを知りたいっていう興味があったって話をしたんだけど、その延長で結構いろんな雑学?生物系とか理科系の雑学が入ってる本を読み始めたわけよ、小学校上がるか上がんないかくらいの時に。その中で、死んだらどうなるの?っていう章があって、」

小田「あぁ〜、そこから?」

陽美「そう、そこで書いてあった内容が、死んだら何も残りません、と。あなたの体は全てバラバラに分解されて、ちっちゃな粒になって、自然に還っていきます。天国とか地獄があったらいいですけれども、そういったものは少なくとも今ないとされてますよ、みたいな、そう言う記述があって。そこで、『あ、天国と地獄ってないんだ!』みたいな笑。『あ、死んだら終わりなんだ。』みたいな絶望があって笑。」

小田「はい笑。」

陽美「で、そこから、『やばいやばいどうしよう、この不安を何とかしないと!』みたいな。」

小田「感じになって、死生観に。」

陽美「そうそうそう。だから、そこだわ!そこ、割とネガティブな動機づけの知的好奇心の発露かもしれない、今思ったら。」

小田「僕もあの、高……2ですね。狂った様にキリスト教の聖書の外典。」

陽美「待って笑。え、クリスチャン?」

小田「小学校がキリスト教で、だからベースの知識があった上で、ちょっとあの、いろいろな変な影響を受けまして、」

陽美「変な影響を受けまして笑、」

小田「まぁ普通に、まぁ、どうせ死ぬじゃないですか。」

陽美「人間ね。」

小田「人間死ぬんですけど、その先について何も考えずに死ぬのはどうなんだろう?と急に思いまして。」

陽美「ほう。」

小田「で、逆にそれこそ、このまま死んでも何も形も残らないじゃないですか。」

陽美「うんうん。」

小田「だから、何か影響を与えると言う意味で、そういう標準じゃない考え方を学ぶことって大事じゃないかっていう風に、まぁやや、ポジティブといえばポジティブ、ネガティブといえばネガティブな動機で、なぜか読み漁ってた時期があって。」

陽美「なるほどね。だからその、死後についての、ある程度の納得のいく持論を持ちたかったってこと?」

小田「納得のいく持論を持つ人間になるべきだと考えてました。」

陽美「はいはいはい。それで、キリスト教の、」

小田「じゃない方ですね。正統じゃない方です。」

陽美「正統じゃない方?何が違うの?一般のキリスト教と。」

小田「違いは、キリスト教だと、人間がいて、神がいて、ちょっと語弊があるかもしれないけど、その仲介役としてイエスがいるわけじゃないですか。で、人間がいて、ヤハウェがいて、でもヤハウェは本当の神ではなくて、その上にもう一個思考神がいるっていうのが、キリスト教のじゃない方の価値観で。」

陽美「あぁ〜、その、小田くんの好きな、」

小田「好きというか、一時期なぜか読んでた方の価値観で。それもやや恐怖心みたいなので読んでたんですけど。」

陽美「なるほど。その、小田くんが読んでた方のキリスト教っていうのが、人間がいて、神がいて、その上に更なる神がいるっていう世界観の、キリスト教の亜種みたいなやつ。」

小田「そうですね。」

陽美「それが、どんな知見につながったわけよ?」

小田「エヴァンゲリオンの解釈が変に深まるとかいう、よくわかんない結論に笑。」

陽美「エヴァかぁ〜!ちょっとエヴァは履修してないんだよなぁ〜。」

小田「なぜか、それに似てて笑。まぁあの、バシレイデス派っていうのがいるんですけど、そこになぜか似てて。で、なんか変な考えを持ち、なんか、厨二病治ってないんじゃないか?っていう、結局。」

陽美「あ、厨二病が悪化したってこと?」

小田「やや悪化したかもしれない……。」

陽美「まぁまぁ、知的好奇心の行き着く先が、福音とは限りませんからね。好奇心は猫をも殺すと言ったり言わなかったりしますし。え、つまり好奇心は割とマイナスな結果が多いっていう小田くんの説があってそうじゃない?」

小田「持ちすぎると、」

陽美「厨二病になるし、」

小田「いや別に、今厨二病だとは思ってないっちゃないんですけど、、」

陽美「卒業したんだ?」

小田「人前で俺の右目が!なんて言ったことないですし、」

陽美「なんかちょっと人と違う様にあろうとしてるとかそういう振る舞いもない?」

小田「それはあるかもしれないですね。」

陽美「治ってないじゃん笑。」

小田「いや笑。え、同じであろうとするっていうのは違くないですか?」

陽美「同じであろうとするのが実は普通なんよ。」

小田「あ、そうなんですか?」

陽美「そこに疑問を持ってる時点で、厨二病抜けきれてないっていうのが、一般的な見解ではある。」

小田「それやや、生きる意味なくなりませんか?」

陽美「あるよ笑。普通の人が、普通に生きて、普通に結婚して、普通の幸せを巡って、普通に人々に囲まれて、普通に死ぬっていう。」

小田「その人生は今後100年でも70億通りくらいあるじゃないですか。」

陽美「そうだね。」

小田「それ、そんなに意味あります?」

陽美「わかった!そのさ、小田くんは独自性とか唯一性に価値を見出しちゃってるんだよ。それ厨二病の症状。」

小田「アァ!グアァ〜〜〜!」

陽美「そこ自体に価値はないの、本来。ただ違うだけなのに、それを良いものと思っちゃってるから、それは抜けきれてないよやっぱ笑。」

小田「価値じゃなくて、生きることの意味みたいな意味合いなんですけど。あの、偉いとは思ってないです。みんな違ってみんな良いです。でも、個人的には、」

陽美「ちょっとさ、普通を見下してる節ない?笑」

小田「ないですないです!」

陽美「ない?笑」

小田「いや、普通に幸せなのは良いことだと思ってます!」

陽美「でも自分がそこを歩もうとは思わないわけじゃん。」

小田「そう、私の内面的な、生きる意味的な話で、人に押し付けようとは思ったことないです。『何でそんな普通に生きてんの?』って人に言ったことは無いです。」

陽美「あはは!笑」

小田「別にそれはそれで本当に良いと思ってます。」

陽美「なるほどね。いや、害のない厨二病だから全然良いと思う。」

小田「ガチで、変に考えすぎなだけだと思います。」

陽美「うんうん。なんか全然好奇心に関係ない話になってきちゃったけど笑。厨二病の話って、」

小田「ネガティブな好奇心の行き着く先ですね。」

陽美「あ、そうだそうだ。」

小田「ネガティブに後押しされた好奇心の行き着く先です。」

陽美「厨二病になりがちですよねって。」

小田「いやあの、厨二病って片付けられると……笑。」

陽美「ごめん!笑 まぁ知的好奇心の行き着く先でちょっと日常に支障が出る可能性があるよって話ですね。」

小田「あるよ!(笑)みたいな話なんですけど、好奇心がないのは危険だと思いますか?」

陽美「いや、全然僕はなくても良いんじゃない?くらいには思ってるけど。だって別に今の世の中さ、困んないじゃん、好奇心なくても。」

小田「それは、レールに乗るみたいな?」

陽美「そうそう。だから全然さ、あるわけじゃん、普通とされる道筋も、それを実現するための資源もあるわけじゃん、特に日本だったらね。」

小田「ありますね。」

陽美「だから、幸せに生きるために必要かどうかって話だとは思うんだけど、好奇心は特に必要ないんじゃないかなぁ。」

小田「社会全体が全員好奇心持たなかったらその国は衰退しませんか?」

陽美「それは、そう。だから、個人の観点で言えば必要ないけど、人類全体の話で言うと、好奇心を持った個体は必要だよねっていう。」

小田「個人としては持たなくても良いけど誰かは持たないといけない。」

陽美「そうそう、だから私自身が持つ必要はない。全ての人が持つ必要はない。の方が多分正確かな?」

小田「好奇心って捨てられたら捨てたいと思いますか?」

陽美「今?うーん。いや捨てたくないなぁ。」

小田「なんか、人生無気力になりそうじゃないですか?」

陽美「それは思う。思うんだけど、それは多分僕が好奇心をベースに生きてきてしまったから。日常的な刺激が好奇心経由で摂取されるっていうのに慣れてしまったから。それが無いと困っちゃうみたいな。」

小田「逆に、刺激があれば好奇心はいらない?例えば、刺激が安定的に供給されるのであれば、人間は好奇心を持たずに生きていける?」

陽美「人間の話?僕の話だと無理だよ。僕の中の回路が違うもん、もう。」

小田「あぁ、好奇心経由で入ってくる回路になってるから?」

陽美「そうそう。そこが今一番開発されてて、そこが一番満足感が高い回路になってるから、僕はもう無理だよ、好奇心を捨てるのは。ただ、ちっちゃい頃から好奇心が刺激されなくても、満足できるようなルートがあったんだったら、そっちを選んでも全然良いと思ってるよ。」

小田「まぁ普通に、美味しいもの食べるとか。でも美味しいもの食べようって思うのは好奇心ですよね。ずっとカロリーメイト食ってればよいですもんね。」

陽美「それちょっと拡大解釈じゃない?好奇心と快感を分けるべきだと思うんだよね。快感があって、その1部が好奇心。」

小田「好奇心が繋がる先が快感?」

陽美「そう、好奇心から快感は得られるけど。」

小田「好奇心そのものを得ても気持ちよくはないですもんね。」

陽美「そうだね。だからもちろん、好奇心経由じゃない快感はあるよっていう。美味しいもの食べるとかはそうだし。」

小田「美味しいもの食べる、寝る、」

陽美「寝るもそうだし。あぁ、TikTokでバズるとかね。」

小田「あぁ~、確かに承認欲求は好奇心ではないですもんね。」

陽美「とか、なんかあの、ミニマリストの動画をあげてバズるとかね。」

小田「あぁなんか思ったより生きていけそうですね。」

陽美「ミニマリストって承認欲求捨てられなかったんだなぁみたいな笑。」

小田「それも捨てろよ、みたいな笑。ミニマリストの動画なんてあげてる時点でミニマリストじゃないのでは?みたいな笑。」

陽美「自分の中身と向き合おうよっていうのは本当に思うんだけど笑。」

小田「人格も断捨離していきたいですよね笑。」

陽美「ちょっと待って、だいぶ逸れた気がするんだけど笑。……そう、だから、全然好奇心が無くても快感を楽しめる要素はあるから、そこで満たされるんだったら全然そっちの人生も良いんじゃないかなと僕は思いますけどね。」

小田「なるほどっすねぇ。」

陽美「って思わない?」

小田「いや結局、なぜか生まれてるじゃないですか。なぜかこの意識が存在するじゃないですか。」

陽美「そうだね、結果としてね。」

小田「それは使わなかったら別に、無いのと同じじゃないです?そこが違うんですかね。」

陽美「待って待って、ちょっと強くない?笑 えっと、小田君が今存在していて、小田君という意識があります、と。だから、好奇心を使わなければ、それは意識がないのと同じであると。ちょっと論理の飛躍がさ、激しくない?っていう笑。」

小田「その、私以外全員コンピューターでプログラミングされてるかもしれないじゃないですか。」

陽美「そうだね。検証しようがないからね。」

小田「そうした時に、普通に生きるのは、、、難しいなぁ。」

陽美「多分それ違うよ笑。だってさ、その、コンピュータープログラムかもしれないっていうのが意識の有無と関わってくるんだったら、他人が知的好奇心を持っていたとしても、小田君にとってはコンピュータープログラムと判別できないんだから。」

小田「そうですよね。」

陽美「じゃあ関係ないよ。」

小田「でもなんか、何でしょうね?この感情の正体は。教えてほしいんですよね笑。」

陽美「厨二病!」

小田「だからそう~~っ!」

陽美「いや、確かに良くないよね、厨二病って一言葉で詳細を捨ててえいや!って表現しちゃうのは良くない気がする。」

小田「生きる意味はどこにあると思いますか?」

陽美「ないよ!」

小田「結局死ぬ?」

陽美「そう!」

小田「じゃあ今すぐ死ねば良くないですか?と思っちゃうんですけど。」

陽美「嫌だよ!死ぬにあたって苦しみが伴うから嫌だよ。」

小田「なんか、そういう薬みたいなのあるじゃないですか。」

陽美「安楽死のってこと?」

小田「はい。」

陽美「怖いから嫌だよ。」

小田「いつか来るんで、結局苦しみの総量は同じじゃないですか?」

陽美「苦しみの総量は同じだね、確かに。なんならちょっと増えるかもしれないしね。長生きしてるとね。」

小田「そうですね。そう考えると、普通に何も痕跡残さず逝くなら、別にその先のあれは時間の無駄じゃないかと思ってしまう。」

陽美「実は、それって穴があって、苦痛の総量が長生きしても減ることは無いんだったら、今死んじゃえば良いんじゃっていう話があるんだけど、それは違って。何でかっていうと、確かに人生に苦痛の総量があったとして、それが死ぬタイミングで確定するとしてね?その確定した苦痛の総量を評価する自分ていうのは、存在しないんだよ。もう死んでるんだから。」

小田「そうですね。」

陽美「だから、苦痛の総量を考えるのは意味が無くて、生きてる間にどんだけ苦痛を避けるか避けないかっていうところが、個人の本能というか、直感的な快感の話だから。だから僕は、今死のうとしたら、死ぬ直前の生きている間に、恐怖っていう苦しみを伴うので、それが嫌だっていう話なんですね。」

小田「でも結局快楽を評価する自分も居ないじゃないですか。」

陽美「総量の評価はいないよ。だから生きてる時々での刹那的な快楽が欲しいわけじゃん。」

小田「刹那的な快楽を無限に積み重ねた先に、なにがあるのかなぁと思っちゃうんですよ。」

陽美「あ、だから積み重ねた先はないよ。積み重ねる量は意味は無いんだから。ただ生きてる間に、嬉しいことがあったら嬉しいよねっていう話でしかなくて。」

小田「ただその刹那を邪魔されたくない?」

陽美「あぁ、それが近いんじゃない?多分。」

小田「えぇ、なんか、」

陽美「だからさぁ、生きてることとかに生涯を通した意味とか価値を見出そうとしてる人ってさ、死んだときにゲームオーバーってなって自分がゲーム機の前で佇んでる状況を勝手に想定してると思うんだよね。」

小田「でも死後の世界そんな感じの世界じゃないですか。」

陽美「そう、そうなんだけど。」

小田「はい残念でした!何も残せませんでした!みたいな。そういう可能性があることも考えると、」

陽美「俺は別にそこはないって考えてるから。」

小田「えーっと、人間死んだ先はどこに行くんですか?」

陽美「無いですね。」

小田「あ、天国地獄無い派?」

陽美「天国地獄無い派ではある、割と。」

小田「確かに意識を特別視するのはおかしいっちゃおかしいですよね。」

陽美「だから多分小田君は、ゲームスコアが表示される世界観の人なわけじゃん。」

小田「表示される可能性はある派ですね。」

陽美「されてほしいと思ってる?」

小田「いや、別にされなくても良いですけど、ただ、この世界が物質だけで回ってるとして、最初の最初だけはどうやっても説明つかないと思うんですよ、ビッグバンの。」

陽美「例えば?どういうこと?」

小田「私が生まれたのは、普通に物質的な流れがあるわけじゃないですか。」

陽美「そうだね。」

小田「その前も前も前もあるんですけど。その前の前の前のって辿っていって、宇宙誕生の瞬間に戻った時に、その前の1つが生まれる根拠っていうのは、どこにもなくないですか?」

陽美「あ、特定の物理現象には全部原因があるけど、一番最初の物理現象っていうのを仮定しちゃうと、その原因がわかんなくなっちゃうよねって話?」

小田「なっちゃいますよね。で、そこが神の存在だと思ってるんですよ。」

陽美「あぁ~。でも良いと思う。俺はそれ賛成。」

小田「じゃあ神はいるじゃないですか。」

陽美「でもその神は人の形はしてないし、人の言葉は喋んないよ。世界の仕組み、世界の根本原理っていうのを、僕は神って呼ぶのは差し支えないと思ってるんだけど、僕の中ではその神様っていうのは、人の言葉は喋んないし、人型もしていないし、天国も地獄も作ってくんないしっていう。」

小田「えっと、物質としてなぜか生まれて、そのまま朽ちて死んでいくだけ?」

陽美「そう、だから最初に物質的な根本原因があったっていうだけ。」

小田「物質的根本原因そのものを神って呼んでるだけであって、神という存在に意識というものは想定していない?」

陽美「そうだね。なんか、人間の類似品みたいな感じでは全然ないと思ってる。」

小田「なるほど。あぁ~、そこが正体ですね。天国と地獄の存在の対立の。死後の世界に何があるかっていうのを、想定してるかしてないかですね。」

陽美「そうだね。で、小田君は、今根拠としては一番最初の原因が人型で、人と交流ができて、人に対して死後に天国と地獄を用意してくれる存在だろうって考えてるわけだ。」

小田「まぁ、人型かはちょっとわかんないです。なんか、旧約聖書の神とか、そのままだとすっごい形してるらしいですからね。」

陽美「なんかあれでしょ?目玉だけで、羽がブワーッみたいな。」

小田「そうですそうです。そんな感じらしいんで。交流できるかも知らないですけど、何かの形で、後々残り得るのかなぁとは思ってますね。」

陽美「うんうん、なるほどね。」

小田「そういう意味では、何か残した方が良いのかなぁと思ってますね。」

陽美「あぁ~、なんかいいね。自分の中の価値観がさ、割と好奇心に根付いてるじゃん、それでいうと今のところ。」

小田「どういうあたりですか?」

陽美「原因をさかのぼっていくと、最初になんか今までの原因の理屈では説明がつかな根本的な存在がいるよねっていうのは、素朴な、直感的な知的好奇心の、因果的なとこに対する好奇心だから、自分の世界観に納得感とか根拠を持ててるなっていうのは、思いますね。」

小田「そうですね。理屈っぽいのは、マジで物心ついた時くらいからなんですよ。」

陽美「それでいうと、好奇心があるとさ、そういう自分の価値観に対しても納得感が得られると思うんだよね。考えた上で価値観を確定させていくから、そこでなんでだろうって積み重ねていく、深掘っていく好奇心っていうのがあると、自分の価値観に自信が持てるから、それはある種生き方として幸福なんじゃないかなぁと思いましたけどね。」

小田「あぁ~、そうですね。結局、好奇心はあるんですよ。それで、行動を後押しする要因が純粋な好奇心ではないだけなんですよ。ですから、好奇心自体は多分旺盛な方ですね。」

陽美「うんうんうん、意外と好奇心には良いこともあったんじゃないですか?それでいくと。」

小田「そうですね、いろいろ考えられたとは思いますけど。」

陽美「ちょっとなんかどんどん話が二転三転してるから、そろそろ笑。」

小田「良い時間ですかね笑。」

陽美「飲み物もなくなっちゃった。」

小田「飲み物もきれちゃいましたね。」

陽美「この後なんか予定あるの?」

小田「お家で両親がご飯作ってて笑。」

陽美「まぁ、あれですよね笑。普通の日常ですよね。」

小田「そうですね。」

陽美「特に好奇心が刺激されるわけじゃないけど、平和な、楽しい日常が待ってるってことで。」

小田「美味しくて、快楽で、良い日常。」

陽美「好奇心があってもなくても楽しい日常が待ってるならそれは幸せって言っても良いんじゃないかと。ま、じゃあ、帰りますか。」

小田「帰りますか!」

かっこつけver.

公演情報

********************
劇団コギト2023年度一橋祭公演
『7×7のモラトリアム』
脚本・演出 高尾友季
「喫茶店は、道の途中で立ち寄る所。そんな場所に彼らは住んでいた。」
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◆出演
伊藤朝輝 杉本周平
羽尻結衣 藤田ひかり 古浜奨真

◆日程
11/24(金) 11:00~ / 14:30~
11/25(土) 11:00~ / 14:30~
11/26(日) 10:30~ / 14:00~
※開場は開演の30分前です。
※上演時間は約80分を予定しております。

◆料金
無料(カンパ制)
*本公演は無料ですが、ご予約も受け付けております。お席はご予約の方を優先いたします。
下記 URL よりお手続きください。

◆会場
一橋大学⻄キャンパス学生会館 1F アトリエ
アクセス
JR中央線 国立駅南口より 徒歩15分
JR南武線 谷保駅北口より 徒歩25分
*会場がわかりにくくなっておりますので、お時間に余裕を持ってお越しください。

◆スタッフ
舞台監督   佐藤愛佳
舞台監督補佐 陽美雄月
演出助手   小田悠生 中村紘夢 らむ
舞台美術   佐藤あい 富田皐央 濱野あすか
       陽美雄月 山田彩絵 リーナ
制作     岩田大煕 齋藤よしみ 298
衣装     近江天音 菅野咲名 土屋陽菜 山葵
小道具    久保聡琉 長月小雨 らむ
宣伝美術   久保田広輝 錆田 ひらお
広報     川井直太郎 川口芽萌子 宮野浩真 山浦弥桜
照明     黒崎陽人 山本翔
音響     中嶋悠太 成田明由
音響補佐   千足海都
作曲     高尾友季
編曲     中嶋悠太
応援     天野友花梨

◆お問い合わせ
一橋大学 劇団コギト
連絡先
cogito.pr@gmail.com (制作 岩田)
Twitter
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