珈琲と衛星という喫茶店が札幌の片隅にあります。どういう経緯で作ったのか、店主の自己分析や人生観を絡めて少しずつ断片的に語ります。関係ないようなエピソードでも、拾い集めたらきっと大…
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●私と珈琲と衛星ができるまでの地図●経由地、小さな喫茶店
小さな古民家を改装したその喫茶店は吹き抜けになっており、二階席から見下ろすと、一階のそれもまた小さなキッチンで店員さんがコーヒーを淹れたりお皿を拭いたりと立ち働いているのが見えた。
こういうところで働くことができるのはどんな人なんだろう、と思いながら二十代前半の私はぼんやりと見ていた。
いつも失意と隣り合わせで現実との距離感がさらに開いていたその頃の私は、どんな道を進めばこんな場所で働くことができ
●私と珈琲と衛星ができるまでの地図●苦手から生まれるものもある
私にはできないことが多い。
きっちり時間通りに動くことやデスクワーク、スーツやオフィスカジュアルを着るのが苦手だ。
時間の逆算をしてもその通りに行かないし、いつも足りなくなる。仮にものすごく余裕を持って行動できたとしても、空白の時間がとても恐怖だ。
デスクワークはおそらく向いていない。思考があちこちに飛ぶので、気になったところから手をつけてしまい、全体的に完了が遅いし、電話も苦手だ。そして睡魔に勝
●私と珈琲と衛星ができるまでの地図●はじめに
まずはじめに断っておくけれど、この連載は喫茶店ができるまでの具体的な工程やハウツーではない。だからそれを期待して読むと期待外れかもしれない。
ただ、なんの資格も技術も持っていなかった人間が小さな喫茶店を開くことができたというのを知るのことはできる。
そして、それを語るには自身の生い立ちだとか性格だとかの自己分析を絡めながらでないと、まるで色も中身もない上辺だけのものになってしまうだろう。
だからと