見出し画像

彼女の世界

私は彼女が理解できなければ出来るまで説明し続けます。
何があろうと彼女の味方になります。
出来るまで帰らないといえば何時になっても一緒にいます。
彼女は経験の無い事柄に関しては臆病です。
先方に物を届けるだけでも怖がります。
しかし、大丈夫なんだという事を教えます。
結果笑顔で帰って来れば成功です。
励まし、良い所は認めて褒めます。

ふと気付きました。私は何をしているんだろうと。職場で人目も憚らず泣く彼女を見て、子育てをしている様な感覚に陥りました。
でも彼女は友達であり、大人です。私の子供でもありません。18歳の高校を出てすぐの子供ならわかりますが、40歳を超えた大人に私は何をしているんだろうと葛藤が生まれます。

そして疑問に思う事。それは「彼女は一体どんな世界で生きてきたのか」という事です。

ニュースも観ない、新聞も読まない、情報に疎い、人の言っている事の大半が理解できない、では学生時代どうやって過ごしてきたの?
子育てはどうやってきたのか?
子供達に何を教えてきたのか?
相手の言う事が理解出来ないのに会話は成り立っていたのか?
いや、私とはよく冗談を言い合いながら笑っていました。という事は理解しているのか?
では何故仕事に関しては理解できないのか?

そう考えていくと彼女の世界に何があるのだろうか?何が見えているのだろうか?その世界には何も無く、何も生まれないただただ真っ白な世界なのではないだろうかと考え始め、何故かとても悲しくなりました。

彼女は学校でも会社でも理解できないものは全て逃げてきた、避けてきたと私に言っていました。しかしそれらを理解できていたのなら人生が彩り豊かなものであっただろうし、また、私との30年近くの会話はどこまで彼女が理解してくれて笑ってくれていたのかという疑問が生まれ、楽しい彼女との思い出はもしかしたら彼女の中では違うものになっているのかもしれないと思う様になり、少し遠い存在になった気がしました。