第2話|音が聞こえてくる
カイから、写真が送られてきた。先日行ってきたという個展の写真数枚。
一日中陽の光を浴びているわけにもいかず、オフィスだったり、家の中だったら、お店の中でだったり、モールの中だったり、大半は"どこか"の中にいる。こうした絵画がどこで描かれたのか検討つかないけど、なんだか見えてこない??そして聞こえてこない??
ピューーーー。ダダァーン。ウー、ダ、ダ、ダダァーン。タン、タン、タン、シー、タン。
明らかに私よりも中にいる彼らから、音が聞こえてくるわけさ。一体誰?あなたは何をしてるの?そんな抱いているのはどうしてさ?そっちの生活はどんな感じ?想像と困惑が入り混じる。ついには、私好みの舞台を連想してまう。
『20××年の公園で遊ぶ子供たち』
『自分の筋トレ中を模写した人』
『このままグルグル考え事して時間を過ごしたい人』
『愛するものを抱かずにいらない人』
その世界、その時代では、18時になったらどんな公共サイレンが流れてるの?何を聴きながら筋トレしてるの?ボォとしていられない私は何を聞いたら良い、教えて!何か感傷があるなる、話聞くよ、私でも良ければ!
こうして音色が聞こえてくる。
ピューーーー。ダダァーン。ウー、ダ、ダ、ダダァーン。タン、タン、タン、シー、タン。
今だって"どこか"の中に私はいるわけ。外にずっと居られない。信号を気にしたら、動線を気にしたり、マナーを気にしたり、そんなこと必要になくなったら、頭や心にスキマができる。スキマはとっても貪欲なエネルギーで満ちてるのかも。ここに入った時には、本来のようにはいかず、私好みの姿、形、概念となって出てくる。
さっきカイからもらった写真数枚は、私のスキマの中で、音となって出てきた。
(END)
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