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着の身着のままゲーム機 #毎週ショートショートnote

「うわああああああああ!父さーん!!」

真冬に差し掛かった11月の暮れ。
深夜0時。明々しい住宅街の一角。
サイレンの音、野次馬の喧騒、燃え盛る炎。

目の前で私の家は燃え続けていた。

・・・

「巡査部長、例の火災の件なんですが…」

「一家四人中三人が亡くなった、あの火災か」

「その生き残りの少年について少し」

「なんだ?手短に言えよ」

「彼が犯人なんじゃないでしょうか」

露骨に眉をひそめる。何言ってんだこのバカは?
借金で首が回らない父親が灯油をかぶって火を…
というセンで決まりだったろうが。

「根拠は何だ?」

「火事から逃げ出た少年は着の身着のまま。
なぜかゲーム機だけを持っていましたよね」

部下の言いたいことはこうだ。
これは一家心中事件にもかかわらず
息子だけが助かるなんておかしいと。

「根拠になってない。ただの感想だな」

なに探偵気取ってるんだこの青二才。
小さな事件をほじくり返してないで
さっさとパトロールに行ってこいよ。

・・・

「ふふ。成功だ」
(410字)


今回のお題は『着の身着のままゲーム機』。たらはかにさんの
【毎週ショートショートnote】企画に参加させていただきました。

想像力をあれこれ刺激されるお題を題をありがとうございました!

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