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【子育て事情】地方都市と大都市の『きっかけ格差』とは?

石川県「加賀市」で10代の子供たちが無料で最先端のテクノロジーに触れられる施設「コンピュータクラブハウス加賀」を運営するみんなのコードの古岡です。

今日は、私が加賀で日々子供たちと過ごしている中で感じている『きっかけ格差』についてお話をさせてください。


地方都市と大都市の『きっかけ格差』とは

私は、消滅可能性都市と言われる石川県加賀市で10代の子供達に向けた施設「コンピュータクラブハウス加賀」を運営しているのですが、もともとは大阪出身です。

ちなみに大阪市の人口は約275万人、加賀市の人口は約6万人。かなり人口規模が違うと想像していただけると思います。

大阪といえば大都市に分類されるエリアですので、加賀の子供たちを見ていると「自分の子供時代の境遇とはいろいろと異なる点があるな〜」と感じることが多々あります。

その一つが、子供達が享受できる「きっかけ」の総量です。

都市部であれば、例えば子供自身が「バレエをやりたい」と思った時や、親が子供に「プログラミングのスキルを身につけさせたい」と思った時に、それらの習い事や体験イベントなどのコンテンツが潤沢です。

しかし、地方においてはそうではありません。

「やりたい・やらせたい」と思っても、その手段がないのです。

また、子供や親が健在的に「やりたい・やらせたい」と思ったことだけでなく、都市部であれば「友達がこんな習い事をやっている」「学校でイベントチラシが配られた」など、子供自身の体験につながる情報に触れる機会がたくさんあります。

地方では、そのような情報を受動的に受け取る機会もすごく少ないのが現状です。

このような「やりたいと思った時にやれる」「やりたいと思うものに出会う」といったきっかけの総量が、都市部と地方の子供では圧倒的に違います

これを私は、子育てにおける『きっかけ格差』だと感じました。

きっかけの総量で子供たちの未来の可能性が変わるかも?

「将来こんなことをやりたい」といった夢を、ずっと変わらず持ち続け、その夢に向かって困難を乗り越えながら目指し続ける。

それは理想であるかもしれませんが、そんなメジャーリーガー大谷選手のようなことは実際にはあまり起こらないような気がします。(私にも起こっていません…)

現実は、

「やりたいと思ってやってみたけど、やってみたら違った」

…ということの連続であることの方が多いのではないでしょうか。

また、最近の子育てムードは

「石の上にも3年」(=やり始めたら何があっても継続せよ)

ではなく、

「数打てば当たる」(=とりあえずやってみよ。それで違ったらやめて別のことを試してみよ)

が主流となっているような気配を感じています。

数をたくさん打った方が、「これだ!!!」と思うものに出会う確率は高くなりますし、もっと言えば「そもそも打席に立たないと打てないぜ。」です。

このように考えた時に、

「打席にたくさん立てる、たくさん打てる」環境と、「立てない・打てない」環境では、子供たちの未来の選択肢や未来の可能性に大きな影響がありそうです。

ちなみに、「きっかけの総量」という観点だけで都市部と地方の子育ての優劣を考えるものではありません。自然がとても身近に感じられること、コミュニティーの繋がりが濃いことなど、地方の良さはたくさんあります。そういった地方ならではの良さを求めて、地方へ移住される家族も増えています。

環境が作り出すアンコンシャス・バイアス

私達は、2023年1月に子供向けテクノロジー体験イベントTEEN SUMMIT KAGAを開催しました。イベントにはこれまで私達が運営している「コンピュータクラブハウス加賀」の存在を知らなかったという保護者や子供たちも多数来場され、加賀市史上最大クラスのイベントになりました。

イベントでは、「オリジナルゲームを作ってみる」「ドローンの体験フライトをやってみる」など様々なテクノロジーに触れる機会を提供したのですが、保護者や子供たちから…

「こんなことが加賀でできるとは思わなかった」

「やりたいと思っていたけど、どうせできないとすぐ諦めていた」

というような印象的なコメントがありました。

私達は、3年前から「コンピュータクラブハウス加賀」を運営していて、その中でプログラミング、グラフィックデザイン、3Dプリンターなどたくさんのテクノロジーに触れる機会を提供しています。

しかし、イベントを開催したことで、保護者や子供達が「コンピュータクラブハウス加賀」を知るところまで辿り着かなったケースを目の当たりにし、その理由は「どうせ無理だろう」というアンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)があったからではないかと感じました。

このアンコンシャス・バイアスは、言わば「打席があることに気づかない」ということなので、きっかけ格差をさらに拡大させる要因になってしまうのです。

『きっかけ格差』は地方の努力だけでは埋まらない

アンコンシャス・バイアスは無意識の中に潜んでいて、無意識は人の行動を決めてしまう側面があります。

無意識の中に潜んでいるがゆえに、自分自身でその存在に気づくことが難しいという側面もあります。

従って、まずは「どうせできない」というアンコンシャス・バイアスを払拭し、「できますよ」に気づかせてあげる存在が必要です。

そう考えると、『きっかけ格差』を地方都市の努力だけでは埋めていくことは困難である可能性が高いと感じます。

加賀市の宮元陸市長は、消滅可能性都市の存続をかけて「テクノロジー人材を育成する!」という目標を掲げているので、「どうせできない」ではなく「どうやったらできるか」に視野が開けていらっしゃいますが、そうではない自治体も少なくありません。

私達みんなのコードは、地方都市の首長にも働きかけをしながら、都市部と地方の『きっかけ格差』を少しでも埋めていきたいと日々頑張っております。

この格差を埋めるためには、私達だけでなく、多くの方の理解とご協力が必要だということを実感し続ける日々でもあります。

…ということで、一人でも多くの方のご支援をいただけると、本当にありがたいです!!

本日は、最後までお読みいただきありがとうございました!



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