ちょっと、長すぎる。

私が困っている自分のクセ。それは人の話を聞きすぎること。
いや、困りつつ楽しんでもいるのだけど、その時間が長過ぎる。
仕事柄、来店されたお客様とちょっとした雑談をする。天気の話、近所の新しい店のこと。会計の合間やコーヒーをお出しした後の何往復かで終わるような軽いものが殆どだが、ある時バチっと何かのスイッチが入る。お客様からのインタビューのような質問や、聞き流せない問題定義、あるいは個人的なお悩みの吐露をきっかけに。
1時間、2時間と会話が続き、先日はついに4時間を超えた。どんなに楽しくても、いくらなんでも長い、長過ぎる。

私は決して聞き上手ではない。相手の発言に重ねて喋ったり、あれこれ上から物申すこともある。
おそらく煽り上手なのだ、火に油を注ぐというか。際どい角度から打たれた球を反射的に私が拾う。ギリギリで打ち返すと相手も釣られてスマッシュを放つ。こちらが白旗を揚げて「そろそろお時間では?」と発しても、一度燃え出した火は荒れ野を焼き尽くすまで消えはしない。
この話は誰のもの?楽しんでいるのはわたし?それともあなた??
応酬の果ては見えずその境界は溶けている。
仮にも私は接客のプロだ、快適な時間を提供することは私の責任でもある。沢山話せて良かったと思う一方、余計な事まで話し過ぎたと後悔する方もいるだろう。そういう意味でも適度な長さや程よい距離感は必須なのだ。

そんな反省から、この頃こまめに自分の感覚にお尋ねしている。どう?まだ大丈夫?そろそろ疲れてない?と、相手ではなくまず自分に問う。
これまで自分が人の機嫌ばかり気にしていたと気付いたのだ。盛り上がっているのに話を切り上げたら気を悪くするのでは?とか、直接相手に訊ねもせず自分の感覚も無視し、妄想の幻とひとり戯れていたことに。

あなたとわたし、をしっかり分けておく。そのことでわたしたちはより互いに語り合うことを快適に楽しめる、今はそう考えている。

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