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ハマる形と好ましい印象

「ぼくはねえ、職場で
Iさん、Kさん、Nさんと話が合うんだ」

「そうだね。夫くんよく話するもんね」

「その三人となら飲み会だってやってもいい」

「夫くん、お酒弱いくせに?(笑)」

「まあ、嫁ちゃんがいるから大丈夫だろ」

「いやー、また私介抱するの?」

「違う違う、飲み会どうこうじゃなくて
気が合うって話だよ。その三人と」

「ふむ」

「でもね、気は合うし話せば楽しいんだけど
やっぱり一緒には過ごせないなぁとも思うんだ」

「どうして?」

「まずIさんとは絶望的に食の好みが合わない」

「たしかに、ちょっと(かなり)合わないね」

「Kさんとするコストコ、IKEAの話は最高だけど
そういう買い物系以外の話はちょっと食い違う」

「あー、そうなんだ」

「Nさんは話が面白いしかなりウマが合うけど
感性が飛びすぎているというか・・・」

「Nさんはすごいからねぇ(笑)」

「だから、三人はきっとぼくと合わないんだよ。
なのに、ぼく的に好感度はかなり高いんだよ。
これってすごいことじゃない?」

「なにが?」

「形は合わないのに、好きっていうか」

「ああ、なるほどねぇ」

「あ、ちなみにだけど」

「?」

「好きってlikeだからね。loveじゃない」

「いや、そのくらいわかるよ(笑)」

「よかった」

「ふーん。じゃあ、夫くんと形が合うのは誰?」

「形?」

「さっき自分で言ったでしょ。
その三人とは形が合わないって。その形よ」

「そりゃあ嫁ちゃんだろ」

「え、そうなの?」

「一緒にいる時間が長いからなのかもだけど
形が一番合ってるのは間違いなく君だよ」

「ふーん。まあ、好みが色々似てるもんね。
昨日の回転寿司だって同じ注文連続でしたね」

「そうだね、そういう所があるのは大きい。
気を遣わないでできるってのが大きいよ」

「たしかに、私の親とか姉妹でも
あんまり私と合わないところが多いなあ」

「そうなの?姉さんとはけっこう合うでしょ」

「いやー、ウチの姉とは仲はいいけど
服とか食べ物とか合わないよ。本も読まないし」

「へぇ、そうなんだ」

「そうだよ。あとLINEでいいのに
いちいち電話かけてきたりするし」

「あー、電話はよくかかってくるね」

「でしょ?話さないと気が済まないんだよ」

「姉さんは君と話したくてしょーがないんだよ」

「まあ、それならしょーがないな」

「うむ。しょーがない。ところで今晩は…」

「こないだコストコで買ったベビーリーフに
生ハム的なものをどっちゃり乗せようと思う」

「なにそれ最高じゃん」

「夫くんはトマト細かく切って乗せてね」

「仰せのままに」

「あとメインはパスタでいいよね」

「パスタソースあったっけ?」

「ふふ。アメリケーヌやらカラスミやら
こないだ買っておいたやつがあるんだよ」

「なにそれ最高かよ」

「だから食後の珈琲よろしくね」

「仰せのままに」


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