●パターソン●
日常の美しさが詩的に切り取られている。
スイートな部分もビターな部分も、プレーンなところも、日常というものはかくも美しいのかと気づかされる。
パターソン市に住むパターソンはバスの運転手。妻と愛犬とともに穏やかに暮らし、ひっそりと詩を描くことをライフワークとしている。
起床から一日の終わりまで、やさしくほほえましい日もあれば、ちょっとしたアクシデントに見舞われる日もある。いつも通りのリズムに乗って繰り返される。
目に映るものを拾っては繋ぎ合わせ、ノートに書き綴る。
木々の移ろい、レンガ造の街並み、バスの乗客のおしゃべり、夜の散歩。そして何かの記号のように繰り返される事象。
詩のように流れていく景色に、彼の詩が乗る。
しみじみと美しい。スイートでほほえましい美しさだけでなく、ビターなアクシデントも含めて美しい。
「PERFECT DAYS」から感じた美しさと通ずるものがある。その映画が好きな人はきっと好きだと思う。目を凝らすと輝く日常がそこにある。
公開当時に見逃していたので、リバイバル上映があってうれしい。
そして私はアダム・ドライバーが好きだ。顔も声も体型もタイプではないのにどういうわけか惹かれてしまう。フィルム越しに何かが伝わってくる。役者としてきっと好きなのだと思う。この映画の役もとてもよかった。
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