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深津の黒子役を徹底解剖したい【映画スラムダンク】

上記は深津の人物像の側面の話なんだけど、プレイの側面から解剖したら思ったよりボリューミーになったので別途記事に書くことにした次第。

沢北が日本で初めてやったフローターシュートだったり、河田の相手を吹き飛ばすほどの威力のダンクは素人めでも凄さが分かりやすい選手なのですが、キャプテンの深津は淡々としているのでそうした分かりやすさが無いものの、映像化されて深津はかなりクレバーな選手であることが分かりました。

というわけで、今回は深津をバスケットボールのプレイ面でお話したいと思うベシ!

1.リョータの身長差を利用したポストアップ

山王のセットプレイを解説したら文では分かりづらいしプロにやってもらった方がいいのだけど(笑)、作中から重要なポイントだけ抜粋して書いていきます。

山王最初のターンで深津が「同じ2点だピョン」のハイポストからのジャンプショットを打ち、王者皮切りの得点。その後、深津が同じようにシュートを打つと見せかけて河田にパスを出す。

ポストアップとは?

台形(現在は長方形)あたりでポジションを取ったプレイのこと。
フリースローを打つあたりをハイポスト、ゴールに近い方をローポストと呼ぶ。

主にセンターがやることが多いので、深津のようにガードのポストプレイはかなり珍しい。

これは「心理戦」と「精神攻撃」

まず、リョータの身長さを利用した深津がポジションを取ります。肝はここですね。

次の山王のオフェンス時、深津が同じようにハイポストで打とうとすると、リョータをカバーするために背丈のあるゴリがカバー、ゴリが深津のリョータのカバーに回ることにより河田がフリーになるので深津が河田にパスを出す。

つまり、深津が囮役ですね。

前ターンが無ければ成立しないプレイで、2回目のポストアップはゴリがカバーにくるのも深津の思惑通り。これは序盤と終盤の深津→河田ダンクでやっているので分かりやすいと思います。

この時深津はノールックで河田にパスを出しますが、最初に「パスを出す」を念頭においているのでノールックで出せるわけです。

ちなみにポストでポジションを取られるとなかなか面倒で、ガードが切り込んだ場合、①深津が自分でドライブ②ドライブして切り込んでからゴール下の河田か野辺にパス or 深津のドライブ合わせて周りがカットイン③外にパスを出して沢北 or 松本がスリーのインサイドアウトの3択が生まれます。

海南の牧もペネトレイトが得意な選手なので、タイプとしては深津と同じですね。

ペネトレイトとは?
→全体的にペイントエリア(台形/長方形)に切り込むこと。

ドライブとは?
ドリブルで切り込み、そのままシュートに向かう場合に使う。特に流川、沢北が顕著。

カットインとは?
ボールを持っていないプレイヤーがゴール下に切り込むこと。合わせるタイミングが重要。

インサイドアウトとは?
内側→外側へのパス。主にペイントエリア(台形の面積)→スリーポイントラインを指すことが多い。山王戦ではゴリ→ミッチー、海南戦では牧→神がそう。

その後の三井が「こすいまねをしやがって」と着火 youするところ、深津→沢北レイアップは当たり障りのない普通のプレイなので一見何もこすくはないと思いますが、同じくリョータの身長差を利用しているからだと思います。

2.花道リバウンド覚醒後のジェスチャー

花道がポールのユニフォームを引っ張るところ、沢北はシュートを打った瞬間からリバウンド→速攻を仕掛けるために走り出しますが、ここで花道がオフェンスリバウンドに覚醒。

このあたりで深津が「早く戻れ」というジェスチャーをしているんですけど、他の選手は「野辺が赤い頭にリバウンドを取られた!」というラグがありますが深津には無い。

山王を追ってないと見落とす程の物凄く地味なシーンなんですけど、ここら辺が彼のクレバーさがより鮮明に見えますね。

3. 1回目の2回目のディフェンスの違い

山王のゾーンプレスについては上記の記事で解説しているので、詳細は上記で。

後半1回目のゾーンプレスでは沢北とタッグを組み、司令塔のリョータをコーナーに押し込むようにプレッシャーをかけます。

この時、深津はリョータがパスをもらう前からリョータの隣に付くようにディフェンスをしています。横並びのイメージですね。

後半残り3分、2回目のプレスをかけた時、深津は最初から横につくのではなくリョータがパスをもらってからディフェンスに付きます。1回目よりワンテンポ遅いです。

理由は単純に1回リョータに抜かれているからですね。修正能力と学習能力が高い描写です。

4.花道のケガを確信させるためのリバウンド

花道の異変に気がついたのは河田兄だけど、花道のケガを確信させるきっかけを作ったのは深津。

ゴリが花道に打たせるためシュートを打つところで、深津が花道に真っ向勝負で飛び込む。

覚醒直後は花道のお尻が野辺の頭に来るぐらい驚異的なジャンプ力に対して、来賓席ダイブ後は深津と互角。

この時の深津は本格的にリバウンドを取りに行ったのではなく、花道のケガを確信させるためだと思う。

スリーポイントを打った場合、打った飛距離の分だけボールも飛ぶのでガードがリバウンドを取る場面もありますが、当時のバスケではポジションごとの役割がはっきりしていたので、ゴール下のリバウンド争いにガードが飛び込むことは滅多に無かったと思います。

最初のリョータの身長差を利用するのはスポーツにおいてセオリーですが、弱みに徹底的に漬け込む場面が多く、”相手より自分の方が上手い”という自信に満ち溢れているというよりは、”相手の弱点を徹底的に突いて心をボキボキに折る”に焦点を置いている。

外野のファンからはプロデューサー的な意味で「黒子役」とは評されつつも、コート上では底抜けにサディスティックなプレイヤーです。

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こちらは余談ですが、今やPGもリバウンドを取りに行く時代。

なんと、高校バスケでポイントガードで17つのリバウンドを取り、大会ベスト5に選ばれた選手が現れました。

女子の京都精華の堀内桜花(さくら)選手。

現在NBAの合宿に選出されているため今回のインターハイ予選には参加していませんが(不参加の理由が凄すぎる)今年のキャプテン。1年からスタメン、2年生では全国夏冬2冠を達成した新女王の中心人物と言っても過言ではないゲームメイカー。

彼女は1年生の時にセンス抜群のアシストパスでブレイクしましたが、去年のウィンターカップ決勝で身長167cmのPGがリバウンド17本奪取という高校生でポジションの概念を変える驚異的な数字を残しました。

167cmと女性としては高身長の部類ですが、全国クラスとなると小さめ。

そんな彼女がどうやってこんなにもリバウンドを取れたのか?というと、センスとしてボールが落ちてくる嗅覚がかなり鋭いのですが、ランニングリバウンドと呼ばれる走り込んでボールを掴むリバウンドが彼女の強みですね。

ゴール下のポジション争いの隙を突くように、果敢にゴール下に飛び込む姿が印象的です。

5.深津がセットプレイを考えている可能性

ディフェンスのゾーンプレスは宝刀なので監督指示でしょうが、オフェンスは彼がセットプレイを考えている可能性があること。

セットプレイとは?
→予め動きを決めたオフェンスでの戦術のこと。フォーメーションとも呼ばれる。

例えば最終プレイ、沢北にを打たせるために「スクリーンをかけろ」という合図などがセットプレイである。

セットプレイは指揮を取る監督やコーチが考えることが多い。

セットプレイに関しては上記の記事が分かりやすいので参考に。

特に③のクロススクリーンは実際に山王戦でもやっており、花道vs河田の「あれ、まだいる…」の野辺スクリーン→河田フリーの場面。これもセットプレイの一種ですね。

漫画だと黒子役すぎて正直解像度に欠ける部分が多かったのだけど、作中では監督にゲームメイクを託されたり、『あれから10日後』では「バスケに関しては尊敬しているぞ…」と同じクラスであろう野辺や一之倉から励まされているのですが、どうもプレイヤー以上の信頼度に引っ掛かってたんですよ。

でも映像化されて分かりましたね。

もし深津が戦術も考えていたら、あの異様と思えるほどの信頼は当てはまる、と。

深津にも注目してみるピョン

公式さん曰く「まだまだ上映します!」とのことなので、ぜひ深津にも注目してみて欲しいピョン!元バスケ部より。(10年以上前の話)

名記事「深津をほめるおじさん」のブログで締めよう。


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