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石田くん
 昨日、僕ね、学校帰りによく寄ってしまう野原で不思議な石さんを見つけたんだ。黄色くって、すっごく丸い石さん。でもね、これがさ、今まで一度も見たことないぐらい真っ黄色なの。だから、中まできっと黄色なんじゃないかと思ったけど、さすがは石さん。全然僕のひ弱な力じゃ、いくら地面にたたきつけても内側をのぞかせてくれなかったよ。可笑しな話でしょ。でももっと可笑しな話をするとね、僕この石さんのために基地を作ることに決めた。なんだか、たまたまにしては、このまま放っておくなんてできない。自分のもの、自分しか知らないものにしたいんだもん。でも、石田くんは知っちゃうわけか。けど、親友だからいいや。石田くんだけこの石さんのことを知ることも触ることも許可します。石田くんお願い。基地作り、手伝ってくれない。お返事待ってるよ。

本田君
 いいですよ、やりましょう。ただ、一つ条件を加えさせてください。基地は私たち2人で共同管理しましょう。
 実は、私も昨日不思議な体験をしました。本田君は、黄色の石との出会いについて論じておりましたが、私は一点の汚れさえない、純白な本を拾ったのです。拾った場所は、我が家の前です。本田君と少し違う点は、私のこの体験は偶然というよりかは、誰かによって仕掛けられた可能性が高いわけですが、その本は立派に装丁され、めくる紙はとても上質であることが、私にでもはっきりわかるぐらいの貴重な本を手にしたのです。
 私たち2人がそれぞれ手にした珍品の特徴から、基地の名前は「黄白(こうはく)」にしましょう。ほかの者がこの名を聞き及んでも、何のことかは分からないでしょう。つまり、私たち2人だけの完全なる秘密基地となるわけです。

石田くん
 石田くんも昨日、そんなすごいもの拾ったんだね。なんだか、すごい。担任の先生がこのこと知ったら、なんて例えるかな。でも、完全なる秘密基地だから、我慢、我慢。石田くん、もしよかったら明日の昼、僕の家に来ない。明日は学校お休みだし、母さんも仕事だから、だれにも秘密基地のこと聞かれなくてすむよ。どう。

本田君
 お誘い、ありがとう。行かせてもらいます。昼食を済ませてから向かおうと思うから、13時に本田君のお家にチャイムを鳴らせてもらいます。
 実は昨晩、我が家では盛大な祝賀会が開かれました。なぜなら、私の弟が志望校に合格したのです。気分も最高潮に達していた母は、その晩に家族4人でも食べきれないほどのクッキーを焼いてしまったのです。すでに冷めてしまっておりますが、明日本田君のお家へお邪魔するからには、お土産としてクッキーを持っていきます。

石田くん
 やったぁ、やったぁ、すっごく楽しみ。待ってるね。


ニコライーtushin-boは、ここで終わっているんだ。
マティスーふむ、なぜ続きがないんだ。バラバラになっているのか。
ニコライー残念ながら、私には分からない。ただ日本政府にとっても、この資料が戦時中の国民の生活を知れる貴重な資料であったから、多くの警察官を動員してまで、必死でこの続きを探させたらしい。
マティスーそれで、どうだったんだ。
ニコライー見つからなかったのさ。政府の高官の中には、はじめから続きが書かれていなかったのではないかと論じる者もいたようだが、どんな仮説も判断できる証拠がないときたわけだ。
マティスーふむ、続きが書かれていないは、なかなかのオチだと思わんかね。私はこのオチが気に入ったぞ。仮であろうがなかろうが、日本人の偉い者が強引に結論を出せばよいのにな。
ニコライーそうもいくまい。私はこれでよいと思うぞ。疑問は関心を長続きさせるからな。もしかしたら、いつかこの先、日本人の誰かがこのエンディングストーリーを見つけるやもしれんからな。
マティスーなぁ、もし続きがなかったとしたら、第3者に秘密基地の詳細を知られないように図ったのかもしれんな。だとしたら、石田君だな。彼はいかにもこの未来のオチまで図ってそうじゃないか。

ニコライ教授とマティス教授の会話シーン

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