見出し画像

珈琲豆を買うとき「アメリカン下さい」と言うと笑われる。

「アメリカン(珈琲豆)下さい」と言うと笑われます。あくまで心の中でですが( ´艸`)それはなぜか?

簡単に言えば、【アメリカン】という言葉は、発した瞬間その人の珈琲に対する素人感がにじみ出るからです。もちろんすべての人が詳しいわけではないし、それを求めているわけではない。ご自分で違いが判らないことを伝え、相談していただけるのはこちらも力になりたいと思う。なによりこれから始めたい・知りたい・好きになりたいと思って、うちの店に来てくれたのならば大変喜ばしいことである。

では、なぜ今回こんな話をするか、それはあまりに勘違いしている人が多いからである。
そんな人たちが笑われるのです。

そもそもアメリカンとは、どういうものをいうのか説明できるだろうか。

日本では、アメリカンはすっきり、薄味の飲みやすい珈琲というイメージだろう。
その為、普通に入れた珈琲を薄めたものをアメリカンと勘違いしている人が多い。まずこれが間違いである。

まず、薄めるとか薄めないとかは、淹れ方の問題であり、珈琲豆には全く関係ない。味の強弱・苦味は煎りの深さの違いであり、すっきり目な珈琲とは、煎りの浅い珈琲をさす。よって、一般的にはそれをアメリカン(珈琲豆)と分類する。ただし、専門店はこれをアメリカン珈琲とは言いたくない。

それもそうだ、煎りが浅いものでも種類は色々ある。シングルオリジンだけでなく、そこにブレンドを入れてしまえば、それは無数にできるだろう。それぞれに味の個性があり、その個性を調整して作ったものたちをアメリカン(薄めた珈琲)と一括りで呼ばれたくはないのだ。

この勘違いを持ったまま、自称珈琲通が現れる。
アメリカンの豆が欲しい。さて、ここからがお客さんとの探り合いである。この人は、いわゆる薄めた珈琲の味を、求めているのか、それとも本当のアメリカン(?)である煎りの浅い豆の味を求めているのだろうか。正直に言おう、胸を張ってアメリカンといってくる人は、もれなく前者である。

その為、なかなか煎りの浅い豆はお勧めできません。味の根本が違うからである。煎りの浅い珈琲は、苦味は少ないが、酸味があります。そしてフルーティーな味わいのものが多いです。深い珈琲を薄めたものと「すっきり」といっても種類が違います。また、これも言えることですが、この手のお客さんは、酸味のお話をしても聞く耳を持たない、そうもれなく頑固であるのだ。だから、お店側も悩んでしまう。正直に、なんでもいいから適当に選んで、お湯でも淹れて飲んでおけ!とは、喉まで来ても決して言えません。

では、どういう豆を勧めるか。
私の店ではこれを進めると、リピート率がグンと上がりました。

キーワードは【ブラジル】と【ルワンダ】です。

さて、それぞれの特徴です。
まず【ブラジル】言わずと知れた珈琲大国です。この豆は日本で一番多く、手に入りやすいです。
私の店でも数種類扱っていました。この国の豆は、甘さが特徴です。そしてあまり粒はあまり大きくないものが多く、深い焙煎になっているものはあまりない(私もしていない)です。そして、酸味が弱いのも特徴です。酸味は、標高の高い場所で作られると強くなります(例:キリマンジャロなど)。
もし、ブラジルが標高が高ければ、最強の珈琲ができただろうという話を聞いたことがあります。

次に【ルワンダ】です。ここの珈琲は、香りは立つのに、苦味も酸味も非常に弱く、すっきりした味わいになります。そのため紅茶のような感覚でのむことができます。私の店でも、珈琲が苦手という方に、のんで頂いた時、これなら飲めると評価が高かったです。

よってアメリカンが欲しい方には、この2種類をお勧めします。
この2種類が、いわゆるアメリカンのイメージにぴったり合います。
苦味がなく、かといって酸味がなく、すっきりしています。
そして何より重要なのは、薄めているわけではないので、香りが損なわれないことです。
こっちの方が美味しいのは言うまでもありません。
この繰り返しで、ブラジルとルワンダで、アメリカンという単語を薄めていったのです。

さて、そろそろまとめさせていただきます。
これを機にアメリカン、という言葉を捨て、その代わりにブラジル、ルワンダを覚えましょう。とはいえこの記事を読んでくださった方は、きっと頑固ではないでしょう。なので周りに勘違いしている方がいたら、その時は訂正してあげてください。お願いします。

おそらく、実際役に立つのは、いつもアメリカンを飲んでいるひとと同席した場合や、その方への贈り物をする場合ではないでしょうか。そんなときには、是非この知識を利用して頂きけると嬉しいです。ちょっとした豆知識として頭の片隅においておいてください。

まだまだ、勘違いしている方は多いのが現状です。そのため多くのお店もめんどくさいから「アメリカンブレンド」なんて作って並べてしまうのです。説明しても聞かないでしょ?これでも買っておけ。ってな感じです。私は地道にですが、このあいまいなアメリカンという単語、なくしていきたいです。皆さま、宜しければご協力ください。
どうぞ宜しくお願い致します。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?