【CODE BLUE 2023】チーユン・ファン & チェ・チャン / Chih-yun Huang & Che Chang
●Abstract
内部からの勝利:海外のディアスポラ(移住者)をターゲットにした中国の情報作戦[ja]
Winning from Within: Chinese InfoOp Targeting Overseas Diaspora [en]
今回は、法律と政策のカテゴリから「内部からの勝利:海外のディアスポラ(移住者)をターゲットにした中国の情報作戦」のチーユン・ファン氏とチェ・チャン氏のインタビューをお届けします。講演は、中国による影響力工作(インフルエンス・オペレーション)の一端を明らかにするものです。影響力工作といえば、2016年の米国大統領選に介入したロシアの例が有名ですが、中国もさまざまな形で行使しているといいます。
講師のお二人は、中国に関するサイバー脅威を専門とするTeamT5のアナリスト。CODE BLUEでは、TeamT5による中国の情報戦をテーマにした講演がこれまでに3回行われており、毎回好評を博しています。4回目となる今回にも期待が高まります。インタビューはチーユン・ファン氏に回答していただきました。
●Bio
チーユン・ファン [ja]
チェ・チャン [ja]
Chih-yun Huang [en]
Che Chang [en]
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●Interview
[ja]インタビュー
Q1. 今回、カンファレンスで発表する研究を始めたきっかけを教えてください。
A1. TeamT5は中国に関連するサイバー脅威を専門としており、中国によるあらゆる形態の悪質なサイバー活動に関心があります。近年、特にロシアが2016年の米国大統領選挙に介入し、影響力工作(インフルエンス・オペレーション)を行った後、われわれは中国が同様の工作、すなわちプロパガンダのためにソーシャルメディアを武器化し、親中的なシナリオを作り上げ、選挙結果にまで影響を及ぼす可能性があることを認識してきました。
今年の初めから、米国当局はいくつかの中国との関連性を持つ影響操作を明らかにしてきました。明らかにされたケースの中には、われわれが長い間観察してきたものと重複するものもあり、中国がこのようなキャンペーンで海外のディアスポラ(同胞)をどのように動員するかについての示唆を与えてくれました。われわれはこのトピックに関してさらに調査を行い、内部から成長してくる可能性のある迫る脅威警鐘を鳴らしたいと考えています。
Q2. 研究の過程でどのような点で苦労しましたか?
A2. ソーシャルメディアには毎秒無数のデータや投稿がアップロードされており、大量で時には圧倒的な情報の流れを消化し分析することが主な課題となっています。さらに、サイバースペースの匿名性は、キャンペーンを特定のアクターや国に帰属させるための十分な確固たる証拠を収集する上で大きな課題となります。幸いなことに、われわれは、中国の脅威アクターに関する監察に基づいた方法論を開発しています。われわれは、影響力工作を初期段階で特定・検出し、大量のデータから簡潔なインテリジェンスを提供することを目指しています。
Q3. CODE BLUEの参加者、参加を検討している人に向けてメッセージをお願いします。
A3. 影響力工作は、サイバーセキュリティだけでなく、市民社会や民主社会にとっても新たな脅威となっています。中国がコントロールするのは中国国内の世論だけと思われがちですが、われわれの調査によれば、中国は外国で親中的な物語(ナラティブ)を醸成することも密かに狙っています。
われわれは、長年にわたり、ソーシャルメディアにおける中国の活動を追跡し、その戦術の進化を観察してきました。この研究がわれわれのパートナーや民主的な同盟国にとって、増大する脅威の害と戦う・対処する方法の一助になることを願っています。
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[en]Interview
Q1. How did you initiate your journey into the topic that you are presenting?
A1. As TeamT5 specializes in China-nexus cyber threats, we are interested in any forms of malicious cyber activities conducted by China. In recent years ? especially after Russia meddling in the 2016 U.S. presidential election with influence operation, we have been aware that China might conduct similar operations, namely weaponized social media for propaganda and framing the pro-China narratives and even influence the election results.
Since earlier this year, the U.S. authority has revealed several China-nexus influence operations. Some of the revealed cases overlapped with our long-time observations, shedding light on how China mobilizes overseas diaspora in such campaigns. We have conducted further investigation on the topic, and hope to alarm the looming threats that might grow from within.
Q2. What were some challenges you faced during this research?
A2. With countless data and posts uploaded to social media every second, the major challenge is to digest and analyze the huge, sometimes even overwhelming information flows. Furthermore, the anonymity of cyberspace creates great challenges to gather sufficient hard evidence to attribute the campaigns to certain actors or countries.
Fortunately, we have developed a methodology based on our observation on the Chinese threat actors. We strive to identify and detect the influence operation in the early stage and provide concise intelligence from the mass data.
Q3. What message would you like to convey to those considering attending this talk?
Influence operation is an emerging threat not only to the cybersecurity but also the civil and democratic society. While people tend to believe that China only controls the public opinion inside the mainland, our research suggests that China also covertly aims to ferment pro-China narratives in foreign countries.
Over the years, we have tracked China’s operation on social media and observed the evolutions of their tactics. We hope the research can shed some light for our partners as well as the democratic allies on how to combat and counter the harms of the growing threats.