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7人の女侍 番外編 ”香りは人をあらわす~女性更衣室の混沌”

7人の女侍 1話私の職場には現在6名の女性事務員がいます。
これまでに彼女らとの紆余曲折を書いてきました。

私は、歳のせいもあって、眼や耳が徐々に衰え、頭も回らなくなってきました。しかし、鼻、つまり嗅覚だけは若い時と変わらず鋭敏である自信があります。(なお、困るくらい元気な一部分が他にありますが)

だから、ワキガの人だけはどうしても苦手で、満員電車で万が一出くわしたものなら、車両を替えるどころか、いったん降りて電車を一本遅らせるほどです。

以前、太った職場の後輩が汗臭すぎて、ローソンでTシャツを買ってプレゼントして着替えさせた逸話さえ持ちます。
「新品シャツおろしフェチ」等の奇特な性癖でもあるのかと思われたかもしれません。

そんな私ですから、職場女性の香りにも、思いを馳せずにはいられないのです。

■以前の日記で紹介した、職場の男を虜にする美魔女のマカナ

彼女は、キャラに似合った、それは強く甘ったるい、あざとい香りを放っています。
化粧水なのかシャンプーなのか知りませんが、いつも同じ香りならまだしも、なかなかの頻度で変化します。
ひとところに落ち着かないその感じも、八方美人な彼女に実に似つかわしい。


■また、「中2病エロ女」こと、タツコ

彼女の香りも、キャラクターにマッチしています。
マカナほど強くはないものの、しっかり香りはするのですが、どこかスポーティーでキレのある、爽やか系の香り。
そしてその香りはほぼいつも一緒です。
ストレートで飾らない彼女の性格を映し出しているかのようですが、どこかちょっと安っぽい香りな気がするのは、彼女が隠している質実剛健な部分も見え隠れしています。


■はたまた、「長身で短髪なメンヘラ」として紹介した、メメコ

彼女の香りが実は一番強い。
けっこう周囲のお姉さまたちに気を使った立ち振舞いをしているのに、香りの自己主張はお局クラス。
決して嫌な匂いではなく、これによって確実に自分の存在を広範囲の空間でアピールしてきます。
男好きが故に、アリジゴクの巣のように広く大きなくぼみを作り、 迷い落ちる男を待ち構えているかのようです。


■一方で、若手である、芯の強いはんなり女性:シノブと、もはや退職してしまった、悲しきダンサーのシヨウコ

彼女らの場合は、年長者に気を使っているのか、ほぼ無臭です。
私の鼻をもってしても、感じることがほぼありません。

それ故に、たまに彼女らの香りを感じると、はぐれメタルに出くわしたかのような高揚感をおぼえ、私の頭の中ではレベルアップのファンファーレが鳴り響きます。

それはきっと彼女ら本体の香りであろうなどと考えだすと、変態の癖(へき)にあることを思い知らされ、人間としてのレベルはむしろ下がっていることに疑いはありません。

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さて、そんな、香りに賑やかなうちの会社には、女性用の更衣室があります。

男性が帰りに戸締まりの見回りをするので、中にまでは立ち入らないまでも、照明OFFなどをチェックするために女子更衣室であっても扉を開けます。

その時に漏れ来る香りたるや、想像できるでしょうか。

ただオッサン臭いだけの、単純明快な男性ロッカーには、決して無い香り。

香料という名の化学物質、そして持ち主から放たれる有機物質が、歴代のあらゆる女性たちの想いを乗せて密室で混じり合い、熟成し、まるでファラオの棺を開けたときの第一臭のように濃密です。

可視光線は、すべての周波数の波長が混ざると、白く見えます。
その女性ロッカー内に蔓延する香りの集合体においても、あらゆる値の、周波数ならぬ「臭波数」が含まれているかのようです。

人間の眼が感じる白色の光は、実は光の構成要素数で言えば一番混沌とした状態であるはずなのです。
しかしそれが最もシンプルで美しいものと認識させ、あまつさえ「純白」などと表現されるのは、視覚という感覚器がいかに酔狂なものかを物語ります。

一方、嗅覚はどうでしょう。光で言う「純白」に相当するものがこの女性ロッカー内の臭いなのだとしたら、鼻を設計した神様はあまりに無慈悲ではありませんか。


ブルーライトカットレンズのように、不快な「臭波数」だけカットしてくれるマスクがほしい。いやむしろ、特定の女性の香りだけ感じていられるマスクがほしい。

それによりガス漏れに気づかず事故死したとしても、その亡骸は幸福な表情をたたえていることでしょう。




おわり

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