ドローンの課長 #毎週ショートショートnote
体には運勢がある。
「あなたの体、ちょっと微妙ねえ」
社会人1年目、仕事で失敗ばかりの散々な日々。やはり運勢が悪いのか。
「どうすれば」
「体を変えればいいのよ」
占い師はカタログを広げ「好きなものを選んで」と微笑む。
四足歩行ロボ、ネコ型ロボ、人型ロボ、多すぎて目が眩むが、ふと、ある体が目に留まった。プロペラがついているだけの小さなドローンだ。
「これにします」
「いい体ね。ふふ」
それからは順調だ。
この体は食事も睡眠もいらない。ミスは0になり、365日仕事をした。それが評価され同期で一番に課長へ昇進した。皆が私に羨望の眼差しを向ける。
ああ、気持ちいい。
「お前、まだドローンなの?俺達もう30だし、先を考えて戻れば?」
先日子どもが生まれた同期の三島だ。
「元には戻れないよ」
「え」
三島は唖然としていたが、すぐに同情するような目を向けてきた。何だ、その目は。最近よく見る目だ。気分が悪い。
ああ、きっと運勢が悪いのだ。また体を変えよう。
(410字)
たらはかにさんの企画に参加いたします。
(ぎりぎりにすみません…)
お題「ドローンの課長」
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