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「詩」水に想う

清らかに流れる川
そっと水面を掬えば
冷水に悴む掌に
舞い落ちる雪の花

思えば 流され続けた日々
せせらぎは 失われた愛を呼び
灰色の空に隠された
透明な記憶は甦る

あの日の 手の温もり
それは闇を 照らす残光
どこかで さざ波のような
優しい 吐息が漏れる

水面に 誘われた星屑を
風は静かに 舞い散らす
列車の 汽笛に混じり
誰かが 私を呼ぶ声がする

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