デジタルファブリケーションと建築の今
こんにちは、つじしゅんです。
海外の建築ニュースを要約しお届けする、
建築Reading Part10です
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そもそも、デジタルファブリケーションとはデジタルデータをもとにして、3Dプリンターやレーザーカッターといった工作機械を使いものづくりをする技術のことです。
そんなデジタルファブリケーションは建築にどんな影響を与えるのでしょうか?
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数年前から、「デジタルファブリケーションは建築を変える」と言われており、
多くの研究や建築家、大学のプロジェクトで建築に対してのデジタルファブリケーションの可能性を模索しています。
そんな、デジタルファブリケーションの建築的可能性を今回はまとめていこうと思います。
デジタルファブリケーションの主な種類
デジタルファブリケーションには3つのタイプがあります。
① アディティブ・マニュファクチャリング
② サブトラクティブ・マニュファクチャリング
③ ロボティック・マニピュレーション
このデジタルファブリケーションの3タイプについてまずは見ていきましょう。
アディティブ・マニュファクチャリング
いわゆる3Dプリンターのように、プラスチック等を用いカタチを与えていくようなものをいいます。
材料の範囲はプラスチックだけでなく、金属、ガラス、粘土、ナノコンポジット、さらには人間の組織までもが含まれています。
ナノコンポジット:ナノメートル(10億分の1メートル)規模の微少な物質を混合することで従来にない特性をもつ複合材料。強度の向上、光学的また電磁的特性をもつなど。(引用:コトバンク)
サブトラクティブ・マニュファクチャリング
ある材料を任意のカタチに切り出すようなものをいいます。
木材を任意のカタチに切り出す、レーザープリンター等はこのサブトラクティブ・マニュファクチャリングに分類されます。
ロボティック・マニピュレーション
曲げる、折る、織るなどの作業をロボットにより行う、デジタルファブリケーション。
様々なロボットに適切なツールを装備することで活用でき、その可能性は限りないです。
建築への応用
これらの技術の建築への応用は、世界初の3Dプリントされた家や、世界初の3Dプリントされた鉄橋のような、一歩目を踏みだした後でさえ、予想よりもゆっくりと一般化されているように見えます。
ですが、そのような状況においてもデジタルファブリケーションは徐々にパラダイムシフトを迎えつつあります。
工事工程の自動化
デジタルファブリケーションは、すでに工業製造業で大規模に採用されており、建設プロセスの自動化に大きな可能性を秘めています。
より洗練された取り組みとして、チューリッヒ工科大学の木材フレーム構造物の自動建設があり、切断、接続用の穴あけ、組み立てのすべてがロボットを使って行われています。
このように、工場内といった限られた空間内におけるデジタルファブリケーションのモノづくりは進んでいます。
新素材の開発
デジタルファブリケーションは建築材料の分野においてもイノベーションを起こそうとしています。
コンクリートのような一般的な建築材料の中には、非常に高い二酸化炭素排出量を持つものがあります。
材料開発の幅広い範囲の例として、ネリ・オックスマンとマサチューセッツ工科大学の研究プロジェクト「Aguahoja(アグアホヤ)」がある。このデザインでは、セルロース、キトサン、ペクチン、水など、自然界に存在する要素を使用しており、生分解性があり環境に優しい材料を用い作成しています。
形状と素材の使用量の最適化
デジタルファブリケーションは、さまざまな構造物において、材料をより効率的に使用することを可能にします。
チューリッヒ工科大学が開発したスマートスラブは、最適化された高精度の設計・製作プロセスにて、コンクリートスラブを構造的合理性のある形態としました。
このコンクリートスラブは、3Dプリントされた型枠を使用して作られており、耐荷重を持たせるために必要な材料の使用量を最小限に抑えるように計算されています。
オープンソースデザインのためのフレームワークの作成
オープンソース:ソフトウエアのソースコードなどを主にインターネット上で公開し、誰でも改良または機能追加できるようにすること。建築におけるオープンソースは、だれでも作れるよう、デジタルファブリケーションを用いる前提でデザインされたもの等をいう。
フレームワーク:共通して用いることが出来る考え方。
オープンソースのデザインはまだ新しい概念ですが、デジタルファブリケーション技術の普及は、このトレンドを発展させるための環境を作り出しています。
数年前、Space 10(イケアのイノベーションラボ)は、合板とCNCフライス盤を使って簡単に複製できるオープンソースの球形庭園「Growroom」を発表しました。
建築におけるデジタルファブリケーションは、進化の過程にあります。
しかし、デジタルファブリケーションを建築に応用することに対し、建築家や研究者の関心は集められているため、一般的な設計にも応用されていくのはそう遠くないかもしれません。
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建築的なデジタルファブリケーションは、まだまだ先進的な取り組みです。
これは、建築的なデジタルファブリケーションがまだまだ一般化していないことを表しています。
その中で、日本における建築的デジタルファブリケーションを起こしている企業があります。
VUILDはShopBotという木材によるサブトラクティブ・マニュファクチャリングを行う機械に注目し、
ShopBotを使った建築の設計だけでなく、日本にShopBotを広めるための販売、人材育成も行っています。
そして、VUILDの運営するEMARFというサービス
日本初のクラウドプレカットサービスであるEMARFは、
これまで専門知識が必要だったり、コストや納期などの制約で諦めていた
建築の木製部品をCAD上でオンライン入稿し、
まるで自分の工房を持ったかのような感覚で出力することができます。
プレカット:現場での施工前に、工場であらかじめ木製の建具・内装・家具・造作・構造部品などを切断・加工しておくこと
VUILDの取り組みがより日本国内に広まることで、建築的デジタルファブリケーションを取り入れた設計が進んでいくかもしれません。
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