見出し画像

「やりたいことを仕事にする」ためのDX

執筆者:RS

昨年の記事は、公務員(公立大学)から私立大学に転職して1年目で、「こうなったらいいな」から始めたいDXでした。

2年目の今年は、「こうなったらいいな」を実現させようとした際に、必要に迫られて始めた「小さなDX」を2つ紹介します。これらは、「やりたいことを仕事にする」ためのDXでもありました。

1 Power Automateの活用

4月に、自分の部署で新しい仕事を引き受けることになりました。分量が多いとか対応が難しい仕事ではなかったのですが、対象学生が全学生、関係部署が全キャンパスの15ほどの部署という広い仕事で、いつ対応が必要になるかわからない申請、受付、対応等の仕事でした。やりたいことはあっても、どんどん新しい仕事が増えてきたら気持ちも下がっていくだろうなあと思っていました。
そこで「こうなったらいいな」と思ったのは、作業の自動化です。たしか前回のアドベントカレンダーの記事にあったよなと、Power Automateの記事を集めて、試しに色々やってみました。最初は何度か失敗したもののやってみると簡単でした。Formsで受け付けをしてアンケートに答えてもらい、その結果と以後の対応を説明するメールを返信するという簡易なものでしたが、作業人員がいらなくて、24時間いつでも即対応なので申請者は受付完了の安心感もあったと思います。
Power Automateの活用は、一つできると、あーあれもできると広がり、この後、講座受付は全部これを使うようにして、業務時間の節約ができました。余った時間で、「やりたいことを仕事にする」ための考える時間ができたのです。もちろん他課でも使えるよう、使い方を会議で共有しました。

2 Slackの活用

公務員志望の学生と話すと、試験対策はしているものの、公務員の働きがいや働き方の理解が不十分のように感じました。実際、県庁や市役所で若手職員の離職が増えていて、「思っていた仕事と違った」という声も聞いていました。
そこで「こうなったらいいな」と思ったのは、「学生と公務員のざっくばらんな座談会」の実現でした。しかし、自分の課の守備範囲を超える分野でもあり、かといって他課に押し付けてもうまくいかないので、「学生企画で実施できないか」と考えました。そう、ボトムアップと横の連携で苦労するケースで、学生企画だとすんなり実現できるという「大学あるある」を狙ったのです。
心配だったのは、企画する学生有志の集め方と、集めた学生の合意形成方法の2点です。前者は、ガイダンス後のアンケートで希望をとったところ、すんなり5人の有志が集まりました。後者は異なる学部で意識もバラバラな学生で、どうやって時間を合わせて気持ちのベクトルを合わせられるか悩みました。学生企画は、思いつきが先行しがちで、企画の洗練には十分な意見交換と調整が必要だからです。そんな時に、教育学術新聞にSlackを紹介する記事があったのを見つけ、codempをうまく回している(拍手スタンプ即打ちなど)諸先輩を思い出し、昼休みの顔合わせ後に、Slack活用を始めました。
すすめてみてわかったことは、最初にSlackで自己紹介をさせたところ、学生同士が勝手に自己紹介に上乗せして、コミュニケーションを始めたことです。さすが、オンラインに慣れた世代で、気軽なオンライン対話がすぐに始まりました。以降は、公務員との交渉経過など職員がすすめている部分を見せたり、提案や意見にいいねやありがとうスタンプを打ちまくることで、スピーディーに企画を洗練させてすすめることができました。意見交換の質と量、それに進捗の見える化等は、会って話す以上の効果を感じました。Slack記事は90日で消えてしまうというデメリットも、イベント企画からすればちょうどいい期間でした。
なお、参加申込への返信と、定員オーバー時のキャンセル待ち返信は、Power Automateの活用で、労力の省略ができました。
結果として、学生と公務員の参加者や学生企画スタッフにも満足度の高い座談会が実現できたわけですが、時間と気持ちのベクトルを合わせて、スピーディに合意形成ができたのは、Slackというツールをうまく活用できたのが大きかったと考えています。
さて、今の私の悩みは、「この企画、新聞にも出てたけど、本当に全部が学生企画だったの?」と言われることへの返事です。今のところ、「さあ、どうかな。2回目があったら完全な学生企画と言ってもいいじゃない。」と答えています。