言いかえ図鑑⑥

■しないで

ひとつひとつの動作がパワフルな人。
それが私の友人Y。

私の車に乗ったときなんかもパワフル。
車のドアを「バン！！」と力強く閉める。
おそらく本人に自覚はない。悪気もない。

大きい音に滅法弱いビビりな私からすると
（もうちょっと静かに閉めてほしいな）
なんて思いがくすぶっていたのだけど
先日とうとう言ってやりましたよ！

「ドアを強く閉めないでください」

途端に表情が曇るY。怒ってるのか。
正義は我にあるのに怒るというのか。

正しいことを言ったつもりの私だけど
どうにも消化不良の結果に落ち込んだ。

でも本書を読んではたと気付いた。
（あ、言い方が間違っていたのだ）と。

× ドアを強く閉めないでください
〇 ドアを静かに閉めてもらえますか

こうして文字にすると
（え、同じことじゃん。どこが違うの？）
と思ってしまうけど
これが口に出してみると意外や意外
『静かに閉めてもらえますか』の方が
圧倒的に柔らかく受け止めることができる。

どちらも静かに閉めてほしいとの要望だけど
前者は「〇〇しないで」＝否定形
後者は「〇〇して」＝肯定形

否定の言葉を受けるより
肯定の言葉を受けた方が良い。すごく良い。

普段何気なく口にしている言葉だけど
分解してみるとそのからくりに驚くことがある。